完結済 短編 現代世界 / ホラー

盗らないで 盗られては困るもの

公開日時:2022年8月18日(木) 11:13更新日時:2022年8月18日(木) 11:13
話数:1文字数:1,014
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 私は、夏木 涼香(すずき りょうか)。

私は、大学3年生で、カフェでアルバイトをしている。

 私は、中学生の頃から、何かに追われていた。

決まって、塾の帰り道、遅い時間であった。

しかし、何者かは、わからない。

 私のカフェには、様々な常連客が来る。

なかでも、ブラックコーヒーを一杯頼み、飲み干すと、すぐにお勘定をして帰る客が、いた。

 私は、思い切って、話し掛けた。

「いつも、ありがとうございます」

 その客は、ニヤリと不気味な笑いを浮かべて、お勘定をして帰った。

 私は、店長に訊こうと、思った。

「今のお客様は、私がシフトでない時もいらっしゃっるのですか?」

店長は、不思議そうな顔をした。

「何のこと?」

「先程、いらっしゃったお客様のことです」

「ああ、心配してたんだ。何もいないところに向かって喋ってたから。」

「男性のお客様の接客をしていたんですよ?」

「そうか。しばらく休んだ方がいいよ」

「え?」

 

 私は、しばらく、大学とカフェを休んだ。

すると、私のアパートにある男性が現れた。

 私は、気味が悪くて、少しだけ、ドアを開けて、話した。

 

 その男性は、言った。

「私は、霊媒師をしている者です」

「あなたの魂が、1億円で売れました」

「え?どういうことですか」

「あなたの体をとても、気に入って下さった魂の方がいらっしゃいまして。あなたが中学生の頃から観察していて、カフェにも、観察に行ったそうですよ。こんなに高額で魂が売れるとは、私も、嬉しいですよ」

 

 私は、思った。

ーあの中学生の頃に追っていたのも、カフェに現れたのも、私を見定めるための観察をしていたのかー

「そんなこと、言われても、困ります。これは、私の体ですよ。盗らないで……」

「仕方ありません。もう、契約は、成立しておりますから。これから、あなたの魂をあなたの体から、離しますので、少々、お待ちを。」

私は、体を霊媒師に盗まれた。

 

 私は、霊媒師に怒って言った。

「私は、どうすればいいのよ!!」

「そうですね。このまま、あの世に行くか。私に、お金を払って頂いて、新しく契約を結ぶかですね。今のあなたの生活水準を守って、あなたが新しい体を得るには、5000万円以上ですかね。勿論、後払いでいいですよ」

「私は、現世にいるわ。決まっているじゃない」

「では、契約を結ぶ前に、新しい体を観察しに行って下さい。」

「あなたの人の体を盗むやり方、どうなのって思うけど。仕方ないわね。探してくる」

 

「行ってらっしゃいませ。ご契約お待ちしております」

 

         完



 

 

 

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