破壊と再生のプリンセス/Infinite[Heros] - 原初からなる壮大な無限英雄譚 -

――自分を知り、使命を知る。英雄、それが少女の成るものであった!
七理月_(._.)_
七理月_(._.)_

21 『光の襲撃-2 side三勇者』

公開日時: 2020年9月1日(火) 18:35
文字数:2,130

「……親父」砂の大地に無人のギャラリーに囲まれているこの闘技場に三人の勇者と『剣聖』、そして『弓聖』が立った。


「父さん……」



 だが二人は何も話さず、中身が空っぽなようだった。


「ソー兄……何か変だよ。もしかして操られているのかな?」そのことはソージも予想していたが、それしかこの状況を説明できない。


 操られていなければ、破壊の領域なんて軍勢で襲撃してくるはずもない。


 『剣聖』と呼ばれた家系に生まれ、『剣聖』を継ぐのは義務であるが、だが俺は剣聖なんかじゃなく一人の剣士として……。


 だが俺はあの剣に対抗できるのか……。


 そしてグアは『剣聖』の証である《神星聖剣(しんせいせいけん)ルーウェスレイカー》を抜き、トムは《神星聖弓(しんせいせいきゅう)ルースレイ》を構えあ。



 そして三人もそれぞれ武器を構えた。


「行くぞ……ソピア!サリア!」


「「うん!」」

 


 そして矢を充填し、ソージとソピアは走り出した。


 『剣聖』は神速という名の速さで繰り出す斬撃、そして動き……それが目で追えなければ終わり、そんな戦いなのだ。


 ソージよりかは速いソピアがグアを凝視し、ソージは真正面から狙う。


 さぁ、来いッ――もうあの時とは違うということを……。


 シュンッ!!


 一瞬にして目の前から消えた。残ったのは小さな砂埃……そして現れたのはソージの真横――。


「ふッ――」



 カキンッ!!ジュウロウのように見えない斬撃でもなく、回避不可能な攻撃でもない……ちゃんと実体を持ったただの攻撃……。


 だが……。


「くッ……」剣の重さが異常すぎる……何十年も剣を振ってきたグアと数年のソージ、経験の差がここで出てくる。


 ――戦いの中では、今までの全てが関わり、自分の中の全てが勝敗を決める……自分がこれまで何をやってきたのか、だがそれでもぶつかったとしたらどうしたらいいと思う?



 それは、かつて父に言われたことだった。


 俺はあの時何も答えられなかった。


 だけどあの時、親父がいったことが今の状況で必要であることを……。


 ――何だろう?


 ――答えは自分を信じることだ。その戦いには誰がいる?一人か二人か三人か……何人だったとしてもまずは自分を信じなければ、その足は前にも進むことは絶対にない!


「うォォォォォッ――」ソージは力を剣に注ぎ、グアの剣を弾いた。


「ソピアッ!!」


「うん!!」地面を強く蹴り、一瞬にしてグアに近づいた。



 よし、いける!


 ソージはそう思った……。


「あッ――」躊躇はできない……両手で柄を握り振った。



 だがふと視界に入ったものは赤い、玉のようなものが無数に……ソピアは声を漏らした。


「ソピアッ!!」血を流したのだ。


「ソージッ!!」すると後ろからサリアが叫んだ。咄嗟に振り向くと、魔力を流した矢を充填していた。



 そしてソージは発射され、進むであろう軌道から避けた。


「ハァァッ!」矢を引き、放った。サリアが操る属性は光と氷、次いでにサリアはエネルギー操作というスキルを持ち、弓矢でありサリアにとって放った矢の軌道を操ることは普通ではできないこと。


 後、必要なことはピンポイントで対象狙う目があればいい。


 なッ何が起きたの?


 一番近くにいたソピアでもわからなかった。


 お父さんは絶対に剣を振っていなかった。見えない斬撃ッ?いやあり得ない、お父さんが無属性を使っている所なんて見たことないし、そもそも無属性なんて作り話かと……。



 じゃあ何?何で私の腕に切り傷が……。


 ソピアは辺りを見渡したが妙なものはなかった。


 サリアのお父さんは弓を構えているが、一度もその矢は放たれはいなかった。



 その時、後ろから魔力が迫ってくるのが感じた。


「ソピアッ!!」ソージの声が聞こえ、右に避けた。



 そして光と氷の魔力が込められたサリアの矢がグアに迫り、光と氷の魔力が周囲に黒がった。


 光は刃となり、氷は対象を氷付ける。


 だが刃を交じり、凍ったのはグアが握る《神星聖剣(しんせいせいけん)ルーウェスレイカー》だけだった。


「マジかよ……」


「多分、光の魔力を操り、氷が侵食するのを抑えたんだ……もし抑えてなければ、あんな剣の刀身だけが凍るものじゃないもん」


 サリアの矢の威力は二人は知っている。



 それが抑えられたとなれば、本当に難しい……。


「だけどここで諦めるわけないッ!私達はレイム様について行くって決めた、配下の一人なんだから!!」ソピアは腕の傷を癒し、剣を構えた。


「そうだね、少しは強くなったのだから、ここで負けてたらレイム様に失望されてしまいますから!!」サリアもそう答えた。


「ソー兄?」


「ソージ?」


 二人は問いかける、ソージはどう思っているのか。


 ――じゃあ、それでもぶつかった時はどうすればいいの?


 ――ん?それは、全てを信じるだな!全てを信じるということは個人でもチームでも同じだ……運の戦闘に置いて重要であり、仲間を信じ、自分の信じ、それで初めて戦闘が成り立つ……。じゃあ聞くが、お前とサリアの父ちゃんの二人とソージとソピアとサリアで戦ったらどうする?


 今、考えればそんな問題、子供には無理でしょ。


 だけど今は答えられる……親父から嫌っていうほど聞かされた。


「あぁ、誰が相手であろうと絶対に勝つ!」


 それがソージ・アルト・レスティアルが信じた、『剣聖』グア・アルト・レスティアルの言葉であった。

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