食堂に入るとマリーちゃんとジョンさんがテーブルに座って食事をとっていた。
「チカ。おはよう。」
「チカ様。おはようございます。」
「二人ともおはよう!」
テーブルに座るとメイドさん達が料理をテーブルに運んでくれた。
朝食を食べてお腹も膨れたので、ジョンさんからメリィちゃんの話を聞く。
「やはりメリィお嬢様は昨日の夜に王都についてすぐ冒険者達と漆黒の大迷宮に向かったようです。すでに伝令の依頼を王都の冒険者ギルドに依頼済みです。」
やっぱりすぐ出発しちゃったんだ。
行動力が裏目にでちゃったね。
「ん。すぐ私は王都に向かう。チカ。一緒にきてくれる?」
「いくよ!当たり前じゃん。」
「ん。ありがとう。」
マリーちゃんはペコっと軽く頭を下げる。
可愛いのでマリーちゃんの頭を軽く撫でる。
準備して屋敷の外にでると馬が二匹繋がれた大きい馬車がとまっている。
護衛依頼で乗った馬車より2倍ぐらい大きい。
揺れも2倍になったりしないよね?
「チカお待たせ。」
マリーちゃんが大きな布袋を背負って屋敷からでてくる。
「え?収納する魔道具はないの?」
「ん。街からあまり出ないから持ってない。これだけ。」
マリーちゃんは猫耳パーカーのポケットを両手でポンポンと叩く。
「私のバックにいれていこうか?」
「いいの?」
「うん。布袋をそこにおいて?」
「んっしょ...。これでいい?」
布袋を掴んでバックにしまう。
マリーちゃんはジッーと私のバックを見つめる。
「そのバックって容量どれくらい入るの?」
「え?」
どれくらいなんだろう。
あの時はゲームでずっと使ってたストレージ機能と青い猫型ロボットのポケットをイメージしてバックをつくったけど。
ゲームでは特に容量上限なんてなかったからなあ...。
「忘れちゃったけどたくさんはいるよ!」
「ふむ...。」
マリーちゃんは腕を組んで考え込んでいる。
もう早く馬車に乗せちゃお!
こまかく聞かれても答えられないし。
馬車はニッケルの街をでて王都に向かって進んでいく。
馬車の中には私とマリーちゃんとシィーの3人しかいないので、足を伸ばしてゆっくりくつろげるだけの広さがある。
それにしてもこの馬車ぜんぜん揺れない!
これなら酔わないですみそうだ。
でもどうして揺れないんだろ?
「ねえマリーちゃん!なんでこの馬車ぜんぜん揺れないの?」
「んっ?勇者様の世界の技術。知らない?」
「あっ!スプリング機能がついてるのか。」
でもどうやって再現してるんだろ。
この世界の魔道具の技術ってホントすごい。
「はあ...。やっぱりチカはおバカなの!」
「失礼な。なんで急にそんなこというの?」
シィーは椅子に座りながら呆れた顔で溜息をつく。
「ん。やっぱりそう。」
「ん?」
「チカは勇者様と同じ世界からきた。」
「えええっ!?」
なんでバレたの!?
いやまだごまかせ...。
「ごまかそうとしても無駄。」
「わたしもチカじゃ難しいとおもうの!」
先読みされた。
シィーの私を見る目もひどい。
「馬車の揺れを軽減する部品に名前なんてない。勇者様も名前をつけなかった。」
「ええええっ!なんで?」
シィーは椅子に座って足をブラブラ揺らしながら私をみる。
「昔いた勇者は適当なとこがあったらしいの!ティターニア様からそう聞いてるの。」
「ティターニア様ってだれ?」
「妖精の現女王なの!昔は勇者と一緒に魔王を倒す旅にでたこともあるの!よく妖精の里でその頃の話を聞かせてくれたの。」
妖精の里かあ。
私もいってみたいなあ。
「妖精の里にいくことってできるのかな?」
「んー?普通なら人間は立ち入れないけど、チカならティターニア様も歓迎してくれると思うの!」
「おー!行きたい!!」
「じゃあ今度一緒にいくの!」
楽しみだな~!
妖精の里ってどんなところなんだろ。
「チカは勇者様なの?」
そうだった。
妖精の里の話ですっかり忘れてた。
しょうがない。アージェさんと同じように説明すればいいかな。
「私は同じ世界から来ただけで勇者なんかじゃないよ。」
「ん。どうやってきたの?」
「え?」
あれ?
アージェさんはこれで大丈夫だったのに...。
「私には話せない?」
「えーと...。」
「私は話しても大丈夫だと思うの。」
シィーの言う通りだ。
この世界にきた理由ぐらい問題ないよね。
「わたしは女神様に娯楽目的で連れてこられたんだよ。」
「ん。まだごまかすの?」
マリーちゃんは腕を組みながらジーッと私を見つめる。
「本当だよ!嘘じゃないよ。」
「ん...。嘘には見えない。ホントなの?」
「ホントだよ!」
ミリアーヌさんが酷すぎて信じてもらえなかったらどうしよう。
「ん。分かった。信じる。」
「よかったー!どうしようかと思ったよ。」
安心してほっと胸を撫で下ろす
「じゃああの時の不思議な光は?」
「えっ?」
「不思議な光ってなんなの?」
シィーは可愛く首を傾げる。
不思議な光?
「ん。まぶしい光に包まれた後に漆黒の槍がでてきた。あれはなに?」
「あー!あのビリビリする不気味な槍のことなの!」
さすがマリーちゃん。
本当にかしこい子だ。
はあ...。もう隠しきれそうにないかな。
「実は女神様が加護をくれたんだよ。この世界に送りだされる前にね。」
「おー!すごい。どんな加護?」
「加護を持ってるのは知ってたけど、なにができるの?私もすごく気になるの!」
シィーが椅子から飛び上がり私の目の前までくるとキラキラした瞳で私を見てくる。
仕方ないので二人には加護について分かっていることを説明することにした。
もちろん今回は口止めも忘れない。
それで失敗してきたからね!
「ん...。なんだか凄く難しそう。」
「ホントなの!なんでその女神様はそんな扱いづらい加護を与えたの?」
「あはは...。本当にね。」
そんなの私が聞きたいぐらいだよ。
もう少し便利な加護がほしかった。
でも加護について相談できる相手ができたのは良かったかもしれない。
しばらくすると馬車が突然停車した。
「辺りも暗くなってきたので馬車を停車して、この辺りで一泊しましょう。」
ジョンさんの声が聞こえたので馬車から降りた。外にでると運転席に座っていたはずのメイドのマリアさんが夕食の準備をしている。
マリアさんなら安心だ。
食事の心配はいらなそうだね!
「じゃあ私達は寝床の準備でもする?」
「ん。それなら大丈夫。この魔道具ですぐ用意できる。」
マリーちゃんは猫耳パーカーのポケットから手の平サイズの球体を取り出す。
「それをどうするの?」
「ん!見てて?」
球体についてるボタンを押すとあっという間に丸い形のテントが自動で組み立てられた。
「ん。これでテントはおわり。」
「すごい!わたしもほしい!」
「ん。まかせて?」
テントの中にはいって寝床の準備をしてからもどると、テーブルに料理が並べられていた。
夕食を美味しくいただいてからテントの中で1日目の夜を迎えた。
マリーちゃんはすぐ寝てしまった。
旅疲れがあったのかな?
街から出ないって言ってたもんね。
わたしも今日は精神的に疲れたよ...。
私はテントに用意された小さめのベットに横になる。
枕元で気持ちよさそうに寝ているシィーを見つめながら眠りについた。
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