目が覚める。
どのくらい時間が経ったんだろう。
起き上がり周りを見渡す。
いつも私が泊まってる宿屋の部屋だ。
「えっ。まさかの夢オチ?」
ベットから降りて窓の外を見る。
そんなわけないよね。
倒壊した建物の瓦礫を街の人達が忙しそうに片付けていた。
日が昇ってる。
半日ぐらいねてたのかな?
ベットの横を見ると漆黒の槍が立てかけられている。
懐かしさを感じながら手に取って鑑定をつかった。
ーーー
魔槍ブリュナーク
[所有者]チカ
[属性]���
[効果]
意思をもった魔槍。所有者以外装備不可。
魔力を消費することで稲妻を纏って攻撃可能。
遠距離攻撃時に魔力を消費して加速し所有者が標的と認識するものに対して、自動的に軌道を変えてつらぬく。魔力消費量に比例して威力や速度が増加。
ーーー
うわっ。
これ私が知ってる魔槍ブリュナークそのものだよ。
突いてよし。
斬りつけてよし。
投げてよし。
さすが最高ランクの神器級の武器だ。
デメリットは魔力消費量と持ち手側と穂先の両方に刃がついてるから味方が近くにいるときは気をつけないといけない点かな。
でもやっぱり魔力消費で倒れたのか。
あの時は余裕がなくて全力で投げたもんね。
今度検証してみる必要があるなあ。
コンコン!
部屋のドアを叩く音がした。
「はーい?」
「入るニャ!」
メリィちゃんがドアを開けた。
新しい白色の猫耳パーカーを着たメリィちゃんがニコニコした笑顔で部屋に入ってきた。
「メリィちゃん!よかった無事だったんだね。マリーちゃんは大丈夫だった?」
「おかげで私もマリーも無事だニャ!マリーは少しの間は安静だけどニャ!」
「あっマイちゃんのお母さんは!?」
「大丈夫ニャ!ちょうどお買い物にきてたから、私がマリーメリィ商会の地下に避難させていたニャ!」
「そうだったんだ。よかった~。」
メリィちゃんは椅子に座る。
真面目な表情で私を見つめてくる。
ん?
なんでそんな顔で私をみるの?
「ど、どうしたの?」
「チカに聞きたいことがあるニャ。」
「なに?」
「その黒い槍はなんなのニャ?チカが気を失って倒れた後に勝手に手元に戻ってきたニャ。まるで生きてるみたいだったニャ。」
あー。ゲームでも自動で戻ってきたね。
どうやって説明しようかな。
「それに槍をチカの手から引き離そうとしたらビリビリってしたニャ!まるで所有者を選ぶといわれる聖剣みたいニャ。」
うん。ゲームでも所有者が権利を譲渡しないと持つことできなかったもんね。
困ったなぁ。
魔槍ブリュナークの詳細を安易に喋るのは危険かも。
もしその聖剣と同等の武器だったらめんどくさいことになる気がする。
私が考えこんで黙っているとメリィちゃんが私を見つめながら溜息をついた。
「わかったニャ。もう聞かないニャ。でも話したくなったらいつでも話してほしいニャ。チカは命の恩人だから力になりたいニャ。」
「メリィちゃん..。ありがとう。」
ホントにいい子だ。
この町でメリィちゃんとマリーちゃんの姉妹に出会えて本当によかった。
「あとガルーダも回収しといたニャ!解体しちゃっていいかニャ?」
「助かるよ。あっヒートモンキーとホーンラビットもあるからお店にいくよ。」
「了解ニャ!じゃあ一緒にいくニャ!まだ話したいこともあるし解体をしてる間にお店で話すニャ!」
二人で宿屋をでてマリーメリィ商会に向かった。
あれ?
でもお店の一部が倒壊してたけど大丈夫なのかな?
