翌朝。
ギルドの依頼をこなすため屋敷をでて街の門に向かった。
門の前までくると子供達に囲まれた。
無視するわけにもいかないし困ったなあ。
「黒猫のおねえちゃん!今日はなにを倒すの?」
「きっと物凄い怪物を倒しにいくんだぜ!」
「わぁー!すごーい!!」
そんなの倒さないよ?
街の人達が私に対するイメージだけ大きくならないか心配になってきた。
「よおー!嬢ちゃん。ずいぶん人気者になったじゃねえか!」
門兵さんのマークさんに声をかけられた。
あいかわらず私を見ながらニヤニヤしている。
いつまで笑っていられるかな?
「マークさん。無事だったんだね。」
「ああ!なんとか武器と防具がボロボロになっただけで済んだよ。もうあんな怪物は二度とごめんだ。」
おー。ボロボロならちょうどいいね。
「じゃあマークさんに私から装備をプレゼントするよ。」
「えー!!マークさんいいなああ!」
「羨ましいー!」
「おねえちゃん!私達にはー?」
周りの子供達が騒ぎだした。
こうゆう時に言うことはもう決まってる。
しゃがんで子供達に目線を合わせる。
「君達はもう少し大きくなったらね?」
『ええー!』
子供達の頭を優しく撫でる。
立ち上がってマークさんの方に近づく。
バックからネコの形をした盾を取り出した。
「おい。嬢ちゃん。なんだそれ??」
「私からの初めてのプレゼントだよ?大事に使ってね!」
「は?」
マークさんの表情が引きつる。
「お、おれはこんなもの...」
「受け取ってくれないの...?」
悲しげな表情で聞いてみる。
「マークさん!黒猫のおねえちゃんが可哀想だよ!ひどいよ!」
「そーだ!おねえちゃんは街の英雄なんだぞ!受け取ってあげてよ!」
子供達の高くて大きな声が周囲に響き渡る。
声に気がついた周りの街の人達の視線がマークさんに集中する。
「うっ...。あ、ありがとな。嬢ちゃん。」
「ううん!大事に使って街を守ってね!!」
にっこり笑顔でネコ盾をマークさんに手渡した。
マークさんは苦笑いを浮かべる。
そんなに嫌がらせなくてもいいのに。
普段から猫耳パーカーを着てる私はどうなるの?
門をでてまっすぐ東の草原に向かう。
草原につくと至る所で土が剥き出しになっていることに気がつく。
「うわー。これはひどい。」
シルバーウルフと冒険者達の戦いの跡かな?
相当な数がいたみたい。
近くに魔物の姿はなかったので、しばらく草原を探してみる。
「グレイスリザードってあれかな?」
大きな緑色のイグアナみたいな魔物がゆっくりと草原を歩いてる。
動きもあまり早くなさそう。
ホーンラビットの方が強そうだけどなあ。
少し近づいて様子をみる。
グレイスリザードがこちらに気づくと大きく口を開く。ボールぐらいの大きさの岩を作りだして私に向けて放ってきた。慌てて横に身を躱す。
「わっ!」
魔法をつかえるのかあ。
あの岩は気をつけないとね。
猫耳パーカーのポケットからブリュナークを取り出す。踏み込んでいっきに距離を詰めて真横に回り込む。そのままグレイスリザードに向かって槍の刃を振り下ろした。グレイスリザードは苦しそうな鳴き声を上げて倒れる。
少しすると動かなくなった。
あれ?
なんでいま魔法使ってこなかったんだろ。
連射はできないのかな?
しばらく草原を探して依頼にあった10匹の討伐はあっさり終わった。
「やっぱり槍のほうが使いやすいなあ。」
短剣と違って少し遠い間合いから攻撃できるしね。
久しぶりにステータスを見たら、レベルも25まで上がってた。
ガールダの討伐が大きかったのかな?
お腹も減ってきたので街に帰ることにした。
帰ったら久しぶりにマイちゃんのとこに顔を出そうかなあ。
寂しがってるかもしれないしね。
街につくとネコ盾を身につけた門兵のマークさんが鋭い目つきで私を睨んでいる。
ちょっと怖い。
マークさん目つきが悪いからなあ。
「よお!嬢ちゃん。さっきはよくもハメてくれたなぁ!!」
「あれ?少し見ない間にずいぶん可愛らしくなったね。」
マークさんは口を半開きにして驚いた表情をみせる。
「嬢ちゃん。まさか根に持ってたのか?」
「まあね。」
「悪かったよ。ちょっとからかいすぎた。」
「いいよー。これからはマークさんも仲間だしね!」
「ははは...。」
マークさんは頭を掻きながらゆっくりとため息をついた。
門を通って街に入る。
真っ直ぐにマイちゃんの宿に向かった。
「あー!おねえちゃん!きてくれたのぉ?」
「マイちゃん久しぶり!」
宿のドアを開けるとカウンターに座ったマイちゃんが出迎えてくれた。
椅子から降りて駆け寄ってくる。
「マイちゃん。宿でご飯だけ食べることってできるのかな?」
「できるよー!椅子に座ってちょっと待っててねぇー!」
「ありがと。」
ゆっくりご飯を楽しんでから少しマイちゃんとお話してギルドに向かった。
マイちゃんが元気そうで安心した。
ギルドの中に入ると粉々だった床はしっかり修繕されていた。
修繕した床だけ真新しいのですごく目立つ。
「ん?」
テーブルの方から視線を感じたので振り返る。
冒険者達が遠巻きにチラチラと見ている。
絡んでくる様子はないみたい。
視線を無視して受付のメアリーさんに教えてもらった報告するカウンターに向かう。
女性の担当者がカウンターに座っている。
知らない人だ。
メアリーさんはいないみたい。
「依頼の報告にきたんだけどここで大丈夫?」
「黒猫様!お疲れ様です。依頼の報告はここで大丈夫です。」
「く、黒猫様?」
首を傾げる。
まさかギルドの中でそう呼ばれてるの?
変なあだ名をつけないでよ!
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