銀の歌
短編集 後編
【それぞれの好きなもの】
『あの日聞いた言葉がトラウマになることを僕たちはまだ知らない』
やぁ皆さん。こんにちは。僕の名前はシグリア。王国聖騎士団ユークリウス班所属の剣兵です。
今日は僕の昔話に付き合ってもらおうかなって考えています。
僕には同村出身の幼馴染が二人います。私含めて三人の間で起こった小さな物語を、今日は聞いていただきたく思います。時は今から三年くらい前、まだユークリウス班に配属されておらず、王国聖騎士団に入りたての、見習いの頃くらいのお話です。
長くなりましたが、それではどちら様も着座していただいて、穏やかな気持ちで聞いてみて下さい。始めますね……。
✳︎
「おーい!シグリア!」
後ろから馬鹿でかい大きな声が聞こえてきた。街中だというのに、周りに対して一切の気遣いもないこの感じは、間違いなく奴だ。
「ドルバ! 僕らはもう村人ではなく、聖騎士団の一員になったんだぞ。少しくらいは立場に見合った振る舞いをしたらどうなんだ……」
顔をしかめさせて言う。
「ん〜な、かったいこと言うなよー。人生がつまらなくなるぜ〜。なぁお前もはっちゃっけていこうぜ」
きひひと獲物を狙う肉食獣のように、顔をこわばらせる。
その様子に呆れて頭を抑える。
今までだって何度かドルバには、自分の立場に見合った振る舞いをするように言ってきた。しかしいくらこの類の話をしても、ドルバが変わることは一度だって無かった。
だから僕は不毛だなと思い直して、代わりに別の話題をドルバにふった。
「そう言えば、ミリアちゃんは一緒じゃないのかい?」
「んー? あいつならお前と一緒かと思ってたけど、違ったのか……」
ミリアちゃんとは、僕にとっても、ドルバにとっても大切な幼馴染のことで、家族の一人と言っても過言じゃない。
そんなミリアちゃんはどこか抜けた所があり、一人にさせておいたら、なにかと厄介ごとに巻き込まれる。そのため僕らは、なるべく彼女が一人にならないよう、たいてい一緒にいるようにしているのだが……。
今回はお互いに、相手の側に居るだろうと考えてしまったようだ。
「ドルバ、まずいね……」
「ああ。まずいな」
真剣な顔つきで互いに顔を見合わせると、言葉もなしに走り始めた。
「ドルバ、僕は大通りを探しつつ、人に聞き込みをする。君は狭い路地に、彼女が迷い込んでないか探してくれ。街の中だ……。森とはまた違った入り組み方をしている。彼女がそういった場所に迷い込んだら、自力では確実に抜け出せない」
「おう」
僕らは散会する。想いは同じ。
ミリアちゃん……無事でいてね。
✳︎
「すみません。ちっちゃい身長の、赤みがかった黄色の短髪の女の子、見ませんでしたか?」
「ごめんなさいねぇ。私は見てないわ」
「……そうですか。いえ、ありがとうございます」
お辞儀をして感謝すると、おばさんは申し訳なさそうに笑いながら、立ち去って行った。おばさんが十分に離れた事を確認すると、頭を上げ、ため息をついた。
「はぁ」
あれから何十人に話を伺っただろうか。以前ミリアちゃんに関する情報は集まらない。
ドルバからも連絡が来ないし……本当にどこへ行ってしまったんだ。ミリアちゃん……。
足取りを重く、陽が傾き始め、赤らんだ街並みを眺めながら行く。
