雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第342話

公開日時: 2023年10月2日(月) 15:31
文字数:815



 「つけるっていったって、どうやって…?」


 「じっとしてて」



 髪をかき分けながら、頭皮の表面に当たるように、1つずつチップを取り付けていく。


 変な感覚だった。


 痛みはない。


 …いや、あったら速攻で脱ぐけど




 「大丈夫なんかほんとに…」


 「私を信じろ」


 「お前を?」



 かなり不安なんだが?


 …どっから、そんな自信が湧いてくるんだろうか


 ここまできたら、コイツが未来から来たって言うのももう疑わない。


 それは言い過ぎか…?


 何にしても、普通じゃないことは確かだ。


 得体の知れない機械を、余裕で使いこなしてるのを見ると。



 未来で一体、何を見てきたんだろう?


 どんな経験をしたんだろう。


 今まで、そんなことは考えなかった。


 ずっと変人だと思ってた。


 だって、急に勝負を申し込んでくるんだぞ?


 人ん家には勝手に入ってくるし、人の頭は叩くし。



 俺たちは幼なじみだったって、コイツは言った。


 そんなの、想像もできなかった。


 どんな世界で知り合って、どんな時間にいたのか。



 ——ふと、頭の中によぎったんだ。



 俺たちが友達だったっていう世界線は、どんな「景色」で、どんな色だったのか。



 「プラグを挿したら、蓋を閉める。深呼吸して、楽にしとき?」


 「…ちょ、ちょっと待って」


 「何?」



 …まだ、心の準備が…


 プラグを挿すと言っても、字が違うんじゃ…


 挿すじゃなくて“刺す”


 …そうだよな?


 今頭に付けてるネットのことを女は「電極シート」と言ったが、その根本にある太いチューブは、一体何と何を繋げるためにあるんだ?


 まさかとは思うが、俺の「体」って言わないよな?


 針みたいなものが顔を覗かせてるが、…まさか…ね



 「ちょっとチクッとするだけやで?」


 「!!?」


 「心配せんでも、首筋の静脈に電極を繋げるだけや。機械が自動でやってくれるから、痛みはない」


 「チクッとするって言うたよな??今」


 「痛いうちに入らんやろ」



 怖ぁ…


 さらっとすごいこと言いやがって…


 機械が自動でやってくれる??


 …そのワードだけでテンパりそうだよ。


 首筋の…静脈…って…


 


 


 

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