二人は手ごたえを感じた。
その瞬間、氷と破壊の中から何かが飛び出した。
「なッ――」
その姿は獣人のような耳と尻尾がシュナにはついていた。
「ふッ――」爪が鋭利となり、レイムに襲い掛かった。
「このぉぉぉッ――」
動きが急に変わった!?まるで獣人みたいに――!!
「そんな力が……」
その時レイムは思った。
これは、神の力と似ている……。
王家の神は創造した種族の力を当たり前に使えることができ、風・炎・水・闇・光、そして破壊の力を宿した神々も同様に……そして獣人に変化したということは風の神の力だ。
他の種族が他種族に変身でき、その力を振るえるのは、神の力だけだ。
だったら、こっちも!
機人種の特徴としては全属性を扱え、スピードとしては種族の中ではトップだ。
その瞬間レイムは黒い光に包まれ、その姿は機人になった。
白い肌から見えている機械、腰からあらゆる所にアクセスするコードが生えている。
フォルムチャンジ――機人種
「ハァァッ!」獣人化したシュナは手にまた魔力を込め、レイムに放った。
シュナも魔力は黒く少し鮮やかな緑がまざっていた。
それをレイムは手に取った。
「なッ、何だと……」
「なるほど、君の力は魔王の力に風属性が混じっている……」
するとレイムの手にある力が激しく揺らぎ、赤く燃え上がった。
「なッ、属性を変えた!?そんなことできるわけ……」
「貴方は何と戦っていると思っているの?破壊神は全属性を自分の力へと変換できるけど、機人種になるとあらゆる属性を全く別の属性に変換できるんだよ……」
――究極能力(アルティメットスキル)『属性操作(アトリビュート・オペレーション)』
「ふッ、だがそれで何ができる!」
レイムはその炎に自身の魔力を注ぎ込み、炎が巨大になり高くに赤く黒く燃え上がった。
「焼き尽くせ!《破滅星爆炎覇(ユーディス・フレジング)》!!」赤黒の炎がシュナを包んだ。熱が周りのソージ達にも伝わってくるほどに高熱の炎だ。
「涼しいねぇッ!ハァァァッ!!」鋭い爪をレイムに振りかぶった。
「糞ッ!」すぐさま破壊の剣をシュナに振り下ろした。
だがシュナはそれを簡単に避けてしまう。
経験の差ということもあり得るが機人種は種族の中でトップの素早さを持つ存在だ。
目に見えない速さで移動すればッ――。
そして二人はお互いの攻撃を当てようとしているが、防御され、これでは埒が明かない!
するとレイムは一瞬でその場からいなくなった。
「ッ――」
その瞬間シュナは驚き、警戒し、周囲に感覚を広げた。
「フッ――」背後に周り、シュナの首目掛けて剣を振った。鋭利な爪で受け止めたが、その下には黒い魔法陣が展開された。
「《破壊(ディスラクシェント)》ッ!!」二人は足元から放たれた破壊の力に包まれた。
破壊の力が雲に届くくらいの高さまで上がり、破壊光線は消滅し、黒い光の中からレイムとシュナの姿があった。
「なるほど……自らの力で傷つくことがないとそこまで考えていれば……」高火力の破壊を受け、さすがのシュナも傷を負った。
「強い……あの人のように……」そうシュナは呟いた。
んッ、急に何を……。
「ッ!!!――――」
その瞬間レイムは上に巨大な魔力を感じ、シュナから離れた。
するとシュナの真横に青年が現れた。
「あいつはッ――」ロナは叫んだ。
「おやおや、異様な力を感じたので来てみたら思わぬ者達が集まっているとは……」余裕の表情で話しかけた。
巨大な魔力、ロナは知っているようだ。
そしてどの種族にも属さない容姿……黒い翼なんて、しかもその感じはレイムの破壊の翼と似ている。
白い翼を持つ天使とは真逆の黒い翼……そして新世代の魔王の近くに現れたということは……。
「まさか、第四位『堕天の魔王”天空の支配者”』リビル・リグレス!!!」天空を支配し、天使種の天敵である存在。
「そちらは、五代目破壊神ではありませんか……ここに来た目的は、無論魔王討伐ということ……最初の新世代の魔王とは驚きました。どの英雄も大魔王を倒すはずなのに……」倒せないとわかっているのか、リビルはそう言った。
「今ここにいるということは貴方も標的ですよ!」
「アハハハッ!新世代の魔王ですら倒せない貴方に、この俺が倒せるなんて馬鹿な話ですよ!……でも、今ここで神々の最大戦力である破壊神を倒せるのであればいいでしょう……かかって来い!」
レイムはやる気だ。
まだ自身の力を引き出せていないが、早速最古の魔王の一人とぶつかることとなった。
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