どれくらい続いただろうか。
あるときから私は交換日記を渡せなくなった。
いつも学校から帰るときに渡していたから、まひろは交換日記を待っているそぶりを見せたが、気付かないフリをした。
まひろも交換日記を楽しみにしていたことが、ひしひしと感じられた。
渡せなくなった日から、私の口数は減っていった。少し前まで、帰り道ずっとしゃべっていたのに。ひとことふたこと話すだけになっていた。
その日もいつものように、まひろと下校していた。
しかし、いつもと違って私はひとことも話さなかった。話せなかった。
まひろはとても心配そうにしている様子だった。
通学路、まひろと別れる場所で、ランドセルからノートを取り出した。
まひろは「あっ」と声を出した。きっと私が交換日記に飽きてやめたと思っていただろう。
まひろの胸にノートをおしつけて私は逃げるように走りさった。
だってだって、あのノートに書いたから。
ここまで言えなかったこと、書いたから。
言ったら、悲しむ。それに絶対、自分が泣いてしまうから。
──まひろのこと好き。
でも、もう会えない。
ごめんね。
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