金髪縦ロール無双

~無実の罪で国外追放されたけど、Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたが戻りません。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~
津ヶ谷
津ヶ谷

第4話 メールス領へ

公開日時: 2020年10月10日(土) 11:08
文字数:1,129

 アリーセは魔物の死体を隅に除けると再び歩き出した。

幸いなことに、この辺りの地理情報は全て頭に入っていた。

参謀という役職柄、地理情報も戦の優劣を、大きく左右するのである。


「確か、この方角に進んでいけば森を抜けるわね」


 アリーセは太陽の位置で方角を確認すると、森を抜けるべく、歩みを進めた。


「ふぅ、何とか抜けれたわね」


 空が夕焼けに染まり始めた頃、アリーセは森を抜けていた。

そのまま、メールス領へと入るべく歩いた。


「暗くなってきてしまったわね」


 夕焼けが暗闇に変わり始めようとした頃、街の明かりが見えた。

メールス領の街だろう。


「今日はこの街に一泊するとしますわ」


 街に入るのに検問などは実施されなかった。

メールス領の中でも外れの街だから警備も薄くなるのであろう。


 街に入ると適当に歩きながら今夜の宿を決める。

一番栄えていると思われる通りに宿屋の看板を発見したので、アリーセはそこに入った。


「一泊したいのですが、今からでも行けますか?」


 アリーセは宿屋の主人に尋ねた。


「おう、部屋なら空いているぞ。嬢ちゃんみたいな別嬪さんが来るとは珍しいな。旅の途中かい?」

「まあ、そんな所ですわ。それで、おいくらですの?」

「銀貨5枚だ。食事は別料金で銀貨一枚からだ」

「今すぐ食事はできますか?」

「ああ、大丈夫だぞ」

「じゃあ、一泊と食事一食で」


 そう言ってアリーセは、銀貨で6枚を宿屋の主人に差し出した。


「それじゃあ、これが部屋の鍵だ。今、食事を作るからそっちの食事スペースで待っていてくれ」

「分かりましたわ」


 アリーセは宿屋に併設されている、食事スペースの隅の席に座った。


「お待ちどう」


 待つこと数分、食事が運ばれてきた。


「もう、夜で余り物になっちまってすまんな」


 運ばれてきたのは、焼きおにぎりにサラダ、スープだった。

このところ、まともな食事にありついていない、アリーセにとっては十分すぎるほどの食事であった。


「ありがとうございます。十分ですわ」


 そう言ってアリーセは微笑んだ。


「美味しいー」


 空腹もあり、あっという間に食事を平らげてしまった。


「親父さん、ごちそうさまでした。食器、ここでいいですか?」

「ああ、そこに置いておいてくれると助かる」

「はい、それでは、おやすみなさい」

「ゆっくり休んでくれ。明日は昼までにチェックアウトしてくれたらいいから」

「ありがとうございます」


 アリーセは食器を片付けると階段を上がり、渡された鍵で部屋を開ける。


「疲れたぁあ」


 荷物を床に置くと、ベッドにダイブした。

決して、フカフカという訳では無いが、牢の中よりは何倍も快適だ。

久しぶりに、ちゃんとした睡眠がとれるということもあり、ベッドに横になると、すぐに睡魔に襲われた。

電気を消し、布団をかぶると、やがて意識を手放した。

いかがでしたでしょうか?

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。


「面白い」「続きが気になる」という方は、応援よろしくお願いします。


本日はもう1話投稿予定です。

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