29話 沖縄旅行最終日
沖縄旅行最終日。
今日は目覚ましではなく、唇に何か触れた感触があって、僕は目を覚ます。
目を開けると視界いっぱいに、女神な笑みで微笑む春樹が入ってくる。
僕が寝ている間に僕の唇に触れたものは、恐らく春樹の唇だろう。
「……寝込み襲わないで」
「可愛い顔して寝てたからついな」
おはよう
とまた春樹は僕に覆いかぶさり口付ける。
深く重ねてるうちに僕達の位置が入れ替わる。
僕が春樹に覆いかぶさり口付けする。
「……ダメだかんな」
「……分かってるよ」
春樹の服の中に手を入れると行為を制止されて不貞腐れながらもまた軽く口付けて僕は春樹から離れて、起き上がり、伸びを1つ。
「んんー……」
「今日最終日とか寂しいな」
「また来ようよ。……今度は2人で」
「ふふ、うん、そうだな」
春樹が僕の肩に擦り寄ってきて、僕は彼女の額に口付けて、幸せな時間が流れる。
いつまでもイチャついてる訳にいかないのでベッドから出て出かける準備をする。
今日は泪さんは春樹のメイクをしに来ることなく、ギリギリまで2人で過ごした。
今日の春樹は可愛らしいワンピースではなく、いつも通りのカジュアルなスタイルだった。
「今日はワンピースじゃないんだね」
「向こう帰るしな。……2人の時また着てやるから」
「ふふ。うん」
そして、ロビーラウンジで他の2組のカップルと待ち合わせて洋風の朝ごはんを食べる。
泪さんは今日はずっと眠そうな顔をしていた。
旅の疲れが出てきたのかな。
それを拓也さんが介抱していて微笑ましかった。
「最終日か」
「なんか寂しいですね」
「でも、いい思い出になったしよかったよね」
秋斗さん、拓也さん、雅さんが旅の終了を寂しがる。
「雅、新婚旅行は沖縄にするか」
「え、別にいいけど、なに急に」
「なんとなく」
「なんだそれw」
元祖バカップルの2人が新婚旅行についての話をする。
やはり2人も……というか拓也さん達もだけど沖縄を大層気に入って、また来たいねとパートナーと話す。
春樹さんとまだ眠そうな泪さんも「女2人でも楽しそうだよな」と話してて、ナンパとかされそうで不安になるけど、でも2人が楽しめるならそれでいいと思った。
今日はさすがに秋斗さんも疲れていたらしくレンタカーの運転を拓也さんと代わる。
助手席も雅さんから泪さんに代わって、真ん中の席に僕と春樹、最後尾に秋斗さんと雅さんが座った。
これから『青の洞窟』という場所に行ってシュノーケルをする。
口コミサイト満足度で上位を独占する青の洞窟専門店にお世話になる予定だ。
僕は泳げないから不安だったけど、るるぶに「泳げない人でも安心」と書いてあったし、春樹が「大丈夫だよ」と微笑むから大丈夫な気がした。
シュノーケルを始めて、最初は背の立つ浅瀬で練習するしライフジャケットを来ていたから僕も中々に楽しめた。
綺麗な透き通る海の中に綺麗な魚が悠々と泳いでいて圧巻だったし、青の洞窟もなかなかに凄かった。
しかし、ガイドさんが「トビエイ居ますよ!」と言われトビウオと勘違いして海上に頭を出し春樹に笑われる。
「下、下だよ、洵」
「え?!あ!!間違えた!!」
「あははっ!」
海の中に再び顔を突っ込むと自分のちょうど下にエイがいた。
「なに、洵はエイがトビウオみたいに飛んでると思ったの?」
「怖ぇわw」
そして、海から上がってからお兄さん達からもからかわれる。
恥ずかしい……。
写真をいっぱい撮って貰い、満足してシュノーケルを終え、今度は国際通りに向かう。
「沖縄に住みてぇ」
「ふふ。老後は沖縄に住む?」
「いいな、それ」
最後尾で元祖の2人が老後のプランまで考え始めた。
それに便乗して拓也さんが「ボクたちもそうしますか?」と泪さんに尋ねると泪さんは「私は東京がいい。それに沖縄はたまに来るからいいんじゃん」となかなかにドライな返答をしていた。
昼食は県庁近くのモスバーガーにした。
「最初どこに行きます?」
食べ終わってモスバーガーを出て店先で拓也さんがみんなに問いかける。
「「ブルーシールアイス!!」」
お姉さん2人は目を輝かせ答える。
ブルーシールアイスは沖縄に来たら食べてみたいって言ってたからなぁ、春樹。
なかなか有名なアイス屋さんらしい。
ブルーシールアイスに移動して、僕達はそれぞれ注文。
僕はやはり冒険したくなくて、バニラ。
春樹はパッションフルーツと紅芋。
秋斗さんはシークワーサー。
雅さんはマンゴタンゴ。
拓也さんはサンフランシスコミントチョコ。
泪さんはトロピカルマーブルと琉球ロイヤルミルクティー。
「泪さんのそれ、凄い色」
「トロピカルマーブル?なんかブラッドオレンジとキウイとバナナだって」
拓也食べる?
と奇抜な色のアイスを拓也さんに1口おすそ分けする泪さん。
秋斗さんと雅さんもお互い食べさせあったりしていて、少し羨ましくなる。
「春樹、紅芋頂戴」
「冒険したくないんじゃないの?」
「紅芋は興味ある」
「あはは。はい、あーん」
あーんされて紅芋のアイスを1口食べると紅芋のまろやかな甘さが口の中に広がる。
バニラ頂戴と春樹が言うので多めに取ってあーんする。
アイスを平らげて、別の店を物色する。
ブルーシールアイスの次はTシャツやシーサーが売ってるお店に入った。
拓也さんと泪さんがお揃いでシーサーを買い、秋斗さんがTシャツを買う。
雅さんも迷いながらもシーサーを買っていた。
その次は灰さんのお土産を買うために泡盛のお店に入った。
「嫁さんは妊娠中だから別のだな」
「紅芋タルト欲しいって灰言ってたよ」
秋斗さんは「あいつ、自分が食べたいだけじゃねーの?」と笑う。
それから『御菓子御殿』という沖縄土産のお菓子がたくさん置いてあるお店に入った。
旅行の後、«sins»と«ジェミニ»で宴会を開くから僕達はそれ用にお菓子をたくさん購入した。
もちろん、灰さんの奥さんにも紅芋タルトともう1つ別のお菓子を買う。
それからまた移動して違う店に入り、僕と春樹は黒糖紅芋ドーナツ棒を、泪さんは何か調味料を買った。
また少しブラブラして、いい時間になったので、近くの駐車場に止めていたレンタカーに乗り込む。
「あーあ、もう終わりかぁ。楽しかったのにあっという間だね」
「でも本当に楽しかったですね」
運転席と助手席の2人がそういうので僕達も頷く。
レンタカーを返しに行って、またゆいレールで空港まで行き、空港でまた店を巡って、飛行機で東京へ。
僕達は飛行機内で全員爆睡していた。
飛行機を降り、電車に乗り、最寄り駅へ帰ってきた僕達。
他の4人と別れて家路に着く。
「はー、終わったなぁ」
「楽しかったね」
「また絶対行こうな」
「うん!」
僕達は家に着いてからお土産を広げたり写真を眺めながらあれやこれや言ったりして旅行の余韻に浸った。
旅行、楽しかったなぁ。
本当にまた春樹と行きたい。
出来れば、新婚旅行とかであればいいな。
ーつづくー
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