冒険者ギルドについた。
ギルドの中に入ると受付の女性が近づいてくる。
「メリィさん。お待ちしておりました。今回はご迷惑おかけして申し訳ありません。どうぞこちらに。」
受付の女性の目にクマがいる。
動物のじゃないよ?
受付の女性は疲れきった顔で申し訳なさそうに頭を下げる
私たちはギルドマスターの部屋に案内された。
二人で部屋の中に入る。
椅子に座ったギルドマスターが険しい表情でこちらを睨みつけている。
少し離れたソファーに70歳ぐらいのオールバックをした白髪のお爺さんが座っていた。
このお爺さんがギルドの統括の人なのかな?
コーヒーがすごく似合いそう。
「よくきたな。この泥棒猫。うちの冒険者が倒したガールダを勝手に持っていきやがって!」
「今日はそのガルーダのことできたニャ!あらかじめ来る前にそう伝えといたはずだけどニャ」
「それで何の用だ?ガルーダの素材の売り上げを持ってくるにしては早すぎるよな?」
ギルドマスターはニヤニヤしながら馬鹿にしたように肩をすぼめる。
メリィちゃんはニコニコした笑顔で胸を張った。
「あれははうちが頼まれたものだから渡せないニャ!」
「なんだと?」
「聞こえなかったのかニャ?もう少し分かりやすくいうニャ。あのガルーダはマリーメリィ商会がガルーダを討伐した冒険者から直接依頼されたものだから渡すつもりはないニャ。」
ガタッ!!
ギルドマスターは顔を真っ青にして椅子から凄い勢いで立ち上がった。
「どういことかな?私に報告された内容と違うようだが?」
ソファーに座っていた統括のお爺さんが冷ややかな視線でギルドマスターを見つめる。
「そ、そんな嘘をついてガルーダを横取りするつもりか!!どこまで意地汚いんだ!」
「ん~。じゃあ草原に逃げてた冒険者達がどうやってガルーダを倒すのかニャ?倒した冒険者はどこにいるニャ?」
「それは倒した冒険者の強い希望で教えることはできない!残念なことにな。急ぎの要件があって街をもうでてしまった。」
ギルドマスターは椅子に座りなおして残念そうな表情をしながら腕を組んだ。
ホントこのDQNオジは私が1番嫌いなタイプだ。
まあ公表してほしくないってところだけは間違ってないんだけどね!
私は一歩前にでた。
「私はそんなことギルドに頼んでないけど?」
「あ?」
「街にもまだいるしね。」
「急になにを言ってるんだ!!」
「ニャハハ!馬鹿なのかニャ?このチカがガルーダを倒したってことニャ!」
メリィちゃんはニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。
こわい!
その笑顔すごく怖いよメリィちゃん!!
ギルドマスターは驚愕の表情のまま固まって口が開きっぱなしになっている。
統括のお爺さんがソファーから立ち上がり受付の女性の方を振り返った。
「ふむ。メアリー君。悪いんだがここにギルドカードの鑑定水晶を持ってきてくれないか?」
「かしこまりました。すぐに持ってきます!」
受付のメアリーさんは慌てたようにドアを開けて部屋をでていく。
メアリーさんって名前だったんだ。
受付してもらった時はあのDQNマスターに邪魔されたからなあ。
「くだらんな。二体のガールダをこんなネコの格好をしたチビに倒せるわけないだろうが。」
「なんでも自分の思い込みで判断するから今回みたいなことがおこるニャ。街に多大な損害と犠牲を出しておきながらなにも反省してないのかニャ?」
「うるさい黙れ!今回の事は予測不可能だったんだ!俺が悪いわけじゃない!」
「調査隊を先行させればよかったのニャ。あーそうか。自分が追い出しちゃってたから調査できる冒険者がいなかったのかニャ?」
ギルドマスターは顔を真っ赤にして震えている。
こいつまた私のことチビっていったよね?
ーートントン!
ドアを叩く音がした。
振り返るとメアリーさんが部屋に入ってきた。
「お待たせしました!鑑定水晶を持ってきました!」
「メアリー君ありがとう。さてチカといったかな?」
「そうだよ。」
「悪いがギルドカードを見せてもらってもいいかな?」
「いいよ?」
バックからギルドカードを取り出して統括のお爺さんに渡した。
統括のお爺さんはカードを受け取ると鑑定水晶の中にカードを差し込んで水晶を覗き込んだ。
「ふむ。確かに討伐功績の記録に二体のガルーダの記録があるな。」
「そ、そんな馬鹿な!!そ、そうかわかったぞ!この街に来る前に高ランクの冒険者と一緒に倒したことがあるんだ!!」
「それはありえません!」
受付のメアリーさんの透き通った声が部屋に響いた。
私は驚いてメアリーさんの方へ振り返る。
「マスターお忘れですか?」
「なんのことだ!お前は何が言いたいんだ!」
「彼女は最近この街でギルドに加入したんですよ?」
ギルドマスターは何かに気づいたのかハッ!とした表情をする。
「私が受付をしてギルドカードをチカさんに渡した後にガルーダを討伐をしたということは間違いありません。」
「うん。メアリーさんにしてもらったね。その後ギルドマスターにネコの格好したチビはいらないから出て行けって言われて追い出されたけどね。」
「なっ!そ、それは...。」
「もう嘘と言い訳ばかりで見苦しいニャ!」
『ふむ。どうやら今回の件はもう一度初めからしっかり調査する必要があるようだな。』
統括のお爺さんはギルドマスターを睨みつけた。
ギルドマスターの顔色が青ざめていく。
ざまあみろ。
私にチビって二回も言った代償はきっちり払ってもらおう。
統括のお爺さんが私の方へ振り向いた。
「君には大変失礼な態度を取っていたようだ。ギルドの統括として詫びよう。申し訳なかった。」
「あなたが悪いわけじゃないからいいよ。でもしっかり調査はしてね?」
「約束しよう。他の関係者からも聞き取り調査をして、また後日改めて君達に報告させてもらうよ。」
「わかったよ。ありがとお。」
「じゃあ私達はこれで帰るニャ!」
気になってメリィちゃんに視線を向ける。
メリィちゃんは嬉しそうにニヤニヤしながら、青ざめた顔をしたギルドマスターを見つめている。
あー。そうとう恨んでたのかな?
気持ちは分かるけどね。
私もチビって言われたし。
私達はギルドをでてマリーメリィ商会に戻ることにした。
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