「ええから、はよ」
言われるままにバックから出すと、こっちによこせと要求してきた。
渡すのは構わないが、「話」があるんだよな?
ってかなんで俺がボール持ってるの知ってるんだよ
色々突っ込みたい気分だったが、女はボールを受け取った後金網をよじ登り、グラウンドの中に入っていった。
…アグレッシブすぎない?
俺も釣られて中に入る。
草ボーボーのグラウンド。
見た感じ誰も使ってないようだ。
まあ、狭いし。
草野球をするにしても、すぐ裏に家があるからあんまりかっ飛ばせそうにない。
外野側のフェンスの向こうには海が見えた。
へえ、こんな場所もあったんだな。
感心していると、女はマウンドをならし始めた。
話があると言ったわりにはちっとも話そうとする気配がない。
——にも関わらず、だ。
「…あのさ、家に帰りたいんやけど?」
痺れを切らして聞くと、女は不服そうに俺を見た。
「せっかちな男やな」
せっかちとな??
そんなこと言われる筋合いはないし、話があるって言ったのはそっちだろ?
勢いのままに睨み返すと、女はバックネット裏の方を指差した。
「あんたに勝負を申し込む」
…勝負。
確かにそう聞こえた。
…何?
どういうこと?
戸惑いながら、尋ねたんだ。
そっくりそのまま、復唱するように。
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