「メリィお嬢様にどうにかしてマリーお嬢様のことをお伝えしなければいけませんね。」
「他に転移魔法を使える冒険者とかはいないの??」
「転移魔法は相当難しい魔法なので、この街には他に使える者がおりません。明日の朝になればギルドに協力を依頼して通信魔道具で連絡が取れるのですが...。」
ジョンさんは眉間にシワを寄せて難しそうな表情で考え込んでいる。
「なにか問題があるの?」
「問題はありません。ただあのメリィお嬢様が朝までゆっくり待ってくださるとは思えないのです。」
「ああ...。」
確かにメリィちゃんならすぐ行動に移す可能性が高い。
メリィちゃんがシィーの存在を知っていれば結果は変わったかも...。
「ごめんね。私がシィーのことをもっと早くみんなに打ち明けるべきだった。」
「とんでもない。チカ様が悪いわけではございません。」
「ん。お姉ちゃんが話し合いの途中で転移しちゃったのが悪い。困ったお姉ちゃん。」
「二人ともありがと。」
「チカ様はあまりお気になさらないで下さい。それに明日の早朝であれば、大迷宮に挑戦してたとしても伝令をだせる階層にいらっしゃるはずです。」
「ん。王都に向かうのはそれからでも遅くない。」
「さて私は明日のことで確認しておきたいことがありますので一度失礼しますね。」
ジョンさん軽くお辞儀をしてから食堂をでていく。
「そういえばマリーちゃんはもう夕食は食べたの?」
「まだこれから。チカ一緒に食べよ。私もお腹減った。」
マリーちゃんテーブルの席に座った。
私は向かい側の席に座ることにした。
メイドさんに夕食の用意をお願いするとすぐに料理がテーブルに並びはじめる。
準備してくれてたのかもしれない。
さすがメイドさんだ。
「ふぁ~...。私は眠くなってきたの。」
シィーは目を擦りながら欠伸をすると、猫耳パーカーのフードの中に潜り込んでいく。
シィーはどうやってフードの中で寝てるんだろう?
頭の上にいるはずなのにまったく重さを感じないのも不思議だ。
「ん。これは腕のみせどころ...。」
「えっ?マリーちゃん今なんか言った?」
「なんでもない。気にしないで?」
美味しい夕食を食べてお腹いっぱいになったのでマリーちゃんと一緒にお風呂に行くことにした。
脱衣所で猫耳パーカーを脱いでお風呂場に入る。
「ふぅー。ゆっくりお風呂に入れて幸せ。」
「マリーちゃん。すごくスタイルいいんだね。胸も大きいし...。」
「ん。そう?気にしたことなかった。」
猫耳パーカーのせいで分からなかった。
まだ幼い顔立ちなのに胸が私より大きい。
この世界の人達はどうしてみんなスタイルがいいんだろう?
「チカもすぐ大きくなる。」
「どうだろう...。」
「きっと大丈夫。元気だして?」
「でも18歳ぐらいの頃からまったく成長してないんだよね。」
「え?」
マリーちゃんはジッーと私を見つめる。
えっ?急にどうしたの?
「ちか。いまいくつ?」
「え?22歳だよ。」
「びっくり。お姉ちゃんより年上。」
「あれ?メリィちゃんから聞いてないの?」
「ん。聞いてない。」
「そうだったんだ。てっきり聞いてるのかと思ってたよ。」
「胸がすべてじゃない。チカ元気だして?」
あれ...?
さっきと言ってることが違くない?
「そういえば妖精さんは?」
「あー。フィーは部屋に戻って寝るって言ってたよ?」
「そう。どこで寝てるの?」
「どうだろう?村の宿屋では私の枕元で一緒に寝てたから私にベットで寝てるんじゃないかな?」
「妖精さんのベットも作らないと。」
「おー!マリーちゃんが作ってくれるの?」
「ん。まかせて?かわいいの作る。」
「ありがとー!お願いしようと思ってたんだよね。」
たぶんネコになるだろうなあ。
シィーがどういう反応をするか楽しみだ。
お風呂をでて、マリーちゃんとも別れて自分の部屋に戻ってきた。
シイーはベットの上で寝ている。
起こさないようになるべくゆっくりとベットで横になる。
「ん...?帰ってきたの?」
「あっごめんね。起こしちゃった?」
「気にしないでいいの。」
「そういえばマリーちゃんがシィーのためにベットを作ってくれるって言ってたよ。」
「おー!それは楽しみなの!」
明日は早朝から王都に向かうことになるかもしれないのでもう寝ることにした。
メリィちゃん無理してないといいんだけど。
翌朝。
「チカ様おはようございます。お休みのところ申し訳ありません。ジョン様がお呼びです。」
「んん..。おはよう。マリアさん。」
メイドのマリアさん起こされて目を覚ます。
窓の外を見るとまだ外が薄暗い。
ギルドってこんな朝早くからやってるんだ。
うー。まだ眠い。
部屋をでて食堂に向かった。
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