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23話 沖縄1日目①

公開日時: 2020年9月2日(水) 13:00
文字数:3,192

23話 沖縄1日目①



沖縄の綺麗な海を上空から見てテンションが上がった僕らは、しばらくして那覇空港に着陸した。


「「沖縄ーーー!!あちーっ!!」」


沖縄の地に降り立つと双子が同じポーズで叫ぶ。


涼しく冷房が効いた空港内から1歩外に出ると東京みたいに蒸し蒸しはしていなくてカラッとしているけれど、日差しが強く、それが痛いくらいだった。


今日の沖縄はよく晴れている。快晴。


春樹が日焼け止めを勧めてくれてよかった。


「とりあえずこれからレンタカー借りに行かないとね」


雅さんに僕達は頷き、ゆいレールで市内中心部のレンタカー営業所に向かう。

送迎がある営業所は今のシーズンは混雑するらしいと聞いたので避けた。


営業所でレンタカーのピックアップを済ませ、乗り込む。

7人乗りのワゴンをレンタルした。

運転はゴールド免許所持の秋斗さんが担当する。

荷物を積み込み、車内へ。


「秋斗、安全運転頼むぜー」


「わーってるよ、春樹」


僕の隣で春樹がシートベルトを締めながら片割れに忠告?する。

助手席に雅さん、真ん中に僕と春樹、最後尾に拓也さんと泪さんが座る。


「えー、と?まずメシだっけか?」


「確か、なかむらそばだよね?恩納村の……」


秋斗さんと雅さんがカーナビを弄る。


この2泊3日、ある程度行く場所は決めてある。


1日目はこれから自家製麺なかむらそばというそば屋に行き昼食をとり、それから同じ恩納村のガジュマルアートクラフトというアクセサリーショップに。

その後1日目お世話になるホテル オリオン モトブ リゾート&スパにチェックイン後、隣接するエメラルドビーチで遊ぶ。


1日目も大概楽しみだけど、2日目、3日目も楽しみだな!!


ワクワクして口数の多い僕達に対して後ろの2人が静かになったので覗いてみると、拓也さんに寄りかかって泪さんが眠っていた。


拓也さんと目が合う。

拓也さんはシーっと唇に人差し指を当てる。

僕は頷いてまた座り直した。


「ああ、泪はあんまり朝早いの得意じゃねーんだよ。いつも気だるそうにしてるだろ?」


「あー、なるほど。明日だいぶ早いけど大丈夫かな」


「まあ、誰かさんが無茶させなきゃ大丈夫だろうよ」


「確かに」


「……精進します」


前方の2人から笑われて拓也さんが苦笑していたのがわかった。


明日は美ら海水族館や美浜アメリカンビレッジを巡る。

2ヶ所共に少し時間を要するので朝が早い。


3日目は真栄田岬の青の洞窟でシュノーケリング、その後に国際通りを散策する予定だ。


ずっと運転する秋斗さんは大丈夫だろうか。

代わりたくても免許ないしなーと思ってたけど、どうやら限界がきたら拓也さんが代わるらしい。

「あまり自信がないですけど……」と笑っていた。


しばらくして、車が止まる。

どうやらなかむらそばに到着したようだ。


「泪、起きて下さい。昼食ですよ」


「ん"ん〜。……もぅ、着いたの?」


「ええ」


ふわぁ〜っと欠伸しながら気だるそうに身体を起こす泪さんとそれを優しく見守っている拓也さんが降りられるように、僕と春樹は素早く車から降りて、2人が降りられるように座席を移動させる。


