この作品は、他の伊集院アケミ作品とは性格が異なる。読んでみて意外性を強く感じた。
小説というよりも、エッセイに近い。それと、内容を咀嚼するのに労力が要る。時間と心の余裕がある時にじっくり読むことをお勧めする。
第一章は作者自身の内省、第二章は作者の人間観が描かれている。どちらも、ある種グロテスクなほど在りのままに、率直な表現で語られている。「ぶちまける」と言う方が適しているかもしれない。
圧巻なのは第8話。「この絶望の中にこそ、選ばれしものの恍惚と苦悩が表現される」ここに色々な思いが凝縮されていると感じた。作者が、作家としての自分自身に向き合い、その苦悩を昇華してこそ書ける文章だと思う。
この作品は、作者が、底の底まで人間を自覚し尽くそうとした結果、生まれたのだと思う。読み手も、相応の覚悟を持って読まなければならない。そう思わされる作品だった。
まだ消化しきれていない部分もあるので、何度か読み直そうと思う。この連休中、デジタルデトックスはできそうにない。