私の名前は早乙女千尋。中学3年生だ。
あの悲劇が起きたことで私は住み慣れた東京の街を離れ、2学期からはこの信州の田舎町・御影町で暮らすことになった。
仲の良かった友人たちとも離れ、一人ぼっちになった私は遠縁の親戚に引き取られて来た。
親戚たちは私を厄介者として扱い、使われていないこの離れの別宅で1人で過ごしている。
それでも私は悲しみを克服し、新しい生活を楽しんでやろうと思っていた。
しかし…現実は甘くなかった。
この御影町は閉鎖的だ。
それは私が新しく通う御影中学校も例外ではない。
クラスメイトたちのほとんどは保育園から中学までずっと一緒に過ごしているのが当たり前。
良くも悪くも団結力も強い。
そんな奴らが他所者の私を受け入れるわけがなかった。
そして始まったのは……。
『いじめ』
始まりはささやかな無視だった。
それがどんどん陰湿になり、それはやがて
恐喝に暴力、脅迫へとエスカレートして行った。
でももう慣れた。
あと半年で卒業するんだし、高校生になったら東京へ帰るつもりだ。
もうこのままでいい。
そう思うようにさえなってしまった。
あの時までは……。
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