「泪、大丈夫か?」


「ぅん、なんとか」


「まあ、メシ食ったら目覚めるだろ」


店内に入り、僕達はおすすめのアーサそばとジューシーのセットをそれぞれ頼む。


店の人に聞くと、「アーサ」とはアオサの事で、アオサを麺やトッピングのかまぼこに練り込んであるらしい。

「ジューシー」は炊き込みご飯だと言っていた。このお店ではカツオ出汁で炊き込んであるという。


店内にそばのスープやジューシーのいい香りが漂っている。

誰かのお腹がぐぅ……と鳴いた。


しばらくしてアーサそばとジューシーが届けられる。

アーサの磯の香りとそれと相性抜群のジューシーの美味しさに皆箸が止まらない。


「「うめぇ!!」」


「ホントに美味いね」


「絶品だね!!」


僕達のテンションはまだまだ上がる。


「泪、アオサが唇に付いてますよ」


「え、嘘、どこ?」


「ふふ、此処です」


「ふふふ、ありがとう」


拓也さんは泪さんの唇に付いたアオサを指で拭い、それをペロリと舐めとる。

相変わらず甘い雰囲気だなぁと通路を挟んで隣の席に座っている2人を眺める。


すると僕の隣で、もっもっと美味しそうにジューシーを頬張っている僕の最愛も唇の端にご飯粒を付けていた。


「春樹もご飯粒付いてるよ」


「え、マジ?どこ!?」


「ここ」


僕は指でご飯粒を取ってやり、それを食べる。

春樹は少し顔を赤らめて照れていた。


可愛いなぁ。


「オレらもやる?」


「やらないよ。なんでも影響されるなよ」


「ちぇ」


僕達の向かいに座る元祖バカップルさんはやらないみたい。

秋斗さんは少し拗ねた。


絶品なアーサそばとジューシーを堪能して、少しスマホでこれからの調べ物をしてお会計をして、お店を出る。


「美味しかったね」


「ふふふ、目は覚めましたか?お姫様」


「うん、だいぶ覚めた」


レンタカーに乗り込む頃には泪さんの目もしっかり開いていた。


なかむらそばから10分程走るとガジュマルアートクラフトへたどり着く。


「「「おお!!」」」


センスのいい店内に入っていくと、アクセサリー大好きなセンスのいいお兄さんお姉さんが感嘆する。


あまりアクセサリーを付けない(身に付けているといえばペアリングの片割れと、春樹があの事件の後またくれたリストバンドくらいな)僕も、そのデザイン性の高さに惚れ惚れする。


店内にはピアス、ブレスレット、ペンダント、指輪が置いてある。


僕達はそれぞれパートナーと相談をする。

またひとつペア物を増やそうという魂胆だ。


「うーん、このブレスレット可愛いけどなぁ」


「どれ?」


「これ。このベルトみたいなやつ」


革のブレスレットにベルトのバックルのようなデザインのモノが付いている。これが「ガジュマル」を表現したものなんだろう。


「でも、こっちのペンダントも可愛い」


革のペンダント。

ペンダントトップは「ガジュマル」。


「春樹の欲しい方でいいよ」


「……お前はどっち欲しい?」


「え」


どうやら僕が決めるしかないみたいだ。


センスのいい春樹が選んだだけあって、どちらも捨てがたい。

でも、両方買うと破産確定なのでじっくり考える。


左手首はリストバンドが外せないし、右手首にはあまりアクセサリーは付けたくないしな……。でも、かっこいいなぁ……。でも、値段もペンダントよりは高い。


でも。


「……ブレスレットかな」


「うん、俺もそっちがいい」


僕達はブレスレットにした。


ちなみに秋斗さんと雅さんは指輪(左手親指につけるらしい)で、拓也さんと泪さんはペンダントにしたようだ。


30分くらいお店で居ただろうか。

いい買い物が出来て、僕達のテンションもまだまだ上がる。


それから他愛ない話をしながら1時間。

今夜の宿、『ホテル オリオン モトブ リゾート&スパ』に到着する。


隣接するビーチが本当にエメラルドグリーンの海と綺麗な白い砂浜で東京とは全然違う。


全客室オーシャンビューらしいこのホテルのロビーは光が差し込み明るくシンプルで落ち着いた内装をしていた。


僕達はそれぞれの部屋のチェックインをする。

3部屋とも隣合った客室で、全員一緒に向かう。


「じゃあ、荷物置いたら用意して此処でな!」


春樹の言葉にそれぞれ返事をして客室に入っていく。


「おお!?やべぇ!!洵!!洵!!」


「ん?なに?……って、え!!すっご!!」


見渡す限りのコバルトブルー。

地上で見たよりも綺麗で僕達のテンションは最高潮になる。


「え、沖縄やべぇな?!まじすげぇ!!」


「だね!ホントに来れて嬉しい」


春樹は感動でため息しか出ない僕をぎゅっと抱きしめる。


「ふふ、どうしたの?」


「んー?なんでもー!!楽しもうな!!」


「うん!!」


僕達は水着一式とタオル、飲み物等を持ち、客室を出る。

水着にはビーチの更衣室で着替える。


僕達が客室から出ると言い合わせたように両隣の扉が開く。

そして僕達同様、興奮したような2組のカップルが出てきた。



さあ、いざ!

沖縄の海へ!!



ーつづくー

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