金髪縦ロール無双

~無実の罪で国外追放されたけど、Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたが戻りません。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~
津ヶ谷
津ヶ谷

第2話 国外追放

公開日時: 2020年10月9日(金) 21:35
文字数:1,182

 裁判所に入ると証言台の前に立たされる。

もちろん、鎖が繋がれたまま。

アリーセはここで初めて自分の着せられている罪を知ることになる。



「罪状、アリーセ・ベートは、先日の戦で罪なき一般人を傷つけた。傷害罪が問われている。間違いないな?」


 裁判長、ベルガウがそう尋ねた。


「はい?」


 間違いでしかない。

アリーセは普通に作戦の指示を出していただけなのだから。


「間違いでしかありませんわ。私は作戦参謀、自ら前線に立つことはほとんどありませんわ」


 アリーセは容疑を否認した。

やっていないものは、やっていないのだから、認める方が負けだと思ったのだ。


「認めないということですか?」

「やっていないのですから、認めませんわ」


 一応、アリーセを弁護する弁護人もいるのだが、形だけといった所だろう。

ほとんど、何もしゃべらない。

裁判長を初めとする、アリーセ失墜を企むものたちの一方攻撃である。


「認めない、ということは、罪を重くする行為でもあるのですよ?」

「無実なのに認める方がよっぽど嫌ですわ」


 こうなったらアリーセも意地である。

絶対認めてやるもんかと決め込んでいる。


 しかし、公爵の根回しは流石と言えるものであった。

証拠の捏造、目撃者のでっち上げ、アリーセを消すことに執念を掛けていると言っても過言ではなかった。


「目撃者も揃っていますし、使われた剣はあなたが愛用しているものですね?」


 そう言って裁判員がアリーセの没収されていた愛刀を掲げた。


「目撃者は公爵のでっち上げだ。おおかた、金でも積まれたんだろう。その剣は確かに私のものだが、そんな剣はこの国に何本あると思っている?」

「あなた、公爵様に対して無礼ですよ」


 いくら、数々の歴戦を制した作戦参謀でも、この状況は八方塞がりである。

何を言っても、公爵の思うつぼであることをアリーセは察した。


「…………」

「ほう、今度は黙秘ですか。黙っていても状況は変わりませんよ?」

「喋っても変わりませんわ」

「そうですか」


 これで、この日は閉廷となった。

再び、アリーセは牢の中に閉じ込められる。


「公爵め、覚えていなさいよ」


 アリーセは憤りを覚えた。


 そこから、更に二日が経過した。


「出ろ!」


 衛兵により、牢の扉が開けられた。

どうやら裁判の判決が出たようだ。

随分と早い判決だ。

恐らく、公爵の圧力がかかっているのだろう。


 裁判所に連れていかれ、再び、証言台の前に立たされる。


「判決を言い渡す。アリーセ・ベート。一般市民に対する無意味な武力の行使とみなし、国外追放に処す」


『国外追放』それは、二度とこの、ミューレン王国に入れない事を意味する。

まあ、死罪にならなかっただけ、マシなのかもしれないが。


「三日後、アリーセ・ベートをミューレン王国より永久追放する。以上で閉廷する」


 こうして、アリーセは為す術無く、無実の罪で国外追放という罪を負った。

『出る杭は打たれる』とはこのような事を言うのであろう。


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