街の異変に気づいて私はマリーちゃんを追いかけた。
なんなのあの巨大な鳥...。
人なんて簡単に飲み込みそうな大きさだった。
やっと街の城壁近くまで辿り着いた。
「はあ...はあ...はあ!」
こんなことならもっと運動しておくんだった!
インドア派の私にこの距離はつらすぎる。
「ん?あれは?」
少し離れたところに街の人達と冒険者達が集まっていた。
あっマイちゃんがいる!
猫耳パーカーを着てるからすぐ分かったよ。
迷子対策にはありなのかもしれない。
マイちゃんに近づいていく。
「マイちゃん大丈夫?」
「ぐすっ..。お姉ちゃん!お母さんが!マリーちゃんがあ!」
マイちゃんは真っ赤に目を腫らして泣きながら抱きついてきた。
「ま、まって落ち着いて!二人はどうしたの?」
「お願いお母さんを助けて...。まだきっと宿にいるの。マリーちゃんはさっき街に走っていっちゃった。」
マイちゃんに頭を撫でながら周囲を見渡す。
避難してる街の人達が少ない。
冒険者達はなんで助けにいかないの?
冒険者達に視線を向ける。
街の門で指示をだしていた赤髪の女性冒険者が膝を抱えて、ボソボソ呟きながら震えている。
「あ、あんな化け物に勝てるわけない...。私が弱いわけじゃ...。だってあんなの...。」
他の冒険者も血の気の引いたような表情でただ街の方角を見つめていた。
DQNマスターが街の人達に取り囲まれて、なにか叫んでいるので気になって近づいてみる。
マイちゃんもついてきた。
あまり聞かせたくないんだけどなあ...。
「はやくガルーダを倒してくれよ!!AランクやBランクがいれば戦えるだろ!まだ女房と娘が街の中にいるんだよ!」
「他の街からの救援はまだか!このままじゃ俺らの街が!!」
『他の街への救援要請は突然の襲撃だったからできていない!討伐には行きたいが冒険者達が怯えて使い物にならん!!この役立たずどもが!』
「そんな無責任な!!街がどれだけギルドに支援してきたと思っているんだ!!」
「そうだ!ふざけるな!あんだけ城壁前で暴れていたのに突然もなにもないだろ!」
『俺は悪くない!!文句ならあの鳥野郎に言えばいいだろう!!』
肝心な時もこの街のギルドは役に立たない。
ダメだとは思ってたけどここまでなんて。
「ぐすっお姉ちゃん...。」
マイちゃんは瞳を潤ませてと不安そうに私を見上げる。
私じゃ何もできないかもしれない。
けどあのギルドの人達のようになりたくない。
それにマリーちゃん、メリィちゃん、マイちゃんのお母さんをなんとしても助けだしたい。
やっとこの世界でできた繋がりだしね。
「マイちゃん私もいくね。怖いけど頑張ってみるよ。」
「お姉ちゃん...。」
「みんなの事が大切だからね...。あっ危ない時は逃げるよ!死にたいわけじゃないからね。」
あっそうだ。
私は思いっきり手を叩いた。
周囲の人達がビクッ!とした後に視線が私に集中する。
DQNマスターを睨みつけた
「みんなもうやめときなよ。そんな筋肉だけの男なんてなんの役に立つの?」
「なっ!貴様っ!」
「私は行くよ。助けたい人がいるからね。マスターさんもくる?」
DQNマスターは真っ赤にして悔しそうな顔でプルプル震えている。
このまえのお返しだああ!!
