「…」
「…」

夏の日差しが燦々と照りつける中、俺はプール横で笛を加え、仁王立ちをしていた。

俺は相川恭介、22歳。何処にでもいる大学生だ。大学の卒業論文を早めに終わらせた俺は、夏休みは金を稼ごうと、こうしてバイトをしているのだが…。

隣には金髪慧眼と言う、ラノベ作者もビックリの外国人美少女がいる。歳は身長的に中学生くらいだろうか？ 基本的には海外は日本よりも大人に見られやすい傾向があるから、もっと下かもしれない。

そんな美少女だが…。

「…暑い…離してくれないか？」

ブンブンブン

少女は首を横に振る。
　俺とずっと手を繋いでいる、と言うか、腕を組んでいるのだ。最初、外国人だから英語じゃないとダメかと、拙い英語で"離してくれ"とどうにかして伝えようとしたのだが…。

「ダイジョブ　ニホンゴ　デ」

と言われたのだ。この子、実は中々に頭が良い。この歳にしてもう日本語を話しているのだ。

その所為で、将来は凄い綺麗なキャリアウーマンになるのかなぁとか思う俺であった。そして何よりこの美少女、俺のどストライクの見た目なのである。

ハッキリ言えば、ロリコン。
　可愛い子を愛でて愛でて、愛でまくりたい。
「え、中学生ぐらいの見た目なのに…」と引くやつもいる。しかし、好きなもんは好きだ。

だからと言って、現実で愛でては犯罪なので、俺の大好きなシュミレーションゲーム『恋愛ロリロリメモリアル』で我慢している。

そうして、隣に居る美少女と夏休み中、バイト中はずっと居たわけだが…。

それも今日で終わりだ。

夕方になり、閉館時間。

「じゃあ、俺今日でバイト終わりなんだ」
「！」
「だからお別れだ。元気でな」
「イヤ　ダメ」
「いやいやいや、でも親御さんとか心配しちゃうだろ？」
「オヤゴサ、ン？　ダイジョブ」
「えーと、だな…パパやママが心配するだろ？ 俺に懐いてくれて嬉しいけどダメだって」

何だかんだ長い間居たけど、日本語もそれなりに出来てきて、会話にほぼ支障がない。子供の成長は早いもんだなぁ、と感心していると、美少女はモジモジしながら、俺の羽織っているパーカーの裾を掴んだ。

「タスケタトキ　ス、スキニナッタ」

バッキューンッッッ

…………はっ！！ 夢かと思った！！

俺は胸を押さえながら夢から覚めると、ある事を思い出す。プールの監視員バイト初日、俺はとある女の子を助けた。俺は急いでプールに飛び込み、引き上げると息をしていなく、やむなしに……。

その時はあまりに必死で顔とか見てなかったけど……もしかして…。

「確か…藍田優里ちゃん？」
「ソ、ソウ！！」

優里ちゃんは大きく何度も頷く。

「な、名前は日本人の名前なのに…」
「ワタシノパパ、ニホンジンダイスキ。キョネンマデ、アメリカニイタケド、コトシカラ、コッチニスムコトナッタ」
「へ、へぇ…」
「ア、アノトキワタシノウバッタ…ダカラ…」
「………な、何ですか？」
「ソ、ソノ…セキニン…トッテ？」
「ぶふぅっ！！？」

あまりの言葉の強さに吹き出してしまった。こんな美少女に告白されてめっちゃ嬉しい…でも…俺よ、冷静に考えるんだ。

「ごめんな」
「エ…」
「俺は成人してるけど、優理ちゃんはまだ中学生くらいだろ？ 責任を取るってなっても、まだ俺じゃ取れないんだ…」

そう言うと、優里ちゃんは安心したかの様に大きく息を吐いた。

「ワタシ25サイ。トシウエ、ダネ。アンシンシテ。イッショウヤシナッテアゲル」

優里ちゃんが優しく微笑んだ。

俺、新しい扉開いてしまいそうです。

プールの監視員してます。美少女が何故か俺の隣に居座るのだが、何故だろう？ ご、ゴホン！ あの、流石に近過ぎるんだけど…

プールの監視員してます。美少女が何故か俺の隣に居座るのだが、何故だろう？ご、ゴホン！あの、流石に近過ぎるんだけど…