破壊と再生のプリンセス/Infinite[Heros] - 原初からなる壮大な無限英雄譚 -

――自分を知り、使命を知る。英雄、それが少女の成るものであった!
七理月_(._.)_
七理月_(._.)_

9 『最破』

公開日時: 2020年9月1日(火) 18:21
文字数:5,236

「はぁ~」とりあえずロナとリツリ以外は玉座の間で待機させた。


「レイム様……大丈夫ですか……」


「大丈夫なわけないだろう……」全裸のレイムの前には大きな鏡があり、黒く長い髪を整えていた。


「レイム様、ご報告があります……」とロナがそれを口にした瞬間、空気が凍り付いた。


「ん……」

「お分かりかもしれませんが――」ロナは今までのことをレイムに話した。最破達は破壊神の加護で意識的に繋がっていると言っても過言ではないが完璧ではなく、感覚の問題だ。


「わかった。あのジュウロウが言うんだったら……」


「君達は計画は何となくだけど分かっている。導きのままに……」



 この世界の流れは予め誰かが世界の経緯を書いてるかのように……。


 だがそうかもしれない創生神達が創り上げた人造物……二代目達は機械のような代物だ。それが正しいと下の者は思わなくてはならない。


 その二代目の中で唯一生きていると思えた人物が二代目破壊神……今では裏切りの神と呼ばれ、3000年前の大戦を引き起こした張本人である。


「あの方だけは世界の理に気付き、真実へと近づこうとしたが他の二代目がそれをイレギュラーだと思い、神々を裏切ったとそうなった……」詳しくは分からないがレイムも破壊神は何か違うと感じていた。

強大な力、救うことのできない破壊の力を司る神……初代様はどう思って私達を……そしてこの世界を維持できると思ったのか……。


「レイム様……気持ちはわかります……」

「三代目様はどう思っていたのか……二代目様、実の父であるあの方のことは正しいと思っていたのか……四代目様も二代目と等しいような行動で姿をくらまし、もう天界より遥か上に住まう神々は私の存在のことをいいようには思っていないことだろう……導く者とともに世界の真実を見つけること……それが何故か自分の定め、使命だと……」自分自身の姿を鏡で見た。


 いつも見ている小柄な体に黒い瞳に黒く長い髪……この中に流れるエネルギーと遥か彼方から受け継がれてきたこの血の原初の存在が何を思い、願い、託したのか、この目で見つけて見せる。


 自身の掌を見つけ、強く握りしめた。



 するとレイムの周りに黒い霧のようなものが発生し、それが徐々に布のようにレイムの体にと被さった。

 破壊の力で物体を創造した服をいつも身に纏っているのでだから意識を失い、全裸になった説明だ。

 


 そしてレイムと使者である大十天使とロナ、リツリは第13の地__【破壊の玉座】に向かい、神が玉座へと座った。数段高い位置にある漆黒の巨大な玉座にレイムは腰を下ろし、数段下がり、玉座の間の入り口から玉座まで引くレッドカーペットの上に新編成した最高位配下の”最破”が跪いた。


「レイム様、新編成した”最破”14人、全てではないものの、我らの忠誠をここに捧げます……」とジュウロウ・ハリアートが誰より最初に述べた。


 最上位配下である”最破”は右翼と左翼で分かれ、新編成で七人ずつとなった。


 レイムから見て左側に右翼、右側に左翼が跪いている。


 

 ここにいる者達は破壊神によって創造された種族や他の種族などが集まり、だがその実力は種族の中では最強の力を持ち、役目は守護のみである。


 右翼と左翼は主に階層を守護し、侵入者は3000年前の大戦のみで滅多に来ないため世界各地に通路を創り、虐殺を行っている。


 破壊神のイメージとしては殺す力のみの神、邪神と言われ、その最高位幹部達は血を好み、善か悪かと言ったら悪の者達が多い。


 

 その城は外見とは完全に異なった内部は過酷で、管理者の住処であり、全ての者が神器を所有している。


 まずは第1階層――【エントランス】


 この階層の広さは10段階中1の最小である。

 その先には四つの通路があり、それら全ては次の階層へと繋がり、正面の壁には初代破壊神とタイトルがつけられた大きな絵が飾られている。

 この階層には管理者はいない。



 次に第2階層――【暗黒の迷宮】


 管理者は最破-15位『承者』リツリ・リファースト。 

 黒髪ロング、メイド服、小柄、黒い瞳。剣術を得意とし、レイムが初めて神器を作成したオプロ系創造神器『破百合(はゆり)の剣』の所有者。

 この階層は無限に等しい10段階中5の広さであり、世界各地の通路はここから始まる。



 第3階層――【鮮血と眠りの渓谷】


 渓谷に広がる森とその奥には館の階層。


 管理者は最破-20位『鮮虐』シール・レぺレストと最破-21位『虚眠』ピール・レペレスト。


 前線となる鮮血の森に徘徊しているのは、黄金の長い髪、赤の瞳、露出の革の衣装、コウモリの翼、黒い角。血を操る能力であり、通常では背後から漆黒の手が伸び、左右に黄金の鳥籠の中に骸骨が血を流している。