後一人、話を聞いてダメだったら、一旦ドルバと合流して、作戦を立て直そう。
そう思い、藁にもすがる思いで、帽子を被った紳士風の男に声をかけた。
「あの、すみません……」
「何かな」
帽子を手で押さえてこちらへと振り向く。その顔は厳しく、体もたくましいため、失礼な話。なんとも人を怯えさせる容姿だなと思った。
ゴクリ。息を呑みながらも、勇気を振り絞り尋ねる。
「すみません……。赤みがかった黄色い短髪の子、見かけませんでしたか? 11歳の女の子なんですけど」
相手の顔色を伺うように、少し怯えながら尋ねる。男性は話を聞くと、思い返すように目を閉じる。
「ほぅ」
それからしばらくの時間が経つ。緊張しながら待っていると、シルクハットの男は、苦しそうに笑って。
「すまんな。分からぬ」
そう呟いた。
「いえ! いいんです! お忙しいところ、時間を割いてしまい、申し訳ありませんでした」
深々とお辞儀をして、お礼の言葉を述べる。
すると男性から「代わりといってはなんだが……」と木製の割符をもらった。
「それはここの近くの、細い路地にある、小さな食事処の招待券だよ。裏に地図が書いてある。君はどうやらたくさん走り回っているみたいだからね。その女の子の事が心配なのも分かるけど、少しは休憩もしなさい」
優しい声音で言ってくれた。言われて自分の容姿を見てみれば、土煙がつき茶色く汚れ、全体的に汚らしい。それは確かに酷い姿だった。同情心を誘う姿といってもいい。
「あっ……」
僕が呟くと、その人は目配せして立ち去って行った。僕は瞳に涙を浮かべ、その人を見送った。
「ありがとうございます……。本当に……本当に」
人の優しさに絆され、自分の立場など忘れて、僕はそこでいつまでもお辞儀をし続けた。
✳︎
辺りが陰り始めた頃、消え入りそうな夕焼けの光を頼りに、僕はおじさんに貰った例の割符を持って、細い路地を歩いていた。
あれからも散々散々探し回ったが結局見つからず、ドルバと一時合流して、あれこれと話してみたが、そうしている内に辺りもすっかり暗くなってしまった。
僕らの体力も限界だったため、彼女のことを思いながらも、一度休憩を取るべきだと言う話になった。
そこで僕が割符の事を話したら、そこへ行こうという話運びになり、今そこへ向かっているという訳だ。
「はあ。これは知る人ぞ知るって感じだな。普通に歩いたんじゃたどりつかねぇぞ」
入り組んだ道を行きながら、後ろでドルバが独り言のように呟く。
「……本当にその通りだね。これは偶然には絶対に辿り着けないね」
独り言と分かりながらも、僕もドルバの言うことに思うところがあったため、返事をした。
「案外こういう所にミリアがいたりしてな……!」
ガハハとドルバが笑う。僕もその言葉に笑いながら軽口を返す。
「言えてる」
二人ではははと笑いながら、そのお店と思わしき場所にたどり着くと。ーーいた。
「おい、あれ」
ドルバが驚愕したような顔でこちらへと振り向く。僕の反応を待っているようだった。しかし、僕はそのことに反応するよりも、ミリアちゃんの姿に意識を奪われていた。
足音を鳴らして、よだれを垂らすミリアちゃんの側へと向かう。
「あっ、おい! シグリア!」
後ろからドルバが駆け寄ってくるが、そんなことはどうでもいい。今は、ただ!
