破壊と再生のプリンセス/Infinite[Heros] - 原初からなる壮大な無限英雄譚 -

――自分を知り、使命を知る。英雄、それが少女の成るものであった!
七理月_(._.)_
七理月_(._.)_

3 『戦いの幕開け』

公開日時: 2020年9月1日(火) 18:14
更新日時: 2020年9月1日(火) 18:15
文字数:2,128

破壊神レイムの一撃で爆発で大地が吹き飛び、少しの間魔王軍が認識できない状態であった。あの威力なら何十万の数でも問題ないが、反撃してくる可能性もある。


 まだ戦いは終わっていない。


「ふぅ~、まぁまぁかな……」と剣を下げ、自己評価をするレイムに近づく小さな影があった。


「お見事です。レイム様……」と犬のぬいぐるみのような容姿だが、口が動き目の瞬きをして生きているこれは、ロナ、レイムに仕える配下の一人であり、一番位の高い”最破”の一人である。


「あぁ、ロナッありがとう……」ロナはいつもレイムに付き、右腕として存在している。


 

 そして衝撃が消え、魔王軍を見るとまだ軍はいた。


 いくら何でも一度では無理のようだ。


「くそ……じゃあもう一度――」レイムは再度魔法陣を展開しようとしたが魔法軍に嫌な気配を感じ、動きを止めた。



 そしてラウルに近づいた。


「ラウル様……あれは……」


「あぁ、幹部だろう……」二人の目線には魔王軍から一人の人間のような容姿がフードを被り前に出てきた。


 あれなら幹部に間違いない……。


「だけど、情報のよると召喚された際に展開された魔法陣の色は赤でした。まさかあの大魔王の幹部だとしたら……」


「あぁ、結構まずいな……」ラウルはそう思ったが……。好戦的な性格の一人であるレイムは更に表情の笑みが増した。


「戦いがいがある……私がやる……」


「えッ――」ラウルは驚きで声を漏らした。



 すると神々の軍勢と魔王軍の間に強大な魔力を感じたその後に大地が突き出し、天まで届くように大地が盛り上がった。


 軍の侵攻はこれでお互い不可能となり、垂直の壁が前に現れたのだ。


「凄い力だな……」あの魔力なら最古の魔王の配下だろう。


「うん……地形を広範囲に変化するなんて……」



 するとレイムの周りに漆黒の羽が無数に渦を巻き、舞う。風の操られているようなこの羽は破壊の力で創造した羽であり、ある時には粉々に切り刻み、ある時は盾より硬い防御力を誇るこれは、破壊の神の固有スキルとなる。


 固有スキルは個人だけが使用する能力である。


 破壊の翼は使用すれば俊敏になり、瞬きの間の一瞬で移動可能であり、それにプラスして鎧を装備すれば、破壊神の能力で最大の素早さとなる。



 そして漆黒の羽たちはレイムの背中に集中し、集まり翼となった。


 この状態は翼という関節ができ、それを動かすことによって翼を動かす……。


「ふぅ~、よしッ――」



 そしてレイムは翼を動かし、一瞬にして上空へ移動した。


 一瞬にして風が襲ったようなレイムは翼を動かすだけで溢れる力が自分を動かし、あっという間に大地の壁の上に目線がある。


「邪魔なものを……幹部は何がしたいのだ……」レイムはまた剣を向け、魔法陣を展開した。



 この攻撃を防ぐために大地を盛り上がらせたのなら上空からなら大地を貫き――今度こそ魔王軍を殲滅するッ!


 そしてレイムは剣先を盛り上がった大地に向け、自身の左右に無数の黒い魔法陣を展開した。


「打ち砕けッ、《破壊(ディストラクシェン)》ッ!!」レイムが叫んだ瞬間、無数の魔法陣から破壊光線が放たれ、盛り上がった大地を打ち砕いた。破壊神の火力であれば、あんなもの盾にもならない。


 盛り上がった大地は打ち砕かれ、神の軍と魔王軍の間に崩れていった。


「何ッ――」



 だが再生魔法系か何かが付与されているのか、その大地は不思議な力で元に戻った。


「大地を崩すのは無理か……だけどあの大地は……」下から見れば、大地が盛り上がっているが上から見れば刺のように大地から突き出ているのだ。


 レイムはその大地に降り立ち、魔王軍の様子を見た。



 その様子をラウルはじっと見ていた。


 巨大な魔力に再生するか……そしてこの大地を盛り上げたのは我が軍を進行させないためか……だが他に理由が……。


 ラウルはこの盛り上がった大地の理由を探り、答えを得た。


「ッ――――」魔王が狙うことはこの世界を支配すること……それを遂げるには神が邪魔であり、神々を倒すこと……。



 つまりは、魔王軍が前に立つことなど想定していて、この時に神を倒すのみと……だが幹部一人では不可能だ。


 それは他の魔王が……最古の魔王でなければ勝ち確である。


 ラウルはレイムを見た。魔王軍の様子を見るレイムがこちらを向き、魔王軍に背を向けたその時だった。


 後ろにはフードを被った者がいつの間にか姿がそこにあった。


「レイムッ危ない!――」とラウルは叫んだ。


「えッ――」



 何、急に視界が横に――倒れている!!


 いいや、違う――斬られた!?


 それはもう遅かった。


 奴は一振りでレイムの上半身と下半身の間を斬り、レイムの胴体は真っ二つになったのだ。 


「がはッ――このぉ……」


 何故、斬られた……油断などしていなかった……一瞬にして背後に移動し、神の胴体を一太刀で断ち切ることなど魔王にもできるものじゃない……。


「お前は……何……者………」下半身を失いレイムは大地の穴に落ち、あの者を見た。


 その者の瞳は黒く異様な力を感じた。


 見下すような目線と自分が未熟であったことを何より怒りを覚え、レイムは落ちていった。


「レイムゥゥゥゥゥッ!!」ラウルは奴に斬られる光景を目の当たりにし、少女の名を叫んだ。

 

 まさかとは思うが、あれが魔王の幹部だと言うのか……。


 戦いはまだ始まったばかりだ。

 

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