マリーメリィ商会についた。
建物の修繕をしながら、外には瓦礫を避けるようにテントが張られている。
テントの中には商品が並べられおり、たくさんのお客さんが商品を見ている。
まずは二人で倉庫に向かった。
倉庫は無事だったので中に入る。
バックから魔物を取り出してテーブルに並べていく。
「これで全部かな。」
「了解ニャ!じゃあジョン爺あとはお願いするニャ!」
「かしこまりました。お嬢様。」
「あっガルーダの素材はどうするニャ?」
「どうするって?」
「ガルーダはAランクの魔物にゃ。なかなか手に入る素材じゃないにゃ。爪とか羽毛を装備の素材にすることもできるニャ!」
「じゃあ爪と羽毛の素材だけ残して買い取ってもらっていいかな?」
「かしこまりました。チカ様。」
「じゃあチカは一緒にきてほしいニャ!」
倉庫をでてマリーメリィ商会の応接室に案内された。
部屋の中に入るとソファーと小さめのテーブルが置かれている。
ソファーに座る。
フカフカだ。
とても座り心地がいい。
メリィちゃんも向かい側のソファーに座った。
「それで話したいことってなに??」
「冒険者ギルドの件ニャ。」
「なにかあったの?」
「冒険者が倒したガルーダをマリーメリィ商会が横取りした。ガールダの素材の売り上げをよこせって騒いでるニャ。」
確かに冒険者が倒してる。
ギルドカードは受け取ったしね。
草原にいた冒険者達から横取りなんてしてないけど。
「はあ...。まあ騒いでるのはギルドマスターなんだけどニャ。」
メリィちゃんは呆れた表情で溜息をつく。
またあのDQNか!
もういい加減にしてほしいよ。
「いま王都のギルドから冒険者達とギルド統括のお偉いさんがきてるニャ。」
「なんでまた?」
「救援要請を受けて王都からガルーダを討伐できるレベルの冒険者が救援にきたみたいニャ。ギルドの統括は今回の事情聴取に来たみたいだニャ。」
「事情聴取?」
「調査隊を先に派遣して異常な規模のシルバーウルフ達の状況を把握してから行動していればガルーダの街への強襲もなかったからニャ。」
「なるほど。」
「そこにきて高ランクの冒険者やギルドマスター達が西の草原に逃げてたのを街の人が何人も見てるニャ。街としても今のままのギルドに今後支援はしないだろうニャ。」
ふむ。
なんでそれで冒険者が倒したガルーダを横取りされたってことになるんだろ?
「アイツは責任逃れがしたいニャ。」
「えっ?」
「指示を出した冒険者に討伐を任せて、自分達は避難してた街の人を護衛してた。ってことにしたいみたいニャ。」
「ホントにアイツどうしようもないね。」
あのDQNクズすぎる。
草原でも責任逃ればっか言ってたもんなあ。
「それでチカにお願いがあるニャ。」
「ギルドカードは持ってるニャ?」
「うん。これだよね?」
バックからギルドカードを取り出す。
メリィちゃんにギルドカードを見せた。
「そうこれニャ。このギルドカードは魔物を討伐すると記録されてギルドの魔道具で見れるようになってるニャ。」
「へー。そうゆう仕組みなんだ。」
「私と一緒にギルドに行ってギルド統括にそのカードを見せてほしいのニャ。」
「いいよ?」
マリーちゃんとメリィちゃんが泥棒扱いされるなんて嫌だしね。
「でもカード見れば分かるのになんでギルドマスターはそんな嘘を?」
「ん~それが分からないニャ。よほど余裕がないのか、それとも討伐者が名乗りでないからすでに街にいないと思ったのか...。」
「普通は名乗りでるものなの?」
「ガルーダ二匹の討伐で街を救ってるから普通なら名乗りでるだろうニャー。街でも英雄が稲妻で二匹のガルーダをつらぬいて一瞬で倒したって噂になってるほどニャ!」
「へー。その人は英雄になりたくないのかもね。」
マリーちゃんはニヤニヤした顔で私を見つめる。
そんな顔されても私は名乗りでないよ?
平和に自由で楽しく暮らそうとしてるのに、街の英雄なんて冗談じゃない。
『英雄』は重大な責任を個人に押し付ける生贄なんだよ?
私は元の世界でそう学んだもん。
ゲームでね!
私達はマリーメリィ商会をでて、冒険者ギルドに向かった。
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