雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第383話

公開日時: 2023年11月11日(土) 19:04
文字数:577


 ノッチ先輩はサウスポーで、コントロールを重視するタイプだ。


 体はそこまで大きくない。


 どっちかっていうと細身かな?


 ストレート自体はそこまで速くないけど、スライダーとカーブがキレッキレで、中でも縦スラと呼ばれる縦の変化球は、バッターからしたら鋭く曲がったように落ちてくる。


 カーブは緩い系というよりもパワー系だ。


 変化量が大きくて、おまけに速い。


 縦スラとの使い分けで高低差をうまく使ってる。


 縦スラはバッターの手前で変化が始まるけど、カーブはキュッと抉ってくる感じ。


 シニアの時から投げ始めてたみたいで、ボールの印象がだいぶこなれた感がある。


 落差もあって打ちづらいんだよ。


 すごく。



 「先輩はなんでピッチャーになろうと思ったんですか?」


 「俺?なんでやろ」


 「確かリトルリーグの時からですよね?」


 「そうそう。元々キャッチャーやったんやけどね」


 「キャッチャー!?」


 「リトルっつっても人がおらんくてさ?(笑)仕方なくキャッチャーやってた。珍しいやろ?左利きのキャッチャーなんて」


 「見たことないですね」


 「桐崎は?」


 「私…ですか?」


 「なんでピッチャーやろうと思ったん?」



 なんで…?


 なんでピッチャーやろうと思ったんだろ


 えーーっと



 別に、なんでも良かったんだ。


 最初は。


 たまたまつけたテレビ番組で、大きく振りかぶってる人がいた。


 ブルーウェーブスのロゴ。


 カメラ越しに映る、背番号『11』の文字。



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