貴方に溺れて死にたい

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25話 沖縄1日目の夜①

公開日時: 2020年9月2日(水) 13:01
文字数:4,141

25話 沖縄1日目の夜①



あれからしばらく沖縄の海を堪能した僕達は、レンタルしていたパラソル類を返却して、軽くシャワーを浴びて着替えてホテルへと戻ってきた。


そして。


「(なんでこうなったんだろう……)」


秋斗さんがホテルに着いてすぐに悪戯っ子な顔をして「なあ、大浴場いこうぜ」と言い出し、それに拓也さんが嬉嬉として賛同(なにか企んでる風)。


泪さんも「それなら私も春樹さんと一緒にお風呂入りたい」とルンルンし始めて嫌な予感はしたが、反論ができず、色男なお兄さん達と大浴場で裸の付き合いをすることになった。


隣で脱衣してる3人を見るとなんかもう……虚しくなってきた……。

色気……色気が……。

しかもめっちゃ見てくるんだが。


「……あの、」


「洵」


「はい?」


「お前、結構でかいな?!」


「おや、本当だ」


「へ?」


やたら見てくるなと思ったら秋斗さんと拓也さんがテンション高めにニヤニヤしだす。

視線の先は……下……下?!


「ど、どこ見てるんですか?!!」


僕は慌ててタオルを腰に巻いて隠した。


「いやぁ、洵くん、裸の付き合いならこういうのは必須ですよ♡」


「だよなぁ。ふむ、なるほど。春樹がハマるわけだ」


嫌な予感はこれだったか。


「何やってるんだよ。てかお前らはちょっとは隠せ」


そんなテンション高めなお兄さん2人を冷ややかな目で見てる雅さん。

雅さんはすでにタオルを腰に巻いている。


そんな雅さんの言葉に、テンションの高いお兄さん達は顔を見合わせ、同時にグッっと親指を立てる。


「「隠さなきゃならないような粗末なモノじゃないから」」


チラリ。

つい見てしまったが確かに、はい。

2人のモノは立派でした。


「隠さなきゃならないような粗末なもんで悪かったな」


「お前は入れる側じゃねーからいいんじゃ……げふっ」


「海に沈められたいの?」


「……しゅまん」


爆弾発言する秋斗さんの頬を片手で鷲掴む笑顔の雅さんは目は笑ってないし、発言がもう怖い。


「雅さんは空手を嗜んでらっしゃいますがどうして秋斗さんに好きにさせてるんですか?」


拓也さんって怖いもの知らずなのか、それともただ面白がってるだけなのか。

雅さんは右頬を引くつかせた。


「しょれはにゃー(訳:それはなー)」


「秋斗?」


「しゅまん」


雅さんはいつになったら秋斗さんの顔から手を離すんだろう。とぼんやり考えていたら彼はスっと手を離し、今度は僕の腕を掴む。


「洵、こいつらといたらお前が穢れる。離れような?」


「え?え??」


雅さんはそのまま僕を大浴場の中に連れていく。


後ろで拓也さんと秋斗さんが「雅さんが浮気してます!!」「雅の浮気者ー!!」と茶番劇を繰り広げでいたが、雅さんが笑顔で「あれは無視していいんだよ?」と言ったのでもうなにも言えなかった。


