人生が二度あったので押し掛け女房に翻弄された男が純愛を貫き壮大な夢を叶える物語

主人公の現世では押し掛け女房に出逢い翻弄されるが、死後の異世界では愛妻と望んでいた幸せなスローライフを満喫します
K.Yoda K
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第一話 その二 主人公 依田和夫

公開日時: 2022年4月7日(木) 20:16
文字数:1,400

この物語の主人公である依田和夫(以下、和夫)は東京都白金区に三人兄弟の長男として生を受けるが特に父親と意見が合わず、両親からはネグレクト状態で育てられていた。ただ幼少の頃から父親の弟の叔父からは可愛がられていた。そんな家庭環境だった事で和夫はひねくれて高校時代はヤンキーになり地元蒲田では札付きの不良となり年下は可愛がったが年上とは喧嘩ばかりしていた。

 

祖母が会員制クラブとお好み焼き屋を経営していた関係上、子供の頃から飲食には親しみを持っていたまた祖母が作ってくれた、饐えたご飯を使った焼き飯は和夫にとってのお袋の味でもあった。そして祖母は特に中国料理好きで食道楽だったことで親戚が集まる法事では池上の池上苑や東天紅などで食事をしていた。今でも忘れられない味としては有名中国料理店で食べた「鯉の丸揚げ あんかけ」「自家製ザーサイ」「白飯」だ。

 

 また和夫の産まれ故郷であった五反田駅前東口の亜細亜に祖母は彼を連れて良く行っていた。亜細亜での忘れられない味は「五目焼きそば」と「シュウマイ」だった。和夫の味覚はこの時期までに確立されたといっても過言ではない。

 

 更に祖母は六十歳になった時にヨーロッパを一人旅し、絵画を描いて展覧会で賞を受賞し、多才な才能を発揮していた。和夫は祖母からの影響をそのまま受けて育った感があった。

 

 高校時代はバイクのガソリン代が欲しく、また長期の休みに行く、キャンプや旅の金欲しさで平日夕方からのバイトでレストランの洗い場をやり、週末は銀座松家デパートの夜中の清掃のバイトをしていた。

 

 和夫の高校卒業後は、不良の道からスパッと決別し、料理の道を目指すため、大阪の調理師専門学校で学び、卒業後は東京都内の帝丸ホテルに就職し三年間勤務した後にホテルの研修でフランス、イタリア、スペインの星付きホテルの調理場で各三年間ずつ修業をして帰国後帝丸ホテルに戻った。帝丸ホテルに就職してすでに二十年が経っている。和夫はホテルのシェフに抜擢され、毎日忙しく勤務していた。

 

 そこに取引先のサンツリーワインインターナショナルに勤務していた大久保愛美(おおくぼまなみ)がワインの営業に来た。愛美は当時二十九歳で、外国人のような目がパッチリとした美人で、ギャルソンや調理場の料理人たちから憧れの的だった。

 

 和夫は愛美の事など目に入らないほど、日々の業務に忙殺されていた。ある日、同期でありソムリエの滝川から来月からのワインの件でミーティングを開くと言われ会議室に呼ばれた。その時、初めてサンツリーワインインターナショナルの大久保愛美と名刺交換をする。愛美は事前に和夫の事はソムリエの滝川から聞いていたが和夫は彼女の事は全く知る由もなく、彼女に対しても全く興味もなかった。

 

 その後の和夫は上司の命令で、愛美の父が経営する富士ホテルズジャパン株式会社に、新たに計画されている高級ホテルの総料理長として、更には富士ホテルズジャパン株式会社の総支配人として就職する事になるが、愛美の父親が経営している会社とは知らずに就職した。

 

 愛美の父、正和は和夫との面接時に、高級ホテルが開業するまでは驛前ホテル一号館でゼネラルマネージャーの立場で勤務してほしいと言われるが、和夫は古参の社員に申し訳ないと言い、高級ホテルが開業するまでは平の立場で就職させて頂きたいと志願し了承され、その後は様々な意味での波乱万丈の日々を送る事になる。

 

 つづく

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