ジェイは、一本の剣を注文した。その剣をかざし出来栄えを確認していると剣職人のサラが言った。
「ジェイ、それ剣じゃないでしょ」
ジェイは、二ッと笑みを浮かべた。
「分かるか」
「ジェイ、私をなめないでよ。それ、外見は剣だけど本質は全く別のアーキテクチャーを持つ……」
「サラ、ソフトあってのハードだろ」
そう言うや、剣を鞘に納め工房を離れた。事務室に戻るとアルが待っていた。
「出来たのか」
「あぁ、新しい魔術用の剣『魔剣』だ」
ジェイは、魔剣を引き抜くと床に引いた地図の上にかざした。剣先がある方向を指した。
「遺跡がある場所だな。一度、調査しておこう」
「よし、ダンジョンだ」
アルが立ち上がろうとするとジェイが耳打ちした。
「おいアル、あの魔法馬鹿(ジェシカ)には、内緒だぞ」
次の日の早朝、二人はジェシカを残しそっと家を出た。遺跡までの道を歩きながら、アルはジェイに言った。
「なぁ、ジェイ。魔法を認めたのならもっとジェシカに協力してもらってもいいんじゃないか?」
だが、ジェイはそれには答えず、黙々と歩き続けた。そのあとに続きながらふとアルは、ずっと思っていたことを聞いた。
「ジェイ、お前、もしかして妹に妬いてる?」
いきなり歩みを止めるジェイにアルは、ドンとぶつかった。見るとジェイが物凄い形相で睨んでいた。
「そんなんじゃねぇ!」
そう叫んだ後、視線を遠くにやりポツリと言った。
「ただ心配なんだ」
再び黙って歩き出すジェイ。やがて、二人は調査目的の遺跡へと着いた。古ぼけた扉に手をかけるアル
「鍵が掛かっている」
「あぁ、結界(暗号魔術)だ」
ジェイは、魔剣を引き抜きジェシカの魔術書から覚えた魔術を唱え始めた。ジェイの意識が別世界へ飛び、そこでもジェイは量子魔術を唱え始めた。
あらゆる同時並列世界で一斉に量子魔術を唱えるジェイ、平行世界で同時並列に量子魔術を唱え始め、ジェイは数百年かかる暗号魔術を一気に解読し始めた。
光とともにカチッと音が鳴り一人でに扉が開き出した。呆然とするアルにジェイは、手招きして言った。
「さ、ダンジョンだ。行こうゼ」
読み終わったら、ポイントを付けましょう!