オーシャンビューな広い大浴場。

僕達と入れ違いに利用客が居なくなったので貸切になる。


僕達はシャワーの前に陣取った。


「結構赤くなったね」


「僕、黒くならずに赤くなって終わるんだよね」


「あ、俺もだ」


僕達は「さすが従兄弟だね」と笑い、シャワーの蛇口を捻る。

秋斗さんと拓也さんも茶番劇を終えてこちらにやってきたみたいだった。


お湯が、赤くなった脚に当たる。


「いっっった!!」


「大丈夫?」


「めっちゃ痛い」


「日陰でいた俺と違って洵は紫外線浴びまくってたからな。俺でも痛いもん」


僕はお湯が滲みて涙目になる。


「洵くん、それは大げ……いたたたたっ!!」


「拓也、お前ラッシュガード着てなかっただろ」


「カッコつけて泪に渡してたもんな」


年長の2人にツッコまれて拓也さんはしょげる。


拓也さんはラッシュガードを最初来ていたけど、「シフォンコートあるから」とラッシュガードを持って来なかった泪さんに無理やり渡したのだった。


ちなみに春樹は自分でラッシュガードを持って来ていた。


最初は着ていなかったけど、その後はがっちり前も止めるものだから、その……ちょっとガッカリしたというか、なんというか。


「だって、あんな可愛い姿をほかの男には見せたくないじゃないですか……」


「え、わかる。水着とかあんなん裸じゃん。無理無理」


「じゃあ、なんでお前は大浴場に誘った」


「それはそれ、これはこれ」


そんな話を笑いながらしながらヒリヒリ滲みて痛いシャワーを済ませ、僕達はお湯に浸かる。


「あ"ーーー」


「いや、おっさんか」


やはりお湯に浸かるのもつらい。

僕と拓也さんが「うぅぅぅっ」「いたたたた」と唸っている一方で秋斗さんがまるでおじさんかのような声を上げる。


てか、今日は雅さんのツッコミが冴えてるなぁ。


「あー?18に比べたら22なんておっさんだろ」


「はいはい。23の俺はおじいちゃんかな」


「いてて」


おふざけをかます秋斗さんの頬を軽く抓る雅さん。


前は、秋斗さんが優位な感じがしてたけど、最近は雅さんが優位な感じがする。精神的に。


「てかさ、お前らはどんなプレイしてんの?」


「はい??」


いや、なんで僕の方を見る。

何故拓也さんの方を見ない。


「ボクも知りたいです!」


「ちなみにお前らは?」


「え?コスチュームプレイとか、縛りプレイとか」


「しばっ?!」


「縛ったり、縛られたり。楽しいですよ♡」


わ、わーお……。

大人の世界だァ……。


「やる?」


「やらない」


「ちぇ。で、お前らは?」


いや、ワクワクされても……。


「いや、そんな特殊なことは全くしてないはずですけど……」


「つまんねー!!」


秋斗さんは叫びながら天を仰ぐ。

その隣では雅さんがなんかいやらしい顔をしていた。


「洵と春樹の場合は春樹が洵に乗ってそうなイメージあるけど」


「う"ぇ?!」


なんか変な声が出てしまった。

いや、大体がそんな感じですが……あの、お兄さん方そんな悪い顔しないで頂きたい。


「当たりか」


「へぇ?なるほどなぁ?」


「女性優位ですか。なるほど」


そこでニヤニヤするお兄さん方にちょっとムッとなった僕は自爆発言をする。


「僕だって、攻める時は攻めますよ」


「「「へぇ??」」」


「……あ、」


これは言っちゃ行けないやつだ。

雅さんまでがなんか悪い笑い方してる。

あー、もうヤダ。


「洵くんはどうやって攻めるんですか??」


「洵、どんな感じ?どんな感じ??」


「俺も興味ある」


此処に!!僕の味方はいないのか!!


「……沖縄の海に沈みたい」


「こらこら」


「……沖縄の海の藻屑になりたい」


「おい、お前のネガティブスイッチどこだったんだよ」


いや、お兄さん方が思い切りネガティブスイッチ諸共僕の羞恥心をぶち抜いて行きましたけどね??