「ミリアちゃん!!」
怒声をあげる。
「ーー!!」
ミリアちゃんはびくりと、小動物のように身体を震わせ、怯えた瞳で見てきた。
「……シグー。どしたの? そんな声を……その、出して」
ミリアちゃんは戸惑いながら、プルプルと震える。その姿に僕はさらに怒りを覚える。怒っている理由に気づきもしていないのか。
怒りに身を震わせながら、ミリアちゃんの肩を掴み叫ぶ。
「ミリアちゃん! 僕らがどれだけ心配して、君を探していたのか分からないのか!?」
「ーーひぅ」
耳を抑えるミリアちゃん。
あくまでもこちらの話を聞かないつもりなのか、その場から逃げようと、ミリアちゃんは立ち上がり走りだした。
「こらっ!待て!!」
しかしグイと腕を掴むことで逃亡を阻止した。
ミリアちゃんが辛そうに声を漏らす。
「いた、痛! 痛いよ、シグー……」
涙目で訴えてくるが、そんなことは関係ない。ミリアちゃんの言動に、散々困らされてきた僕だが、今回のことばかりは許せない。一度ガツンといってやらねば……。
「ミリアちゃん!!!!!」
『君が周りをどれだけ心配させたかと思っているんだ……反省しろ!!』言おうとした所で、後ろからチョップが飛んできた。
「ぐぇ!」
怒りに満ちた瞳で後ろにいる人物に振り返る。
「何するんだドルバ!!」
「はぁ。いいから落ち着けよ」
耳をほじりながら、あくび混じりにドルバが言う。
その姿に僕は更に怒りを覚えるが、続けざまににドルバが放った言葉に僕は衝撃を受けることとなる。
「俺たちはさ。ミリアを心配して探していたのであって……。怒りをぶつけるために探してたわけじゃねぇだろ? ミリアの姿……見えてんのか?」
言われてミリアちゃんの方をもう一度よく見る。彼女は涙と鼻水とで、顔をぐちゃぐちゃにして、泣き喚きながら「ごめんなさい……ごめんなさい」と小さな声で謝っていた。
ミリアちゃんを逃さないようにと、僕が掴んだ彼女の腕からは、ぷちぷちと筋繊維がちぎれる嫌な音がする。僕らは聖騎士……普通の人とは鍛え方が違う。彼女も聖騎士とは言え、やはり性別の壁がある。同じ時間や量で修練を積んだ時、どうしても差が開く。
つまり、こんな風に痛めつけて、泣かせているのは他でもない僕のせい。
「あっ……ああっ」
力強く握りしめていた腕を放す。そして今更遅いとは思うが、頭を軽く下げて「ごめん」と俯いて呟いた。
僕が握っていた腕とは反対の方の手で、ミリアちゃんは自分の腕をさすった。
「ほら、冷静じゃなかったろう?」
「あ、ああ」
ドルバがけらけら笑いながら、僕の頭をわしゃわしゃと荒く撫でた。なので僕の頭はボサボサになった。
力無くその場に佇むと、ドルバが代わりに僕の前に立ち、痛さからか座り込んでしまったミリアちゃんに、話しかけていた。
「ほ〜れ、ミリア。大丈夫だったか? 腕、痛いだろう? 後で医務室に見せに行こうな」
よしよし頭を撫でて、ミリアちゃんをあやす。そうしてドルバは少しずつ少しずつ、彼女の緊張をほぐしていく。
泣きじゃくっていたミリアちゃんは、やがて落ち着きを見せ始めた。
そしてここで、ドルバは「でもな」と呟いた。
「でもな……。シグリアがここまでになっちまったのは、お前のせいでもあるんだぜ? シグリアが怒ることなんて滅多にないだろう?」
いつものおちゃらけた態度は何処へやら。頼れる兄貴といった感じで、頭を撫でている。
「どうしてここへいたのか、とか。今まで何をしてたのか、とかは聞くつもりはねぇぜ。
まぁ行くにしても、黙って行くことはねぇんじゃねぇかって、言いたいけどな」
ミリアちゃんはごしごしと目元をこすると、安心しきった顔で、ドルバと目を合わせた。
「もうお前も11だもんな。別に俺らが気にすることはねぇと思うが、ここは俺たちにとって初めての街で、一度迷っちまったら、土地勘のない俺たちじゃ、のたれ死んちまうかもしれねぇ」
「分かるか?」と頭を撫でて訊く。
それを聞いたミリアちゃんはこくこくと首を縦に降った。それを見たドルバは、暖かく笑った後、目を伏せた。
「それに俺たちは、お前の兄さんに。テューイさんにお前を【頼む】って言われちまってんだ……。過保護になる理由分かってくれや」
