あれから二日間、牢の中で過ごした。
そして、三日目の朝、牢の扉が開かれた。
「出ろ!」
「いよいよ、この国ともおさらばね」
アリーセは少し口角を上げた。
「何が可笑しい?」
アリーセの表情に気づいた衛兵は尋ねた。
「こんな腐った国にいつまでも仕えるよりは、出て行った方が気楽にやれると思ったのですわ」
「そうか」
衛兵はぶっきらぼうな返事をすると、アリーセをミューレン領地と外を繋ぐ門の前に連れてきた。
繋いでいた鎖を外すと衛兵は荷物をアリーセに放り投げた。
「ほら、預かってた荷物だ。中身は多分そのままだぜ」
多分という所に引っかかったが、そんなことは別にどうでも良かった。
「武器は?」
「そんなもんを渡して、襲われたらどうする? 元とはいえ、作戦参謀だ。俺たちじゃ相手にならん」
衛兵はお手上げのポーズをした。
そこまで、高い剣ではないが、お気に入りの武器が自分の手を離れるのは、何とも言えない寂しさがある。
「ま、せいぜい死なないように頑張ってくれ。城壁の外は魔物も多いからな」
「忠告感謝しますわ」
「では、裁判による判決に基づき、アリーセ・ベートを永久追放する。二度とミューレン王国に立ち入ることを禁じる」
「わかりましたわ」
それだけ言うとアリーセはその場を立ち去った。
門が見えなくなった所でアリーセは荷物の中身を確認した。
「本当に、ほとんど無くなっていないんですわね」
しかし、金が半分ほど無くなっていた。
「この資金では、一ヶ月持つか持たないか、といった所ですわね」
アリーセは小さくため息ついた。
「とりあえず、これからどうするか、ですわね」
近くにあった、ちょうどいいサイズの岩に腰を降ろすとアリーセは考え込んだ。
「確か、この先にはメールス王国がありましたわね。とりあえずの目的地はメールス王都としますわ」
考えもまとまった所で、アリーセは立ち上がった。
立ち上がり、数十分ほど歩いただろうか。
囲まれるような気配を感じ取った。
「魔物ですわね」
普段ならこの程度の魔物造作もないが、今のアリーセに武器はない。
「正直、体術は消耗するから嫌なのよね」
仮にも、元王国の参謀なのだから体術もそれなりにこなせるが、あまり好かないアリーセ。
その時、ふと自分の腰より伸びた金髪縦ロールが目に入った。
「これ、使えるかも……」
そう考えていたその時、目の前に狼のような魔物が出現した。
「どうやら、考えている暇はなさそうね」
アリーセは一か八か、自分の金髪縦ロールに硬化魔法をかけ、重力制御魔法を展開する。
槍のように尖り、刀のような切れ味を持った金髪縦ロールは魔物を一刀両断する。
「これ、意外と使えるわね。でも、魔物相手は勘弁したいかもだわ」
なにせ、魔物の血が付いてしまうのだ。
気分がいいものとは言えない。
その後、三体の魔物を、ドリルのように回転させた金髪縦ロールで仕留めると、自分の髪に浄化の魔法をかけ、血を落とした。
「初めてやりましたけど、魔物相手は極力使いたくないですわね」
そんなことを口にし、魔物の死体を道の隅に寄せた。
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