六千年前、天上と地上の間で大きな戦争が起こった。

　天上の覇者「天空都市アマデウス」

　地上の覇者「シュバリエ帝国」

　些細な事から始まった戦争は両者の思惑が交錯し、次第に激化した。

　後に天地戦争と呼ばれた大戦は数年にわり続き、地上にかなりの犠牲を出した。しかし天空都市の勢力が退く形で辛くも地上勢力の勝利となった。

　天空都市の脅威が消えた後、地上は地上で戦争を繰り返し、多くの国が成っては消えを繰り返した。

　地上の戦争は全世界を巻き込み人々をのみ込んでいった。それと同時に歴史的な天と地の戦いは風化し伝説となった。

　その天地戦争終結から六千年近い月日が過ぎた頃、天上の覇者である天空都市アマデウスが再び地上のとある国、日和の国を襲撃した。

　日和の国を救うため、地上の国々は一致団結しアマデウスに対抗しようとした。

　しかし風化した伝説を呼び覚ますような天空都市アマデウスの襲撃はわずか三日のうちに終結した。

　日の光が雲の形をかたどる薄明の頃。放たれた茜色の閃光によって。

　だがそれが日和の国の、齢十二歳の少年が放ったという事実を知るものは少ない。

　天空都市退却後、その出来事は茜色の奇跡と呼ばれ語り継がれることとなった。

　これは苦難に染められた運命を背負う少年少女達を描いた物語。