その言葉を告げた時、ミリアちゃんは顔を陰させると、静かにコクリと頷いた。
それを見届けたドルバは満足そうに頷くと、僕の方を見るようにミリアちゃんを誘導した。今までは僕の姿が見えないよう、ドルバが自分の身体で遮っていたのだが、大きくそれたのだ。
「ほら、んじゃあーシグリアに謝っとけ……。誰よりもテューイの兄さんの意思を引き継ぎ、お前を心配してるのはシグリアなんだから。今回も必死になって、お前の行方を知るために、数えきれないくらいの人達に、話を聞いて回っていたんだぜ?」
ミリアちゃんの頭をポンポンと二回叩くと、僕達から距離をとった。
ーーミリアちゃんが立ち上がる。
僕もいい加減に俯いていた顔を上げる。そしてミリアちゃんに視線をぎこちなく合わせる。
「その……ごめんね」
僕は謝る。その言葉に、ミリアちゃんはふるふると首を振って、僕の手を包むように、両手で優しく【弱く】握ってきた。
「こっちがごめんね……だから、いいの。ごめんねシグー」
僕は彼女の背に腕を回すと、優しく抱きとめた。そして一つだけ涙を落とした。
「君が無事でよかった」
「うん、うん」
ミリアちゃんも、涙の通り道の跡に、もう一度雫を通らせた。そしてそれを、僕の肩に押し付けてくる。彼女の顔は見えない。でもきっと、安心した顔をしてくれていると、思う。思いたい。
そんな僕らを見ていたドルバが、不意にまた、馬鹿みたいに大きな声を出した。
「しっかし腹減ったよなぁ〜。なんかしら胃に物を入れねぇと、俺はもうもたねぇぞ。てめぇらはどうなんだ?」
いっひっひと悪役のような笑みを浮かべて問いかけてくる。そう、これがいつものドルバだ。だから僕も真面目ぶって言う。
「はぁ。だからドルバ……。あまり大きな声を出すなって言っているだろう? それに今はもう夜だ。近所迷惑だ」
指を立てて言うとドルバは「んなもん気にすんな」と言って笑った。僕はその様子を、何か満ち足りた様な顔つきで見つめると、「そうそう」と思い出した様に言う。
「こんな所にお食事処の招待券があるんだけど。加えてその場所はここだったりするんだが……?」
ミリアちゃんの耳に届く様に、得意げに言う。すると彼女は、僕の懐から顔をキュポンと抜き出して、僕の顔を見上げた。
「えっ! えっ! 本当なの?」
明るい声で言うミリアちゃん。現金だなぁ。
僕はその様子に苦笑しながらも、お店の方へと向かって歩いて行く。
「そうだよ。ここは僕とドルバが持つから入ろうか、ミリアちゃん。ここのお店に張り付いていたっていうことは、何か食べたいものがあったんだろう?」
お店の扉に手をかける。それを見たミリアちゃんは、爛々と目を輝かせながら、僕のすぐ後ろにひっついた。
ドルバが「何言ってんだてめぇ! 全部お前の奢りだろうが!」と言っているが、目で威圧した。
そしてドルバを黙らせたところで、ミリアちゃんに尋ねる。
「ミリアちゃんは何が食べたかったの?」
お店の扉を開ける。そして後ろからは明るくて可愛い声がする。
「うん! ミリアはね!!
【パスタ】っていうのが食べたいの! とっても気になるんだ!!」
笑顔で語るミリアちゃんを僕たちは暖かく見守り、「じゃあ僕らも、それにしようかな」と呟いた。
その日から絶望が始まることには気づかなかったんだ。僕たちは。
『胸に対するこだわり。前編』
「だからよぉ、ユークリウス。胸だよ、胸!」
「そう……なのか? ダリ」
若い青年の二人が、密室で何やら密やかな話をしていた。一人は机の上に積まれた書類の山と向き合い、仕事をしながら。一人はその机に腰掛けて、鼻歌を歌いながら。
「おうともよ! やっぱり筋肉っつったら胸筋が一番だろうよ!」
鼻の下辺りをクシッと擦る。まだ成人もしていない二人だが、このダリと呼ばれた男には、既に髭がある。そのため、その仕草もなんだか様になり、説得力が上がっているような気がする。
「……そうなのか。ふむ……。まぁお前がそう言うなら間違いないか」
