女神様から加護をもらったので、猫耳パーカーを着て楽しく生きていきます!

🌟彼女は絶対に諦めたりしなかった。🌟
よもぎ餅
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第46話 漆黒の大迷宮を捜索②

公開日時: 2020年9月15日(火) 00:00
文字数:2,160


 転送魔法陣のある部屋へと続く、古びた鉄製の大きな扉の前につく。


「ん。この先が転送魔法陣がある部屋。」

「おっきい扉なの!なんだかドキドキしてきたの!」


 シイーは楽しげに空中をビュンビュン飛びまわる。


 楽しそうなシィーがうらやましい。

 私はドキドキしすぎて胃が痛くなってきた。


 このBOSSを倒せばメリィちゃん達がどっちに進んだのかはっきりする。


 はっきりしてしまう...。

 考えるだけで気が重くなる。

 誰か助けて...。


 マリーちゃんは後ろにいる私達の方へ振り返る。


「二人とも準備はいい?」

「もちろんなの!」

「あっ...。うん。」


 シィーが私の反応を見て軽く首を傾げる。

 すぐに何かに気づいたように、ハッとしたような表情をすると、ニンマリした笑顔で私の頬をツンツンと小さな指で突っついてくる。


「ぷぷっ!あれれー??ねえねえ?もしかしてチカはビビってるの?」


 う、うぜええぇ!!

 あとでシィーとはお話合いが必要なようだね...。


 私はジッーとシィーを見つめる。

 シィーも私の視線に気づいたみたい。


 見つめ合ったままゆっくりとシィーにむかって微笑む。怒りを抑えているせいか頬がピクピクする。


「ふふふっ...。シィーちゃん?あとで大事なお話があります。」

「えっ...?えーと。」


 シィーは頬をヒクッとひきつらせて、青い顔をしながらそっと目を横に逸らした。

 蚊の鳴くような小さな声で呟く。


「... わ、私は話したくない気分なの。」


 マリーちゃんが私達をみて大きく溜息を吐いた。


「もう。二人ともいい加減にして。もう扉あけるよ?」



 待たせてしまったことをマリーちゃんにしっかり謝ってから部屋の扉を開けて中に入る。

 部屋に入ると中央の地面に魔法陣が浮かびあがり、黒色の狼が姿を現した。

 ブリュナークを構えながら二人の前にでる。


 すぐにプロパティの魔法をつかって名前を確認する。


 ブラックウルフ?

 シルバーウルフの色違いみたい。

 でも一回りぐらい大きいかな?


「マリーちゃん!シィー!援護をお願い!」


「ん!まかせて!」

「まかせるのぉー!」



『グルルルッ...。』


 ブラックウルフは唸り声を上げながら、私に向かって真っ直ぐに飛び込んで鋭い爪を振りおろしてくる。

 ひょいっと横に躱してからブラックウルフの横っ腹をおもいっきり斬り裂く。


『キャインッ!!』


 ブラックウルフは悲痛な鳴き声をあげて床に倒れると、そのまま光の粒子になって消えてしまった。


 あれ?こんなに弱いの?


「やったの!チカだけで十分だったの!」

「ん!さすがチカ。瞬殺。」

「あっ!二人ともそのままそこから絶対に動かないでね!!」


「「えっ?」」


 二人に声をかけながら急いで隠し扉がある壁に手を伸ばす。

 壁に手を触れると壁がスッと煙のように消えて小部屋の入り口が出現した。


「「えええええっ!?」」


 ふぅー!あぶないあぶない。

 なんとか間に合った。

 前から思ってたけど30秒って短すぎだよ!


「マリーちゃん!メリィちゃんはどっちに行ったか分かる?」

「えっ?えっ?えーと...。」


 マリーちゃんは慌てて猫耳パーカーのポケットからサーチニードルを取りだして確認する。


「おかしいの!なんでチカは普通に話を進めてるの!?その部屋はなんなの!」


 シィーは隠し部屋の方へ飛んでいく。

 えっ!シィー何やってるの!?


 慌ててシイーに向かって大声で叫んだ。


「シィー!!ダメッ!!」

「ひゃっ!?」


 シィーは可愛い叫び声をあげながら、ビクッ!と身体を震わせて隠し部屋に入る一歩手前でとまる。


「急になんなんの!!驚きすぎて心臓が止まるかと思ったの!!」

「シィー!!一人で中に入ったら死ぬかもしれないからすぐに戻ってきて!!」

「えっ...?そ、それを早く言ってほしいの!死にたくねえの!!」


 シィーは涙目になりながら凄いスピードで私の胸に飛び込んで、ギュッ!と服ごと私のお肉を掴んでくる。


「いたたっ!!シィー!!お肉まで掴んでるから離して!!」

「いやなの!!絶対離さねえの!!」

「いやじゃないよ!!」


 痛みで涙がでそうになるのを必死に耐えながら、なんとかシィーを胸から引き離して私の肩に乗せる。


 シィーのせいで胸がまだヒリヒリする。

 絶対アザになってるよこれ...。



「ん?」


 ヒリヒリと痛む胸を右手で軽くさすっていると、突然左手の裾を後ろから引っ張られたので振り返る。


 マリーちゃんがいまにも泣きだしそうな顔で、唇を噛みしめながら私を見つめている。


 マリーちゃんの手のひらにあるサーチニードルに視線を送る。

 サーチニードルの指針が隠し扉の方向を指しているのが見えて、おもわず顔が引きつった。


 シィーのせいで最悪な形でマリーちゃんに伝わっちゃったことに気がついて頭が真っ白になる。


 万が一の時に、どうマリーちゃんに伝えるかを必死に考えてきたのに全部無駄になった。


「チカ...。今のはどういうこと?」

「えーと...。」

「ぐすっ...。ねえ...。私はお姉ちゃんを助けられなかったの...?」


 マリーちゃんの瞳からボロボロと涙が溢れて頬を伝う。


 私の胸と胃がギュッーと締めつけられるように痛む。


 BOSSに挑んでなければまだ無事に生存している可能性はあるけど、最下層にいるのは間違いないから安全とは絶対に言えない。


 今のマリーちゃんにこの状況をどう伝えればいいのかわからず、すぐに言葉が出てこない。


 本当に誰か私も助けてください...。


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