「誰が相手であろうと絶対に勝つ!」ソージは親父に言われたことを思い出し、剣を握り、そして覚悟を決めた。
急な今代の剣聖、そして伝説の勇者であり、血の繋がっている人物と戦わなくてはならないんなんて何百年も生きていれば、そんな出来事も起こるだろうがソージ達からしたらこんなことは幸運でもあった。
いつか、越えなければならない壁……今こそ超えて見せる。
「ソピア、あれを使うぞ……」隣にいるソピアにそう囁いた。ソージがいるあれとは、戦闘に置いてあれしかなかった。
「ソージ、私も使うよ……上手くできるかわからないけど……」三人とも初めてであり、それを使用し、どうなるかは使用した者しかわからない。
はぁ、ジュウロウにでも聞いとけばよかった……。ソージは心の中で少し後悔したが、その後にジュウロウからどんな言葉が返ってくるか予想し、恐らく自分らで実感してみろと言うに違いなかった。
「分かった、ソー兄!」
「よし、じゃあ行くぞ!」この作戦は操られているからこそであり、知性が生きているかわからないが……。
「ッ―――」ソージとソピアは走り、グアに迫った。
この作戦はまずグアを後ろに下がらせ、二人を近づける。だが剣聖を下がらせることは困難であり、グアを下げられたとしても遠距離でもあるトムが光景して来る。
あれを決めるのは、その間であるか、もしくは……。
「ふん……」大きくグアは《神星聖剣(しんせいせいけん)ルーウェスレイカー》を振りかぶった。
「ハァァッ――」内側から《純龍聖剣(じゅんりゅうせいけん)ドラゴンスレイヴ》をソージは振り上げた。見事弾き、横からソピアが隙を突いた。
するとグアは態勢を崩したのか、地面に体全体を近づけた。
だがそんなことはなかった。
それに気づいたのは、横からその光景を見たソピアだった。
「お兄ちゃん!!」
突如右に現れた刀身が顔の高さにあった。
嘘ッ、だろッ――。
態勢を崩したのはわざと、ガタイのいいグアは背中で剣を持ちかえ、絶対に見えることのない背中から剣を素早く振ったのだ。
「くッ――」ギリギリで攻撃を避けたが、ソピアが気付かなければ、頭は切断されていただろう。
だがこれで分かった。
知性は操られていても変わらないということか……だけどそんな操る魔法なんて聞いたことないぞ……。
「うぉぉぉぉッ!!」ソージは両手で柄を握り、躊躇なくグアに剣を振る。
連技(れんぎ)――《閃星(せんせい)の流(なが)れ》
流れる星が閃光のように連続で放たれる剣技は、通常無限に繰り出せるがそれは使用者の体力で決まる。
その斬撃は流れるように軌道変更され、これを全て受けられるものは剣士の中でいるのだろうか……。一様この剣技は最上級であり、通常の剣士では扱うことはできない。
「ハァァッ――」
純技(じゅんぎ)――《落(お)ちた光(ひかり)》
純正な属性攻撃、属性の力を刀身に宿すのが通常の剣技であるが、慣れれば力を剣に入れるだけで剣技をすれば、成立する。
何も宿さず、剣を振るという剣士はこの世界にはいない……逆に言えば属性を扱えないと剣を持つことは許されないのだ。
ソピアが放った純技(じゅんぎ)は大きく上に振りかぶる純正な技である。
敵が隙を見せたり、横からの攻撃に有効である。
剣技は無数に存在するが、オリジナルに剣技を発明する者も多い。
「ぐあッ……」
ソピアの剣はグアの右肩を切り付けたが、鎧が邪魔をしている。
だが押している……サリアの攻撃範囲に二人が入れば……。
そしてその時が来た。
「入った――!」
「サリアッ!!」二人はグアを押しやり、ソージとソピアはすぐさま後ろに下がった。
「我が一部よ、全てを呼び覚まし、その力を解放せよ!」サリアは手に持つ武器を強く握り、そう語り掛けた。
すると黄金と蒼穹の光がサリア体を包み込む。
「神装(リリースゴッド)、真具(トゥルーウェア)……貫けッ――」
その瞬間、武器と生命が繋がり、膨大な力を周囲に放出した。
「あれがッ――」
「サリアの……」二人は後ろで輝く存在を凝視した。
「――《|天地に明光と《デースト・》|氷塊の庭園を《アイシィレイ》》ッ!!!」
その矢には天の光と地の氷が混ざり、そして強い力を発しながらグアとトムに放たれた。
そして地に触れた瞬間、明光と氷塊が二人を包み、光は範囲入ったものを刻み、氷はあらゆる花へと変わり、文字通り庭園が出来上がる。
「お兄ちゃん!」サリアのこの技は超広範囲であり、使用者は巻き込まれても無事でいられるが、仲間も巻き込む可能性があり、あっという間に第七の地が氷の地となった。見えたのは上に柱が伸びて天に届くほどであり、氷の花たちが周りに突き出て、非常に美しいものだった。
そしてこのチャンスを逃すわけがない。
「ソピアッ!!」走り出し、二人は目を合わせた頷いた。非常に珍しいケースの霊装神器、全く同じ武器が同時に力を解放する。
「「神装真具(リリースゴッド・トゥルーウェア)――」」同時に声を上げ、そして剣を掲げた。
すると刀身から溢れるように黄金の鱗が幾千の数は周囲に舞う。二人の霊装神器の元になったのは、かつて最強クラスの種族、竜種の中で三大竜の一体を元にして創られた。
解放され、繰り出す技の名は解放された時に使用者の頭に浮かぶ。
「――《|全てを巻き込む、《エクシティウム・》|黄金による破滅を《ドラゴンスレイヴ》》ッ!!!」
幾千の鱗が、二つの剣が繋がり、巨大な竜の影となり庭園を食らい尽くした。
この時二人は気付いた。
《純龍聖剣(じゅんりゅうせいけん)ドラゴンスレイヴ》には破壊神の力が混じっていることを……。
そしてグア・アルト・レスティアルとトム・ヒート・レヴォルアントとの戦いでソージ達は勝利を収め、約20万の軍勢は全滅し、破壊の軍は勝利を収めた。
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