「知らない」ってなんだよ…
俺は俺だし、ついこの前だって会ったじゃないか!
お裾分けってことでクッキーもくれた。
この階のステーションの人とは皆、顔見知りみたいなもんだった。
会う人会う人、全員が、俺のことを知らないと言う。
何かの冗談かよっていうくらいに、態度がよそよそしい。
いてもたってもいられなくなって電話をかけた。
千冬の姉ちゃんに。
いつも、さや姉にはお世話になってた。
この前もこの場所で会った。
最近はないけど、雨が降った日とかは、ここから家まで送ってくれたりした。
千冬がどこにいったか、知ってる気がしたんだ。
…だから
Prrrrrr
「ちょっと、どこにかけとるん??」
「…姉貴に」
「誰の?!」
「千冬の」
「…私って、さや姉!?」
…なんでさや姉のこと知ってるんだよ
「千冬」は私だって、彼女は言う。
病院の人に色々尋ねてると、後ろから横やりを入れられた。
恥ずかしいことすんなって、半ばキレ気味に。
なんでキレてんのかもわかんないし、一大事だっていうことが全然伝わらない。
とんでもないことが起きてるんだ。
千冬がいないんだ。
この病院の、どこにも。
それなのに皆平然として、挙げ句、恥ずかしいからやめろと言われる。
なにが“恥ずかしい”んだ?
…逆に説明してくれよ
一体何が、…起こってるのか
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