突然襲いかかってきた二人組。
「おお!ターゲット以外に飛翼族も一緒か!それじゃ纏めて捕まえてやる!」
一人が何やら黒い取っ手を取り出し握ると、その柄から黒い物体が伸長し一本の剣となる。
「おらあぁ!」
男性が剣を振り下ろすがリュウがその男性の腹を蹴ってみせた。
「ぐうっ!」
男性は後ろに転がり剣を落とす。リュウはその剣を握り、構えて対峙した。
「リュウ!」
「ニーナ逃げて!」
リュウは後ろのニーナに言い後ろへ押し出した。その間にもう一人男性は今度は筒状の物体を構えてくる。
「アツキ様の指示だ!捕まえてやる!」
筒からは網が飛び出してきた。リュウの頭の上から網がかかる。
「うわっ!」
網にかかるリュウ。落ちた網は重りが自動で地面を突き刺し、モーターが回転し網の中締め付けていく。網がリュウの肌へ食い込んでいく。それを何とか剣で抵抗する。
「さて、次は飛翼族の女だ!」
男は網の大砲をニーナに向けた。
その時大砲が二つに切り落とされた。更に二人組の男性の鎧は三本の切り傷が、更にリュウを襲っていた網が切られて解れていく。
「!?」
「うがっ!?何だ?」
男性の二人組は腹を切られてその場に倒れていく。その先で見たのはニーナの隣にさっきまで居なかった別の種族の人間の姿。
茶色のたてがみのような髪に鋭い爪と牙。服は緑のズボンとベストのみ。筋肉のある腕や足は毛に覆われている。鋭い目つきはまさに獣だ。
「ら、ラオさん!」
「ニーナ様、ご無事でしたか?」
「う、うん!」
「ニーナ様、勝手に城を出ては困ります!」
「すみません。」
ニーナを叱るラオ。その後ろで傷の腹部を抱えなが男性が顔だけ上げる。
《…あれは…獣牙族…。風の街になぜ?…しかし…今なら…。》
男性は腕を伸してその手をラオの背中に向ける。手首に巻いていたリングが形を変えて一本の小さな弓を放つ装置へ。
《死ね!獣牙族!》
小さな矢がラオの背中を目掛けて飛ぶ。
しかし、リュウはそれに気づいた。ラオの後ろに飛び込んで剣でそれを弾き落とした。
「少年!?何を!?」
「…くそ…仕留めそこなった。」
「まだ、息があったか!」
ラオは横に弾き飛んだ矢を確認して、男達を見た。するともう一人の男は何か自分の鎧の中からボタンを。SOSの表示がある。それを押す。
《…ターゲットはここだ!更に飛翼族の確保の作戦にも支障が!》
決死の思いでそのボタンを押す。すると、
「うばああああぁ゛っ!」
「があああぁっばぁっ!」
二人組の男性はこの世の者とは思えない叫び声を上げる。その叫びにリュウ達もそちらを見る。
叫び声は消え男性たちはその場に伏した。
「おい、あんた達大丈夫か?」
リュウは駆け寄るが返事はない。身体に身に着けた鎧や機械はすべて煙を上げて焦げている。
「…少年、おそらく手遅れだ。」
ラオはリュウの肩に手をかけた。
「…きっとこれは『ヒューメ』の機械によるものだ。作戦に失敗した罰かもしれんが…これは酷い。」
「そんな…。」
ニーナは目の前で人が倒れたのがショックでうまく言葉が出ない。
「…とにかくニーナ様。ご無事で何より。王が探しておりました。さあ、城に帰りますよ!」
ラオはニーナの手を引く。
「あぁ!待って!彼は?リュウは?」
ニーナは裸のリュウを指さした。
「ニーナ様…一体この少年は?なぜ裸?」
「えっと…その…そこで会って…。」
ラオは頭を抱えた。
「不要な人間を城に入れるわけにはいきません!」
「ちょっと!」
「…ですが…、助けてもらった件もありますし…裸では…何とも…。少年。私は風の街で傭兵をしているイン・ラオだ。今夜は私と同じ城の外の小屋に来るといい。ひとまず今夜はそこで過ごしてくれ。」
ラオの言葉にリュウとニーナはうなずいて三人は風の街へ。
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