あースッキリした。
私は街に向かって走り出した。
険しい表情で走り去っていったマリーちゃんが心配だ。
無理していないといいんだけど...。
街は地獄のようだった。
建物はいくつか倒壊して瓦礫が散乱しており、街の人達の悲鳴がいたるところから聞こえてくる。
私は宿屋に向かった。
走りながらこの世界について考える。
この世界では簡単に命が消える。
「分かっていたつもりだったのに...。」
私は心のどこかでこの世界をまだ夢の中の出来事のように考えていたのかもしれない。
早くマイちゃんのお母さんを見つけてマリーちゃん達と逃げないと。
宿屋は倒壊することなく無事だった。
「マイちゃんのお母さん!どこですかー!」
中にはいって声をかけながらマイちゃんのお母さんを探しまわる。
「宿屋の中にいない...?」
じゃあいったいどこに?
思い当たる場所なんてないよ...。
でもいないならここにいても仕方ないよね。
無事を信じてマリーメリィ商会に向かうことにした。
「えっ...。なにあの炎!?」
マリーメリィ商会の方に向かって走っていると遠くの空に凄まじい爆炎がみえた。
あの辺りってマリーメリィ商会の近くだ。
目を凝らしてよく見てみる。
「あれがガルーダ?あっちは...。まさか誰かが戦ってるの?」
遠すぎてはっきりと見えない。
けど小さな人影が巨大なガルーダと戦ってるように見える。
もしかして...。マリーちゃんなの?
なんかすごく嫌な予感がする。
「これは...。マリーちゃん!メリィちゃん!どこにいるのー?」
マリーメリィ商会はボロボロになっていた。
お願いだから二人とも無事でいて。
瓦礫を避けながら周囲を探しまわった。
あっ。あそこにいるのってメリィちゃん?
急いで近づいてみると瓦礫の下敷きになって、目を潤ませながら心配そうな表情で上空を見上げているメリィちゃんを見つけた。
「メリィちゃん!!大丈夫?」
「チカ!!マリーがぁ!マリーがぁ!」
「待って!まずその瓦礫をどかすね!!」
メリィちゃんは酷く動揺していた。
すぐに瓦礫に手を伸ばして思いっきり上に持ち上げる。
「メリィちゃん!これでどう?でれそう??」
「いけそうだニャ!!」
メリィちゃんは苦しそうな表情で地面を這いずりながらなんとか瓦礫から抜けだした。
「助かったニャ!でもマリーがぁ!!」
「マリーちゃんはどこなの?」
メリィちゃんはまた上空を見上げた。
やっぱり戦ってるのマリーちゃんなの?
私もすぐに上空を見上げる。
マリーちゃんは上空で猫耳パーカーをボロボロにしながら戦っていた。
上空を飛行してガルーダの攻撃を避けながら
燃え盛る巨大な炎を放って攻撃している。
ガルーダも巨大な翼や腹部は黒く焼き焦げていて、かなり消耗しているように見える。
でもあれ魔力は持つの?
私との狩りも休みながらだったのに...。
「マリーは魔力回復ポーションを補給しながら無理矢理魔法を放ってるニャ...。あのままあんな無茶を続けたらマリーが死んじゃうニャ...。チカお願いニャ。助けてニャ...。」
メリィちゃんは涙を流しながら悲しげな表情で私を見つめる。
私は必死にマリーちゃんを助ける方法を考えた。
この状態で三人で逃げればガールダは絶対に追ってくるよね。
けどこのままじゃマリーちゃんが死んじゃう。
じゃあ遠距離で攻撃?
加護で銃をつくりだせればいける...?
でも私にはつくりだせなかったし。
いったいどうすればいいの...。
『グギャァァ!!』
ガルーダの鳴き声で我にかえった。
なにいまの鳴き声。
苦しんでる感じとは違かったよね?
『グルルル...』
街の中からもう一匹のガルーダが上空に飛び上がってきた。巨大な翼を羽ばたかせて凄いスピードでマリーちゃんの後方から襲いかかる。
「もう一匹いたの!?まさか仲間を呼んだの?」
「あぁぁ!!ぐすっ。マリィィー!!もう逃げるニャアア!!」
マリーちゃんは後方からの翼の羽音に気付いて身を躱す。しかし躱した方向にもう一匹のガールダが回り込み巨大な翼をマリーちゃんに叩きつけた。
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