「つけるっていったって、どうやって…?」
「じっとしてて」
髪をかき分けながら、頭皮の表面に当たるように、1つずつチップを取り付けていく。
変な感覚だった。
痛みはない。
…いや、あったら速攻で脱ぐけど
「大丈夫なんかほんとに…」
「私を信じろ」
「お前を?」
かなり不安なんだが?
…どっから、そんな自信が湧いてくるんだろうか
ここまできたら、コイツが未来から来たって言うのももう疑わない。
それは言い過ぎか…?
何にしても、普通じゃないことは確かだ。
得体の知れない機械を、余裕で使いこなしてるのを見ると。
未来で一体、何を見てきたんだろう?
どんな経験をしたんだろう。
今まで、そんなことは考えなかった。
ずっと変人だと思ってた。
だって、急に勝負を申し込んでくるんだぞ?
人ん家には勝手に入ってくるし、人の頭は叩くし。
俺たちは幼なじみだったって、コイツは言った。
そんなの、想像もできなかった。
どんな世界で知り合って、どんな時間にいたのか。
——ふと、頭の中によぎったんだ。
俺たちが友達だったっていう世界線は、どんな「景色」で、どんな色だったのか。
「プラグを挿したら、蓋を閉める。深呼吸して、楽にしとき?」
「…ちょ、ちょっと待って」
「何?」
…まだ、心の準備が…
プラグを挿すと言っても、字が違うんじゃ…
挿すじゃなくて“刺す”
…そうだよな?
今頭に付けてるネットのことを女は「電極シート」と言ったが、その根本にある太いチューブは、一体何と何を繋げるためにあるんだ?
まさかとは思うが、俺の「体」って言わないよな?
針みたいなものが顔を覗かせてるが、…まさか…ね
「ちょっとチクッとするだけやで?」
「!!?」
「心配せんでも、首筋の静脈に電極を繋げるだけや。機械が自動でやってくれるから、痛みはない」
「チクッとするって言うたよな??今」
「痛いうちに入らんやろ」
怖ぁ…
さらっとすごいこと言いやがって…
機械が自動でやってくれる??
…そのワードだけでテンパりそうだよ。
首筋の…静脈…って…
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