ジェイは苛立っていた。
「飛行船は、まだ使えないのか」
超古代文明を追うべく申請した飛行船の使用許可がまだ降りないでいた。
「ジェイ、落ち着けよ」
「落ち着いてられるかアル、放っておいたら超古代文明は全部、ハンスに持っていかれるぞ」
やがて、ジェイはしびれを切らしたように包帯を取ると格納された飛行船を指差し言った。
「おい、パクるぞ」
その夜、ジェイ達は闇に紛れ飛行船を乗っ取り島へと飛び立った。
「ジェイ、お前、たまには規則通りやれよ」
「そんなもん待ってられるか、見てろよハンスの奴」
意気揚々で舵を切るジェイ、アルは諦め顔で隣を離れ、心配そうに後ろを伺うジェシカに耳打ちした。
「ジェシカ、多分、追ってこないよ」
「え、でも勝手に行ったら……」
「それを覚悟で勝手に行って欲しいんだ。上層部は・・・・・・ただ、何かあったら責任は取らされるけどね」
仕方が無いとアルは、溜息混じりに笑った。やがて、しばらく飛んだところで遠くに別の飛行船を見つけた。
「あれは、株式会社の連中の船だ」
遠目に確認するアルにジェシカは聞いた。
「株式会社?」
「最近、現れ始めた新しい組織の形態だよ」
「へぇ現代的ね」
感心するジェシカにアルは、いや、と首をかしげた。
「現代というか近・・・・・・」
そこまで言った後、なんでもない、と首を振った。
その頃、さらなる手掛かりとなる島に先乗りしたハンス達は、ある魔法実験の準備をしていた。ハンスは各国から集結しつつある飛行船に向け、剣をかざした。島中に張り巡らされた魔法陣が光りだした。
ジェシカは、突如、島に現れた魔術反応に驚き舵を持つジェイに跳び付いた。
「ジェイ兄、逃げて」
化学反応とは根本的に異なる核反応による爆発が上空に広がった。
「ジェイ兄ぃ!」
爆風で飛行船から吹き飛ばされるジェシカにジェイは、手を差し出した。
「ジェシカ!」
だが、ジェシカはすり抜けるように飛行船の外へ吹き飛ばされて行った。
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