なんで野球を続けてるんだろうって、時々考える。
アイツの代わりに甲子園に行くなんて、そんなこと、今じゃイメージもできない。
俺はただ、アイツの球を受けてさえいればいいと思ってた。
夢を追いかけるアイツの隣で、ただ、役に立てればいいと思ってた。
俺に教えてくれたんだ。
待ってても、何も始まらないこと。
雨が止むのは、待ってるだけじゃダメだってこと。
「さあ、行こう!」
と、アイツは俺の手を引っ張った。
海が見える丘の端まで走り、長い坂道を下って。
本当はわかってるんだ。
俺がアイツに憧れてたのは、いつだってがむしゃらに走ってたその姿が、死ぬほど羨ましかったって。
いつか、俺もあんな風になりたいと思ってた。
アイツの横に立って、同じ歩幅で歩きたいと思ってた。
だから必死に構えてたんだ。
アイツが全力で投げられる時間に辿り着きたい。
安心して投げられるようになりたい。
その一心で、キャッチャーミットを構えてた。
世界でいちばん速いストレートを、目の当たりにしたくて。
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