人生が二度あったので押し掛け女房に翻弄された男が純愛を貫き壮大な夢を叶える物語

主人公の現世では押し掛け女房に出逢い翻弄されるが、死後の異世界では愛妻と望んでいた幸せなスローライフを満喫します
K.Yoda K
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第一話 その四 正和の正妻 大久保寿江(おおくぼとしえ)と正和の関係

公開日時: 2022年4月7日(木) 20:56
文字数:1,271

正和の正妻である大久保寿江(以下、寿江(としえ))は、驛前ホテル一号店の責任者として、また法人の役職は副社長であるが、正和は寿江自身の経営者としての資質や能力の無さを憂い、驛前ホテル一号館だけの責任者として置いた。

 

 その他のホテルヨーロッパ、ホテルリラックスヨーロッパ、温室、日帰り温泉、土産物販売店、その後に開業するガソリンスタンドや喫茶店は大塚妙子に総支配人をさせた。

 

 新たに開業する驛前ホテル二号館、最高級ホテルは古参の社員に支配人をさせるつもりだ。そしてこの最高級ホテルの総料理長を帝丸ホテルから引き抜いた依田和夫を据える計画だ。

 

 社長の正和に会社には正社員は数えるほどしかおらず、自社で社員を育てる事ができないにも関わらず、「銀行から借りられるだけ借りる」と豪語して次から次に箱物だけを建て続けていた正和の口癖が「社員をシャッフルして移動させる」だった。

 

 この言葉を聞いた社員たちは「シャッフルできるほど社員は居ないよ」と失笑していた。

 

 事実、創業から一緒に苦楽を共にした社員は一人も居なかったし、退職した殆どの社員は皆、正和や寿江の我儘や無礼な言動をされていた事から二人に対し、三行半を突き付けて辞めていった者ばかりと和夫は聞いていた。

 

 正和や寿江は人使いが荒く、守銭奴の如く金に汚く、人情味がない事は御天場市内でも既に有名で、地元では評判が悪かった事で、求人広告を出しても地元民の応募は皆無で外国人が間違って入社するのがオチだった。

 

 寿江は静丘県の会社社長の次女として生まれ、短大を卒業して社会経験をしない家事手伝いのまま正和との見合いで結婚しその後、娘の愛美を授かった。

 

 家事手伝いで社会経験が全くなく直ぐに正和と見合いし結婚した事で、寿江自身が原因で数々の優秀な社員が辞めていくことになった。寿江は驛前ホテル一号館で正和同様に自分が一番でないと気が済まなかった。

 

 そこで宿泊業や飲食業において優秀な社員は他の社員たちから一目置かれ尊敬されていく姿を目にすると、社長の正和にその社員を貶める嘘の報告をし、その優秀な社員に対し、正和から感情的な罵倒の言葉を浴びさせるように仕向けた。

 

 優秀な社員は濡れ衣を被された事で、社長の正和に対して、「こんな会社でやっていられるかぁ!」と激怒して退職していった。

 

 退職していった社員たちは優秀さゆえに、このホテルでこの訳の分からない、人としても尊敬に値しない社長や副社長の元で勤務する必要性を全く感じないからで、当時はまだ世の中の景気が良かったのでホテルマンとしての仕事はどこにでもあり引く手あまただった。

 

 これも驛前ホテル一号館の都市伝説の社長が副社長に怒鳴る際の「としえー!」と同様に、代々ホテルでの語り草になっていた。

 

 故に地元では社長の正和と寿江、そして妾の大塚妙子や部下に対してパワハラをする驛前ホテル一号館の恵比寿料理長の事は市内でも評判が悪かった。

 

 そこへいくと、親の家業を継いだ正和の兄である大久保一族の長男(同市内で会社経営・後に和夫と会う)は誰に聞いても、尊敬に値する人物との評判が高かった。

 

 つづく

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