「私はあんたを助けたい」
…は?
どうしていいかもわからずにいると、女は言った。
“あんた”って、俺のこと?
わけもわからずに自分に指を差すと、コクッと頷いた。
…え?
どういうこと?
「あんたが今おるこの「世界」は、たくさんあるうちの1つに過ぎん。並行世界って聞いたことないか?自分が生きとる世界とはまた違う世界が、隣にあるって」
聞いたことは…、ある
けどそんなのは、漫画とかの世界だろ…?
現実じゃあり得ない。
おとぎ話じゃあるまいし。
「ほんなら、今目にしとるものはなんや?」
「今目にしとるもの…?」
「これが「現実」やと思うか?」
「…いや」
「せやったら、もう少し柔軟に考えてみ?あんたが目にしとるものが「現実」やとしたら、不思議とおとぎ話も信じられるやろ?」
「…え、………………………いや」
はぁ
と女はため息をついた。
なにか気に食わないことでもあったんだろうか。
というか、なに呑気に構えてんだよ。
周りの状況を見ろよ。
…一体なにがどうなってる
「ここは運命の境界や。そして、過去と未来が分岐するタイミングでもある」
「…はぁ?」
「私はその中間を歩くことができる。99%の壁を越えることができる」
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