街の人達からの視線が痛いのでテントの中に逃げ込む。
さっきジョンさんが整理してた棚に向かった。
まさか屋台であんなに注目されることになるなんて思わなかった。
あれじゃ罰ゲームだよ。
本当にやめてほしい。
棚で整理を続けているジョンさんを見つける。
「ねえ...。ジョンさん。メリィちゃん知らない?」
「お、お嬢様は今出かけられてます。どうされましたか?」
「どうされましたか...?」
ジーっとジョンさんを見つめる。
わからないわけないよね?
ジョンさんは困ったように視線を逸らす。
「申し訳ありません。私ではお嬢様を止められませんでした。なにかお嬢様も考えがあるご様子でしたが...。」
ジョンさんは深々と頭を下げる。
ジョンさんが立場的に難しいのはわかるけどせめて相談してほしかったなあ。
早くメリィちゃんを探して止めないと。
「それでメリィちゃんはいつ頃帰ってくるの?」
「街の治療院にお出かけになりましたので、そろそろお帰りになられるとは思うのですが...。」
メリィちゃんが治療院に?
もしかしてマリーちゃんの件かな?
『私がどうかしたのかニャ??』
後ろからメリィちゃんの声がしたので振り返る。
メリィちゃんはニコニコ笑いながら首を傾げた。
見つけたああああ!!
すぐにメリィちゃんに駆け寄って肩を両手でガシッと掴んだ。
「メリィちゃん!!」
「にゃ!?ど、どうしたのニャ?チカちょっと肩が痛いのニャ!」
「どうしたのじゃないよ!なにあの屋台!」
「あれは街の復興支援のために..」
「そのことじゃないよ。包紙の絵のことだよ!」
「あー!あれは私の自信作ニャ!いやー。我ながらよく描けたと思ってたところニャ!」
よく描けてるから困ってるんだよ?
動物のネコじゃなくて、黒色のネコ耳パーカーを着た女の子っていうのがよく分かる絵だった。
「それも1日5000個も売れる人気っぷりニャ!街の復興支援に協力できてうれしいニャ!領主様も大喜びだニャ!」
「そ、そんなに!?えっと...。あの屋台はいつから?」
「んー。確か2日前からだったかニャ?それがどうかしたのかニャ?」
すでに1万枚も街にあの包紙が出回ってた。
食べ歩きも持ち運びもできるから相当な人達があの包紙を見たに違いない。
もう異世界でニートになろうかな...。
「メリィお嬢様...。やはりチカ様はあまり目立つことはしたくなかったのではないでしょうか。」
「ニャハハ!そんなわけないニャ!ジョン爺は心配しすぎニャ!」
「私にはそうは見えませんが...。」
ジョンさんはメリィちゃんの隣で困ったような表情で額に手を当てて俯いた。
メリィちゃんは無邪気に笑いながら私のほうを振り向く。
眉をしかめてメリィちゃんの瞳を見つめる。
メリィちゃんはビクッと肩を震わせて顔色がみるみる変わっていく。
「まさかジョン爺の言う通りなのかニャ?」
「そうだよ。」
メリィちゃんは驚いた表情で目を見開いた。
「ごめんニャ。悪気はなかったのニャ。チカのためを思ってやったことなのニャ。」
「どういうこと?」
「初めはガルーダの討伐を公言しないから目立ちたくないのかと思ってたのニャ。だけど二人でギルドに行って冒険者達と揉めた時のチカを見て私の考え違いだと思ったのニャ。」
「・・・・?」
首を傾げる。
私のせいってこと?
「まさか分かってないのかニャ!?」
「う、うん。」
「よく考えてみるニャ。ギルドで冒険者達を吹き飛ばすまでは、ギルドマスターのせいでチカがガルーダを倒したと嘘をついているって噂があっただけニャ。」
うん。冒険者達がそう叫んで私達に絡んできたよね。
「だけどあの日。沢山の冒険者達が見ている前で、チカはガールダの討伐を否定するどころか力を示して冒険者達に認めさせたニャ。」
「ああああああっ!!」
ギルドを滅茶苦茶にしちゃった事に気を取られて気づかなかった。
メリィちゃんは呆れたように溜息をつく。
「チカはちょっと抜けてるとこがあるみたいだニャ。」
やらかしたっ!!
あれから数日も経ってる。
いまさら口止めしても手遅れだ。
「だから私は冒険者が吹き飛ばされた腹いせに変な噂を広める前に、街の人達に真実を広めることにしたのニャ!復興資金も稼げて一石二鳥ニャ!」
「私のためにありがと。さっきはごめんね。」
「気にすることないニャ!今度からはもっと私を信頼してどうしたいのか話してほしいニャ。私も心配だから聞くようにするニャ!」
「うん。私もそうするね!」
はあ...。英雄ネコにクラスアップしちゃった。
自分のせいだからなにも言えない...。
自然に落ち着くまで我慢するしかないかな。
「そういえばメリィちゃんはなんで治療院に?」
「マリーの薬をもらいに行ってきたニャ!」
「マリーちゃん大丈夫なの?」
「命に別条はないニャ。ただ魔力を過剰摂取した影響で魔力のコントロールと自然回復機能に支障がでてるニャ。」
聞いてるだけで大変そうだ。
魔法が使えないってことかな?
「それは自然によくなるの?」
「普通はそうだけどニャ。マリーの場合は相当無理をしたからニャー...。なにかいい方法がないか相談してたところニャ。」
「そっかー。なにか私にできることがあったらいってね?私もマリーちゃんの力になりたいし。」
「ありがとニャ。そのときはお願いするニャ!」
メリィちゃんは嬉しそうにニッコリして私の頭を優しく撫でた。
「ねえ...。メリィちゃん。ずっと聞きたいことがあったんだけど聞いていい...?」
「ん?そんな真剣な顔をしてどうしたのニャ?」
「私の年齢っていくつだと思ってる?」
「14歳ぐらいじゃないのかニャ?」
それはいくらなんでも酷すぎる。
メリィちゃんとはお話しが必要なようだね。
「私これでも22歳なんだけど。」
「「 ええええええっ!? 」」
二人とも目を大きく見開いて驚いている。
口なんて開けっ放しだ。
メリィちゃんは慌てて私の頭から手を離す。
失礼な!!
そんなにビックリすることじゃなくない?
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