女神様から加護をもらったので、猫耳パーカーを着て楽しく生きていきます!

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よもぎ餅
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第30話 隣の村についたよ!

公開日時: 2020年9月9日(水) 00:00
文字数:2,462


 馬車はガタゴトと荷台を揺らしながらゆっくりと村に向かって進んでいく。


 魔物に襲われなかったのは救いかな...。

 荷台の天井を見つめながら溜息をつく。


「チカさん。本当にごめんなさい。少し取り乱してしまいました...。」

「チカさん大丈夫ですかー?」

「ごめん...。まだちょっと話すのもつらい。」


 エリーゼは心配そうに私を見つめる。

 はあ...。

 乗り物酔いなんて小学生ぶりだなあ。

 でもおかげでアージェさんの疑問については、うやむやに出来たので助かった。


「でもよお。本当にこいつ..。」

「こいつ...?」


 アージェは鋭い目つきでガルムを睨みつける。


「あっいや。チカさんが二匹のガルーダを単独で討伐したのか?俺にはそうは見えないんだけどなあ...。」


 ガルムは寝転がる私を呆れた顔で見つめる。

 余計なことを言わないでほしい。

 アージェさんがまた思い出したらどうするつもりなの?


「ついこの間もそうやってチカさんを舐めていた冒険者達がギルドで吹き飛ばれていたな。お前もそうなりたいのか?」

「えっ!?それってギルドで噂になっていたあの黒猫のことか?」


 あの黒猫ってなに?

 どんな噂なのかすごく気になるんだけど。


「それ以外なにがあるんだ?」

「いや俺はてっきり黒猫の獣人がやったのかと...。」


 おー。そういえば獣人もいるんだよね。

 私も見てみたいなぁ。

 モフモフだったりするのかな?


「まさかあの黒猫がこんな...むぐっ!」

「ガルム!!」


 エリーゼさんが慌てた様子でガルムの口を両手で塞ぐ。


 こんな?

 ガルム君はなにを言いかけたのかな...?

 絶対いいことではないよね。


「冒険者のみなさんそろそろ村に着きます。いやー!何も起こらず村につけて一安心ですな。」



 村の中に入ると馬車が停車したので荷台から降りる。

 上に両手を上げてのびをする


 やっと地獄から解放された。

 舗装されてない道を馬車で走るとあんなに揺れるだなんて思わなかったよ...。

 

 村長さんが運転席から降りて私達に近づいてくる。


「冒険者のみなさん!ここまで護衛ありがとうございました。なにもない村ですが、ぜひゆっくりしていってください。」


 村長さんは馬車の運転席に再び座って馬車を走らせる。

 木造で作られた大きい家の横に馬車を移動させた。


 これで依頼達成か。

 でも乗り物酔いで寝てただけなんだけどいいのかな?

 

 アージェさんがこちらに近づいてくる。


「チカさん。このあとはどうされる予定ですか?」


「少し村を見てまわるつもりだよ。アージェさん達はどうするの?そういえばガルムさんとエリーゼさんもいないよね?」


「ガルムとエリーゼは宿を探しに行きました。今夜、妖精祭が行われるようなので村で一泊してから帰るそうです。私もせっかくなのでそうしようかと。」


「ねえねえ!!妖精祭って妖精に逢えるの?」

「まさか!妖精は滅多に人前に姿なんて現しませんよ!」

 

 アージェさんは少し笑いながら右手を左右に振る。


 残念。

 妖精に逢えるわけじゃないのか。

 

「農作物の豊作を祈願するお祭りのようなものですね。」

「そうなんだ。じゃあ私もせっかくだし一泊してから帰ろうかな。」

「じゃあ私がついでにチカさんの宿も受付しておきますよ。」

「おー!いいの?」

「もちろんです!どうぞゆっくり村を観光してきてください。」

「ありがと!じゃあお言葉に甘えさせてもらうね。」



 アージェさんと別れて、ゆっくり村を見てまわる。


「この村には木造の建築物しかないなあ。」


 それに村の周囲には柵しかない。

 魔物に襲われたりしないのかな?

 

 しばらく村を眺めながら歩いていると、村の中央にある広場のような場所に辿り着いた。

 広場のちょうど中心にはキャンプファイヤーでよく見るような木材が積み重なっている。


「それはこっちじゃないよ?ここだよぉ!」

「おっ!頑張ってるなあ!坊主達!」

「うん!!綺麗にできてるでしょ!!」

「ああ。完璧だな!」

 

 村の大人達と一緒に小さな子供達が楽しそうに広場全体の飾り付けをしてるみたい。

 子供達は褒められてとても嬉しそうに笑っている。

 


「こういう和《なご》やかな雰囲気っていいなあ。」


 よそ者でも温かく迎えてくれるなら、将来的にはどこかの村で静かに暮らすのもありかもね。


「お嬢ちゃん。冒険者かい?」


 作業をしていた村の人が私に気づき声をかけてきた。


「うん。もしかして邪魔しちゃった?」

「いやそんなことはねえ。おそらく村長の護衛の人達だろ?」

「そうだよ。」

「やっぱりそうか!それで今夜は泊まっていくのか?」

「うん。せっかくだし妖精祭っていうのを見て行こうかなって思って。」

「ああ!ぜひそうしてくれ!妖精様も人が多いほうが喜んでくれるだろうしな。」

「ありがと!じゃあ私は宿屋に戻るから、また夜にくるね。」

「おう!嬢ちゃん!またあとでな。」


 村の広場をでてそのまま宿に向かった。

 すごく感じのいいおじさんだったなあ。

 また夜に会えるかな?


 宿の中に入ると、アージェさんが受付カウンター前に立っていた。

 私に気づくと笑顔で手を振ってくれた。

 えっ。もしかしてずっと待ってたの?


「チカさん!おかえりなさい。部屋までご案内しますね!」

「う、うん。アージェさんずっと待っててくれたの?」

「はい!」

「そ、そうなんだ。ありがと。」


 あのクールな雰囲気は本当にどこにいっちゃたの...?

 

「こっちの部屋です!ついてきてくださいね。」

 

 アージェさんの後についていく。

 案内された部屋のドアを開けて、中にはいる。


「えっ...?なにこの広さ。」


 マイちゃんの宿で使ってた部屋の3倍ぐらいの広さがある。

 いくらなんでも広すぎる。

 もっと普通の部屋はなかったのかな?


「どうですか?この宿屋で1番いい部屋をとっておきました!!」

「えっ?いや普通の部屋でいいんだよ?」


「とんでもない!!チカさんをそんな部屋に泊まらせるわけにはいきません!!」


 アージェさんが凄く真剣な表情で私に詰め寄る。


 「そ、そっか。ありがと。」


 アージェさんはニコニコした笑顔を浮かべて、照れくさそうに頬を掻《か》いた。



 どうしよう...。


 薄々気づいてはいたけど、アージェさんの私を見る目が絶対におかしい!


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