「父上……」炎のような長い髪の女性は神界の中心にそびえ立つ神城内でその人を待っていた。
四代目レイス・レギレス……四代目ランキング1位の実力者である。
「レイムに会ったそうだな……」赤い鎧を守った男はレイスの前で止まった。
「何か、問題でも……」娘が破壊神……それは今では恥とこの神界では、他の神々にはそう見えているのだ。
「……いいや」そう一言だけいい、踏み出した。
「父上、今の地上の状況はどうすれば……」神界では四代目光の神によって破壊の領域に光の軍勢が進行していることに他の神々には好評だったが、王家の中ではそんな感情を持つ者は一人もいない。
「二代目様には内密だ。くれぐれも気を付けろ……お前は何もしなくていい……」
「ッ!……はい……」その返事は悔しさの悲しみが混ざっていた。
生まれてから指で数えられるくらいしかレイムと会ったことがないというのにあの光の軍勢を止めることも……。
四代目は地上を管理している立場だが、今回異変が起きた瞬間、四代目は神界へと招集されたのだ。
「レイム……」窓から差し込む太陽を見上げ、そう呟いたレイスは確かに母親であった。
「光の軍勢は何万……10、20……」ワ―レストは上空からその数を確かめていた。
「まさか、全軍とはな」横から現れたのはビーだった。
「そうだな、あれだけいると逆に面倒くさいくなる」ワ―レストの気持ちは確かにわかる。
「だがこの国はたかが魔法で傷がつくわけではない……奴らは何で我が国を落とそうと……」飛行魔法でレインが現れた。
国全体の超広範囲結界の確認をシールとピールで確認を終えたのだ。
「結界に異常はなし、後は向こうの出所だ……」
そして展望台では……。
「もう領域内か……」
「結構速いな……」ジュウロウとロナが望遠鏡で観察している。
「これで他の神々は手を出せないと……」二人の後ろではソージ達が不安の顔で光の軍勢を見ていた。
「落ち着け、ソージ、ソピア、サリア!もし君らの親がいるのならまず殲滅作戦で終わったりしないよ……」ジュウロウはソージ達を安心させるためそう言ったが、本当にそうなれば、単騎でレイムの命を狙ってくる。
「あの、ジュウロウ!もし親父が突っ込んできたら俺達に相手をさせてくれ!」
「ッ!」その言葉にジュウロウとロナは目を大きく見開いた。
「……いいだろう。もしもの時は助太刀するからな」
「あぁ、ありがとう!」
パァ――――――――!!!
耳が異様に震えるその音が響き、光の軍勢は進行を開始した。
「来たぞ!」ジュウロウは光の軍勢を見た後、ワ―レストの方に目をやった。
今回の司令官はワ―レストだ。
「機人、竜たちよ、攻撃開始だ!」国の周りには大きな砦が、その上空には機人と竜の軍勢が一斉に広範囲魔法と各属性のブレスでまずは多くの聖騎士を殲滅する。
その中で要注意なのが光の騎士達だ。隊長、副隊長を含めで数人だがかなりの猛者たちが集結している光の神はいい奴を揃えているそうだな。
機人とドラゴンが攻撃を続け、軍勢はみるみると減っていった。
だが予想していた通りに光の騎士が数人で突撃してきた。
「来たぞ、五人だ!」
「隊長と副隊長はソージ達が、光の騎士を各地へ転移させます!」頭の中にワ―レストの声が響いた。
「じゃあ私も一人を相手しよう……殺していいのか?」その質問は取締役のワ―レストへだ。
「どっちでもいいけど、出来れば殺さないでくれ……」
「了解した……」その後ジュウロウはその場から消え、レイムとロナだけになった。
「レイム様、どうします?」
「第11階層”桜が丘”に行くよ……」
そして最強の一角に並ぶ存在と光の神の最高戦力との戦いが始まったのだ。
「光の軍勢が何故?破壊の領域に……誰かが手引きしたのは確実、だがただの言葉で光の騎士や光の神を動かすことはできるはずもない……不可能を考えずに今の結果を基づく答えは操った……として考えられないと……」固有結界の中で木材で建てられた屋根の下でくつろぎ、コーヒーを口に運ぶ。
「つまりは動き出したと……」だが向かいの椅子には誰かが座っていた。
紫色長い髪に如何にも黒魔術をしていると言わんばかりの服装をしている。
「そうだなビミル……私の考察に口を姉の言うことが聞けないのか……」そうレジナインがビミルと呼んだ女性は当然の如く魔王だ。
最古の魔王序列5位『呪縛の魔王”魔の調停者”』ビミル・アイオーンで三番目に生まれた最古の魔王である。
「ごめん、世界はまた面白くなってきたんでしょ?」
「あぁ、やっと真実に繋がる存在が動き出した……話は聞いていると思うが、私とエマで決めた同盟相手だ……上手くいけば、真実にたどり着ける……」
そんな計画だが、同盟関係が上手くいくかがレジナインにとって導き出された答えは苦戦するであった。
「エマは実力主義だからね……まぁそれが可愛いんだけど……」ビミルは魔王らしくない微笑みを浮かべた。
「魔王の面影もないな……」それに気づき、指摘したレジナインだったが、ビミルは言葉を返した。
「姉さんだって、あの大戦以外やる気出したことないじゃん……もっと本気出せば序列だって真ん中じゃなかったはずだよ……だからあの能力を獲得したんじゃないの?」
究極能力(アルティメットスキル)である『怠惰之王(ベルフェル)』のことだ。
「まぁ、正論だな」
「そういえば、あの実験はどうなったの?なんだっけ召喚魔法で別世界のものを取り寄せるっていう……」
「あぁ、あそこは聖騎士とかがレミナスとの戦いで使ったから今は無人だよ……今ではレミナスが封印されている場所だけど……」
「ずっと思ってるけどレミナスの封印って解いてあげないの?」
「あぁ、あいつが反省するまでだ。勝手に暴れた報いだ……これは長女である私が決めたこと……時が来たら解くつもりだが、この間レミナスの所に顔を出したら、いつものようにくつろいでいていたからそのまま帰ってきたよ。まぁ、同盟の時が来たら実力主義であるエマとレミナスが黙っていないからな。それだから難しいんだよ……」
「だけど今動き出したのだから、何か手掛かり掴めればいいのだけど……」
それが好ましいのだがな……。レジナインはどうやって手がかりを掴むが考えた。
「恐らく操られている光の騎士からその魔力を採取して解析し、その魔力が漂う場所を探せば……」
「奴等の場所が分かる?」
「あぁ、後他の魔王のことは目を離すなよ」
その言葉はレジナインが様々な方向から考え、ビミルにそう頼み、椅子から立ち上がった。
「分かった!で、どこ行くの?」
「あぁ、光の最大戦力とあの大戦で少なくとも私を圧倒した者達の戦いを見たいと思ってね!」
そしてその空間は白い光に包まれたのだ。
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