「…どういうことや?」
「頼まれたんや。千冬に」
「……なにを?」
「あんたのことをよろしくって」
…頼まれた?
アイツに…?
いや、そんなことはありえない。
「冗談も大概にせぇ」
「信じられん?」
「当たり前や!」
俺はずっとアイツのそばにいた。
毎日のように過ごしてた。
だから知ってる。
なにを頼まれたのかは知らないが、そんなことはあり得ないんだ
お前が何者かは知らないが。
「ま、信じてくれんでもええけどな。せやけど、あんた約束したやろ?“いつか誰よりも速いストレートを投げる”。そう言ったこと、覚えとる?」
「………なっ」
……
………どういうことだ?
そんなこと、誰にも話してないぞ…?
知ってるはずがない…
…だけど現に、俺たちにしか知らないことを知っている。
でもそんな、まさか…
ますます混乱してしまう自分がいた。
頭ん中が大渋滞だった。
次から次へと、予期していない言葉がやってくる。
理解しようにも、理解できなかった。
聞こえてくる内容が、あまりにも突拍子もなくて。
「私が専属コーチになったる」
「…はい?」
「あんたを日本一のピッチャーにしたる」
ちょっと待て。
それ以上喋らないでくれるか?
これ以上混乱したくないんだ。
「とりあえずシャワー浴びたいんやけど」
「…」
「もしもし?」
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