金髪縦ロール無双

~無実の罪で国外追放されたけど、Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたが戻りません。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~
津ヶ谷
津ヶ谷

第6話 元参謀の実力

公開日時: 2020年10月18日(日) 11:23
文字数:1,133

 アリーセは盗賊、5人に囲まれていた。

周りには倒れた騎士たちが居る。

貴族の騎士を倒すのだから、この賊は、それなりに強いのだろう。


「減らず口叩けるのも今のうちだぜ、嬢ちゃん」


 賊は剣を構えた。


「お前らこそ、私を前にして剣を抜いたんだ。覚悟した方がよい」


 アリーセは完全に、戦闘モードのスイッチが入ってしまっていた。


「どうやって戦うんだ? 見た所、ろくな武器も持ってないじゃないか。まさか、その金髪でか?」

「その通りだ」


 アリーセの言葉に、賊は笑い声を上げた。


「イキがってんじゃねぇ!」


 2人同時に剣を振り下ろして来た。

1人は正面、1人は背後からだ。


「遅いな」


 アリーセは背後の剣を硬化させた、金髪縦ロールで、受け止め、正面の剣を、人差し指と中指の間に挟んで受け止めていた。

そのまま、後ろに蹴りを入れ、後ろの敵を10メートルほど吹っ飛ばす。


「何、剣が、動かねぇ」

「私が持って居るんだから当然だろう」

「そ、そんな馬鹿な……」


 アリーセは一瞬、剣を放すと、賊の手首を持って、思い切り投げ飛ばした。


「かはっ」


 肺の空気が衝撃により、口から出される。

どうやら、そのまま気絶している様子だ。


「お前らも遊ぶか?」


 残りの賊は3人。

アリーセは少し、口角を上げた。


「あ、当たり前だろ!!」


 そうは言う賊だが、剣先がガタガタと震えている。


「そんなに震えてどうした?」


 アリーセは余裕の笑みを浮かべていた。


「おらぁ!!」


 残りの賊が、剣を大振りし、同時に襲って来た。

それを、後ろに跳躍することで躱す。

 一気に間合いを詰めると、2人の鳩尾に、拳を叩き込んだ。


「もっと周りを見る事だな」


 その場に倒れ込み、起き上がる事は無かった。


「後は、お前だけだぞ?」

「き、貴様、いったい……」

「私が誰かなんて、お前らは知る必要はない」


 そう言うと、アリーセは間合いを詰め、腹に蹴りを撃ち込んだ。


「うっ……」


 賊は情けないうめき声を上げると、その場で意識を刈り取られた。


「馬鹿め」


 そう、アリーセが呟いた時、豪華に装飾された馬車の中から、燕尾服を身に纏った、初老の男が降りてきた。

その男はアリーセに綺麗に一礼すると話しかけてきた。


「私、メールス王国侯爵家、家令を務めております、ロルフと申します」

「アリーセです」

「この度は、我々の窮地を救って頂き、ありがとうございました」


 そう言うと、またも綺麗に一礼した。


「ロルフ、大丈夫ですか?」


 馬車の中から、綺麗なドレスを身に纏った、白い髪の少女が、顔を覗かせた。


「お、お嬢様。まだ、危険ですから馬車の中に」

「その心配はないですわ。賊はこいつらで最後のようですから」


 アリーセは戦闘スイッチがオフになっていた。


「ええ、本当ですわ。私は、アリーセ・ベート、旅の者ですわ」


 そう言うと、アリーセは微笑みを浮かべた。

いかがでしたでしょうか?

楽しんで頂けましたら幸いです!


応援の程よろしくお願いします!

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート