金髪縦ロール無双

~無実の罪で国外追放されたけど、Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたが戻りません。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~
津ヶ谷
津ヶ谷

第1話 嫌われの参謀

公開日時: 2020年10月9日(金) 21:30
文字数:1,152

 アリーセ・ベート、ミューレン王国の軍事作戦参謀だ。

長い金髪をいわゆる縦ロールにし、令嬢のような服装をしているアリーセ。

確かに、澄んだ青色の瞳と白い肌、美人と言えるであろう。


 参謀とは軍隊の総指令官的な役割を果たす、大事な役職だ。

アリーセは23歳の若さにしてその役職に就いた。


 彼女が参謀の役職に就いてからというもの、ミューレン王国は負けを知らなかった。

それほどアリーセは優秀だったのである。

しかし、そんなアリーセの順風満帆な生活は長くは続かなかった。


 若い女が軍隊の総司令官なのだ。

反感を覚える者も少なからず居た。


「参謀、四千の兵がこちらに向かっています」

「では、こちらは三千五百の兵を出す。北の砦の衛兵五百を残し、こちらに招集せよ」

「はっ!」


 今日の作戦も上手くいっていたはずだったが……。


 ――



「ど、どうしてこうなったんですの……」


 アリーセは薄暗い牢の中に閉じ込められていた。

ちなみに、アリーセは戦闘の時は口調が変わるのだ。


「ふっ、悪く思うなよアリーセ。お前が目立ち過ぎたのがいけない」


 アリーセを参謀に置くことを最後まで反対していた、バスラ―公爵の姿があった。


「どういうつもりですの?」

「どうもこうも、お前には消えてもらうのさ。私の部下の罪を被って消えてもらうのさ。いつまでも若い女を参謀のお座に就かせておいては、我が国が舐められる」


 公爵はどうしてもアリーセを失墜させたいようである。


「こんなことが明るみに出たら、国王も黙ってないのではなくて?」

「要らん心配をするな。全ては根回し済みである」


 公爵は不敵な笑みを浮かべた。


「せいぜい、裁判までそこで大人しくしているんだな」


 それだけ言い残すと、侯爵はアリーセの前から立ち去った。


「あの、バカ公爵め」


 何度かこの鎖を外してやろうと試みたが、特殊な素材を使っているらしく、アリーセの手持ちのものだけでは、どうにもならなかった。

これも、アリーセの実力を多少は警戒してのことだろう。


 牢に閉じ込められて三日。

食事は一日に二回。飲み物は死なない程度にと言った感じだ。

ずっと太陽の光を浴びていないアリーセは、今が何時かも分からない。


「出ろ!」


 衛兵によって牢の扉が開けられた。

おおよそ、四日ぶりの外である。

アリーセは鎖につながれたまま、どこかに連れていかれる。


「どこに行くつもりですの?」

「黙って歩け」


 しかし、アリーセはどこに向かっているのかの見当は付いていた。

もう、十年以上もこの国に、この王都に住んでいるのだ、大体の所には足を運んできた。


「裁判所、ですわね……」

「今からお前の裁判だ」


 この時、アリーセは自分が何の罪で投獄されているのかも知らされていなかった。


「私は何の罪ですの? きちんと説明してください」

「それは俺の口からいう事ではない」


 アリーセは裁判所の中に連れられて行った。

新作です!

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