 オプロ系創造神器『鮮血魔剣(せんけつまけん)ブラッドリンガー』を所有者。10段階中3の広さの森、自分より格下の男女を魅了でき、実力はステータスの全てが平均を上回っているワ―レストと実力が互角であり、血を操る能力は主に武器など金属より硬い物体を創造し、射出することができる。


 そして後衛となるのは双子の妹のピール・レペレスト。


 黒いドレスを見に纏い、白い髪のツインテールを持ち、熊の人形を抱き、寝ている。

 オプロ系創造神器『破壊樹の杖』を所有し、主な戦闘は夢の中で行われる。いつも眠たそうな雰囲気であり、対象は強制に眠らされ、彼女は対象の夢の中で自由に活動ができ、始末する。



 第4階層――【神の教会】


 この階層の管理者は最破-16位『暴虐』ディリア・ブラッド。

 悪魔の中でもトップの強さを持ち、その実力は左翼の壱や弐と並び、魔法戦闘もかけている。破壊の力の一つから造られたオプロ系創造神器『漆黒の手』の所有者。


 

 第5階層――【知識の図書館】


 この階層の管理者は最破-6位『智虐』ベルーナ・ジルミゾン。最古の六人の一人。黒髪のロング、黒い翼、白いドレス、小柄。知識で言えばワ―レストと同等であり、近距離と魔法攻撃の両方に懸けて、実力はディリアと並ぶ。全ての魔法の情報を保有するオノマ系創造神器『全法の書』の所有者。



 第6階層――【魂のカジノ】


 この階層の管理者は最破-5位『魂飾』ビリル・チルヤン。最古の六人の一人。老の見た目、筋肉多め、白髪、白の瞳、白い角。領域同盟軍の討伐隊を一人で全滅させた。普段はカジノを営んでいる。重力を操る鎧アイギス系創造神器『重力の杖』の所有者。



 第7階層――【破壊の闘技場】


 この階層の管理者は最破-4位『戦破』ビー・リゼドル。最古の六人の一人。老の見た目、筋肉多め、白髪、白の瞳、白い角。実力もトップクラスであり、単騎で多くの軍を殲滅ほどだ。実力は最古の六人の中では上の中でビリルと互角である。風を操るオノマ系創造神器『暴風の瞳』の所有者。



 第8階層――【魔術宮】


 この階層の管理者は最破-3位『虚魔』レイン・レペレスト。最古の六人の一人。金髪ロング、金色の瞳、長身長、魔法のローブを身に着けている。魔法を得意とする。魔法での攻撃は全て無効化する。大魔術が使えるが材料がなく今は使えない。空間を操るオプロ系創造神器『虚空の杖』の所有者。



 第9階層――【漆黒の庭園】


 この階層の管理者は最破-2位『機神』ワ―レスト・ゼロログ。最古の六人の一人。黒髪ロング、灰色の瞳、女性平均の身長、小柄、黒いローブ、ネックレスを身に着けている。バランスタイプで攻撃、防御、魔力など全てが平均を超え、全属性を操ることができ、物体を創造し、操ることのできるオプロ系創造神器『機械剣ロキエム』の所有者。



 第10階層――【光の世界】


 この階層の管理者は最破-17位『聖壊』ソージ・アルト・レスティアル。最破-18位『壊剣』ソピア・アルト・レスティアル。最破-19位『天氷』サリア・ヒート・レヴォルアント。



 第11階層――【桜ケ丘】


 この階層の管理者は最破-1位『無欲』ジュウロウ・ハリアート。最古の六人の一人。金髪の角刈りに蒼い瞳、黒い和服、下駄を身に着けている。

 約3000年前から生きる世界でも無属性という非常に珍しい属性をその身に宿す、最強の剣士でオプロ系創造神器『無刀・斬理刀(きりとう)』の所有者。



 第12階層――【大浴場】


 この階層の管理者は最破-14位『遊悪』ロナ。黒い瞳、犬のぬいぐるみ。レイムが生まれる前から神々に仕えてきた妖精。今はレイムの右腕となっていて皆は羨ましがっている。