「ああ、世の中の大半の人間は、胸筋が間違いなく好きだろうよ! お前も今度誰かに『好きなものってなに?』って聞かれたら胸が好き! って言っときゃいいんだよ……。それだけで、話が必ず膨らむから」
親指を立てて力説する。その言葉を聞いて、ユークリウスは、まぁ、そういうものなのか。と納得しかけていた。
しかし。
「いや……待て……。それは私達のようなーー男性からしてみれば、なんの問題もないが……。女性に対して、そのように答えるのは何か間違いじゃないか?」
流石におかしいと感じたのだろう。幼さの残る顔をしかめさせ、ユークリウスはダリに反論する。
しかしそのくらいの反論、予期していたとでも言うように、スラスラとユークリウスを丸め込ませるための言葉を並べ始めた。
「ちっちっちっ! バカだなぁ! 女だからこそ喜ぶってもんだろ?」
「なに……?」
「だってなぁ、考えてもみろ? よく聞かないか『わたし〜男性のたくましい胸が好きなんです〜』って言葉」
ユークリウスは手を止めると、今までそんな言葉を聞いてきたことがあるか考えてみる。すると彼の記憶には確かに。
「……あるな」
それを聞き、ダリは満面の笑みで「だろぉ〜〜」と、下卑たにやけつらをユークリウスに向けた。
「ああ、だから次お前が、女に好きなものは何? って聞かれたら『胸』って答えろよ」
「わかった」
素直に返事を返す。ダリという男に遊ばれているのにも気付かず、ユークリウスは次々とダリのいう言葉に頷いていく。
「ふむぅ。よく分かったぞ……しかしやはり不安だな。そんなことを言って大丈夫なものか」
全てを聞き終えた後に、ユークリウスは不安げな声を出す。しかしその不安を無理矢理ねじり潰すように、ダリは最後の手札を切った。
「な〜に言ってんだぁ。【親友】。お前の唯一の友人が言うんだ。間違いないだろう?」
その言葉を聞いた時、ユークリウスの表情自体は変わることはなかったが、少しだけ上ずった、明るい声がした。
「ああ。ああ……。お前の言う通りだ、親友よ。ダリ・ジェハード。そうだな。お前が間違ったことなどいうものか」
ユークリウスは納得しながら、自分に言い聞かせるように呟く。それを見てダリは満足そうに笑った。
「いよ〜し! 我が親愛なる友、ユークリウスが、納得したところで……俺は行くとするよ」
ガタンと仕事机から跳び降りると、出入り口の扉まで移動する。
「ふむ……もう行くのか」
「ああ。行くとするぜ。鍛錬があるからな! なぁに心配するな。大親友が言うんだぜ! 間違いないって」
ケラケラといやらしく笑う。もしここに第三者がいようものなら、ダリ・ジェハードがユークリウスを謀っているのは、誰でも簡単に分かるだろう。
ユークリウスだって、コミュニケーションが壊滅的にできないだけで、馬鹿ではない。
普段のユークリウスならこんなこと、流石に気づくのだろうが、ダリの言葉を聞くたびに、彼の警戒心はどんどんほどけていってしまっている。
「そうだな、ではな。親友」
「おうとも! 親友」
そう言ってダリ・ジェハードは、ドアを出て行く最中、小さく呟いた。
「まっ、俺は……【悪友】の類だろうがな」
彼は呑気に鼻歌を歌いながら、すれ違い様にユークリウスの部屋へと向かっていく、小金色の髪の少女を見送った。
✳︎
余談だがこの少女。ユークリウスの誕生日を聞きに行ったらしい。
短編集 終了
まずは50話……62部分という膨大な量を読み進めてくださり、本当にありがとうございます。
この小説を読んで下さった皆様が、楽しい時間を過ごせていたのなら幸いです!
そしてこれからも銀の歌、応援してくださったら嬉しく思います。
後、胸に対するこだわりの、後日談はまたいつの日か。
✳︎
シ「そう言えばドルバ……」
ド「んだぁ、どうした?」
シ「何で僕が数えきれないくらいの人に、話を聞いて回っていたって知ってるんだ?」
ド「自分で言ってたじゃねぇか? 聞いてくるってよ」
シ「いや……まるで見てたみたいに言うもんだから」
ド「…………」
シ「ドルバ? こっちを見るんだ」
ド「やっべ、途中サボってただ見てただけなのがバレる」
シ「ドルバ……(怒)」
読み終わったら、ポイントを付けましょう!