僕は沖縄の海というか、沖縄のホテルの湯船にぶくぶくと沈んでいき、鼻まで浸かる。


「そんな事したら春樹さんが悲しみますよ」


「ぷはっ……そうですけど。元はと言えばお兄さん達が変なこと言い出したからじゃないですか」


「反省はしてない」


「いやしてないんですか」


僕達はそんな下品でくだらない話をしながら逆上せるまで広い湯船に浸かっていた。


「あちー……」


「さすがに逆上せました……」


「ですね……」


「バカ2人のせいだ……」


パタパタと扇ぎながら春樹達を探す僕達。

秋斗さんがiPhoneを取り出し、春樹に連絡しようとした時だった。


「しつっけーな!!だから!!俺達は連れがいんの!!」


春樹の怒鳴り声が少し離れた所から聞こえてくる。

僕達は只事じゃない事を察知し声の方へ。

すると、ガタイのいい4人の男達に春樹と泪さんが絡まれて、いた。


僕はそんな瞬発力があったのかと言うくらい瞬時に春樹の元へ駆ける。

雅さんがそれに驚いて声を上げていたらしい。

気づかなかった。


「えー、いいじゃん。女の子待たすなんて大したことねーべ?」


「ちょっ!!……っ?!!」


男の1人が春樹に触れる前に春樹を横から攫う。

肩を抱き寄せ、僕の胸の中に、隠す。


この女(ひと)は誰にも触らせない。


触らせるなんて、許さない。


「……洵」


「……すみません、大したことない男で。この人は僕のものなのでお引き取り下さい」


「あー?随分ヒョロい坊やだなぁ?でもこっちの姉ちゃんは……っ!!」


春樹に触れようとした男とは別の男が泪さんに触れようと、した。

したが、それは横から伸びてきた腕に掴まれて、届かない。


「大したことない男で申し訳ない。ふふ。彼女はボクのモノですよ」


「拓也、遅いよ」


「すみません、泪」


「くっ、な、なん、だ、この……」


頭1個分くらい上から威圧感たっぷりに睨まれて、さらには手首を潰されかけている。


そして男達はさらに恐怖した。

僕達の後ろからあの2人が圧力をかけてきていた。

2人は空手を嗜んでいる。


男達は「こんなブサイクこっちから願い下げだわ!!」と声を恐怖に震わせながら吠えて去っていった。


僕はそれを射殺さんばかりに睨みつける。


腕の中の春樹が身をよじった。


「……洵、大丈夫だから、あの……離してくれ……」


「……え??あ!!ごめん!!」


僕は慌てて春樹から離れた。


そして、春樹の全体を認識した。

いつもと、違う。


全く、違う。


いつもは部屋着もスウェットとか男性的でカジュアルなものが多いのに、今日はオフショルダーのシフォンワンピースを着ていた。


「…………」


「……なんだよ」


「え、あ、いや、これ、どうしたの?」


「フッフッフ〜、喜べ少年!!このワンピースも私とお揃いで私が選んだの♡」


そう言って春樹のお腹に腕を回して抱きつく泪さんはこのワンピースの色違いを着ている。


春樹は淡い灰色ベース花柄で、泪さんが淡い黄色ベースの花柄。


泪さん、グッジョブ。


「東京に帰ったら何か奢るよ」


「私、新作のピアスが欲しいな」


「ぐっ、頑張ります」


「やったね!!」


でも財布は寂しくなるなぁ。


「馬子にも衣装だな」


「はぁ?!似合ってないのはわかってんだよクソ秋斗!!海に沈めてやろうか!?」


秋斗さんは悪態を吐くけど照れくさいだけなんだろうな。


「俺がやっとくから大丈夫だよ、春樹」


「なんでだよ!」


「任せた」


「おい、なんでだよ!!」


僕はそんなお姉さんお兄さんのやり取りもあまり頭に入らないほど春樹のワンピース姿をじっ……と見る。


「……なんだよ、洵」


「いや、春樹可愛いなって」


「はぁ?!か、可愛くないだろ!!」


「ううん。可愛い」


「〜〜〜っ!!!」


「痛い痛い」


春樹は照れて僕の脇腹を殴ってくるけど、痛くなんかないよ。


今日も春樹が可愛い。



そんなやり取りをして、僕達は夕食を取りにホテルのレストランに向かった。



ーつづくー

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