僕は……近所の連中にボコボコにされた。
何て事だ……このアパートに引っ越した時、隣近所にちゃんと挨拶をしとくんだった。
僕をボコボコにしたヤツらはスマホで俺の部屋の様子を撮影してSNSにUPしている。
僕の台所に、たまたま有った結構な量のカップ麺やスナック菓子、たまたま財布の中に入っていた十万円弱の金。
僕が……今回の震度6強・マグニチュード7以上の地震に乗じて「コンビニ強盗」をやった証拠になると思っているらしい……。
何故、そんなモノが証拠になるか判らないが……多分、信じるヤツも居るのだろう。
そんな馬鹿はSNSで良く見てきた。そして……馬鹿達は……近所の暴徒を支持するだろう。
「ご苦労様です。そいつが容疑者ですか?」
「はい。そうです」
ええええっ?
やって来たのは警察官だった。
「はい、令状。弁護士は呼ぶかい?」
ま……待ってくれ……。何で……こんな事に……。
この地震の直後に、SNSにある書き込みをやっていた連中は……あっと云う間に、身元を特定され、容疑者扱い……いや犯罪者扱いされるようになった。
たしかに感心出来る書き込みじゃなかったのは確かだ。
で……でも……いつから……その程度の冗談さえ、許容出来ないような不寛容な社会になったのだろう。
畜生……「在日○○人が地震に乗じて強盗や強姦をやってる」と書き込んだ当の本人達が、その場の悪乗りで、本当に地震に乗じた強盗や性犯罪をやらかした……。
そのたった十人ほどの奴らのせいで、同じような書き込みをやった罪のない善良な僕たちまで、同類と見做されるなんて……。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!