 第13階層――【破壊の玉座】


 漆黒の壁に左右に漆黒の柱が奥に並んでいる。

 入り口の床から玉座までレッドカーペットが敷かれ、そこは破壊神が座る巨大な玉座が設置されている。

 ここは微かに破壊の力が充満し、侵入者がそこに入れば、破壊が身を破壊し、数分足らずで消滅する。



 第14階層――【破壊神界】


 そこは破壊の力が一番濃く、そこに長時間いられるのは最破の中でも天翼を除く三つの翼でも無理。

 完全なる聖域であり、破壊神以外は扉を開けることができるが中には入ることはできない。

 壁には破壊の歴史が刻まれ、ここは破壊の宝物庫だと言われている。



「それで、皆の意見は分かった。私は運命の導きのままに従う……異論がある者は……」最破達はピクリとも動かなかった。


「最破一同異論はありません……」とジュウロウは言った。



 するとレイムは玉座から立ち上がり、ソージ達の前に立ち、ペコリと頭を下げた。


「初めまして、レイム・レギレスと申します……」黒く長い髪に幼い体……だが神々から恐れられる力を持っている。


「それに、天使たちも紹介するね……」玉座の左右にいる天使最強神の使者であり、七大天使である。実力は最上位の配下”最破”の一員である。


 最破-7位『煉獄』カイダース・ラファエル__レイムに仕える七大天使が一人、炎を司る外見は17歳の長女。燃え上がるような赤髪ロングで赤いワンピースを見に纏い、下着は赤、武器は槍。


 最破-8位『明照』ホールン・ミカエル__レイムに仕える七大天使が一人。光を司る外見は16歳の次女。金髪のロングに金色の輪を頭の上に浮かべ、光の修道服を纏い、下着は黄色、武器は剣。


 最破-9位『樹転』エルゼ・セアルティエル__レイムに仕える七大天使が一人。樹を司る外見は15歳の三女。緑色の縦髪ロールに緑色のローブを被り、茶色の手袋を纏い、下着は緑色、武器は杖。


 最破-10位『天体』ヘンネ・ウリエル__レイムに仕える七大天使が一人。天体を司る外見は14歳の四女。オレンジ色のツインテールにオレンジ色の鎧を肩と足につけ、武器は長槌。


 最破-11位『大海』ムム・バラキエル__レイムに仕える七大天使が一人。水を司る外見は13歳の五女。水色のショートカットに水色の羽衣を纏い、下着は水色、武器は双剣。


 最破-12位『月光』ヨッド・ガブリエル__レイムに仕える七大天使が一人、月を司る外見は12歳の六女。虹色のような長いツインテールに虹色の和服のような布を纏い、下着は白、武器は鎌。


 最破-13位『黄金』パーレルゲン・イェクディエル__レイムに仕える七大天使が一人。金を司る外見は11歳の末っ子。金髪のロングで白い布と黄金のアクセサリーを身に着け羽はない、下着は白、武器は金属。


 

 完全ではないが、これで今いる最破たちは21人である。


「この天使たちはレイム様がマジでヤバい時に現れますが、主に甘えるのでソージ達も少しはめんどくさいかもしれません……」とロナが言った。


「まぁ、甘えは本当にね……」

「光の神とは少しと言うか苦手なんだ……だけど君達は好きだよ、よろしく……」とレイムはソージに手を伸ばした。

 

 その眩しい笑顔と純粋無垢な少女を目の前にしソージの体は固まり、顔を真っ赤になった。


「かッ、かわいいィィィ……」と横でソピアはキラキラと目を輝かせていた。


「よろしくッ」ともう片方の手でソピアに手を差し伸べた。



 すると速攻で手を握り、顔を近づけた。


「よろしくぅぅぅぅぅ」とレイムの頬をすりすりと自分の頬で擦った。


「サリアだ、よろしく頼む……」


「うんッ」ソピアとサリアに挨拶を終え、再びソージの方を見た。


「うッうん、こちらこそよろしくな……」自分意識で強く意識を保ち、レイムの手を握った。


「じゃあ明日にも旅立ちよ!今から楽しみだよ」そのレイムの笑顔に最破も十大天使も安心した。


「じゃあ今日はお祝いですね!」とピールは言った。


「おぉ、いいじゃん!」とシールも答え、波のように広がった。


「じゃあ直ちに準備を……」とリツリや女性最破達は動き出し、準備にかかった。


「こんな賑やかなんて……」そう呟いたソージにレイムは……。


「家族のようなもの……シールやピールは子供の頃に一緒に遊んだりしたし……」これでもレイムは幸せでいっぱいだった。


「お父さんとお母さんは……」



 俺もそう思っていたが、神の親は神であり歴代領域を保ってきた王家の神様だろう。


「覚えている……何年前に一度来たの……」


 レイムの母は煉獄の戦姫……歴代炎の神で最強の実力を持ち、絶対の壁であった光の神を退けた四代目炎の神レイス・レギレスだ。

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