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~レイ回想~
「――貴様はいつになったら魔力が現れるんだ!!ロックロス家の跡取りだと言う自覚を持て!!いつまで俺の顔に泥を塗るつもりだ!!」
「キャバル様やめて下さい!今日はレイの誕生日ですよ!」
レイ・ロックロス。
今日は彼の十歳の誕生日―。
お祝いの日と思えない凄い形相で怒鳴っているのはレイの父、キャバル・ロックロス。
生まれつき魔力が0だったレイは今日に至るまで魔力が生まれることはなかった。
世界トップの王家であり魔力の始まりと言われるロックロス家の跡取り息子が、まさか魔力0などという事は絶対にあってはならない事態。
魔力が当たり前のソウルエンドでは当然魔法学校で魔力を求められ、魔力が0では成績も悪くなる。
ロックロス家の跡取りが魔力0という事は直ぐに王族関係内にも広まり、魔法学校でもレイは馬鹿にされ虐げられていた。
そんなレイの成績や置かれている状況よりも、キャバルは自らの肩身が狭くなっている事に怒りを覚え、ここ数年レイとまともに接していなかった。
十歳という節目の誕生日にも関わらず我が子よりも自分の事しか考えていないキャバルは、いつまでも魔力が0のレイに我慢が出来なかった。
「エリザベス!お前がそうやって甘やかしているからコイツはこんなにも落ちこぼれなんだ!」
「レイは落ちこぼれなんかじゃありませんわ!」
「…何?魔力0の奴が落ちこぼれじゃなければ何だと言うんだ!家畜か?ゴミか?ロックロス家始まって以来最大の汚点だよコイツは!!」
我が子を蔑んだ目で見下し怒鳴り散らすキャバル。絶対的権力を持つ彼には誰も逆らえはしない。
妻のエリザベスでさえも…。
王族の結婚はほぼ制約結婚が当たり前であり、キャバルとエリザベスもそうであった。
と言っても両者に得があったわけでなく、ただ単にエリザベスの見た目を気に入ったキャバルが無理矢理結婚をさせただけである。
王族の中でもトップであるロックロス家に逆らえず結婚したエリザベスはその見た目の美しさもさることながら、とても優しく凛々しさを持った人であった為、レイは勿論城の使用人や家来達も皆エリザベスを慕い好感を持っていた。
しかしキャバルには誰も逆らえない―。
それが当たり前だったが、我が子を侮辱したキャバルに今まで一度も怒った事のないエリザベスが遂に怒ったのだ。
キャバルの顔面に強烈なビンタを食らわす―。
――――パァァンッ…!!
「「「――⁉⁉⁉」」」
ビンタされたキャバルは突然の出来事に理解が追いつかなかった。
怒鳴り声を聞き、部屋の入り口まで様子を見に来ていた使用人達も目の前の光景に驚き言葉を失う。
一瞬面食らったキャバルであったが、自分が殴られたと理解すると直ぐに怒りが沸点に達した―。
「―き、貴様ッ!!俺に手を出したな…!もう我慢ならんッ!コイツが魔力0なのも全てはエリザベス…!貴様の責任だ!お前は反逆の罪として王家から追放してやる!!」
そう言ったキャバルはロックロス家に代々伝わる古魔法でエリザベスを消した―。
「――母さんッ!!」
「エリザベス様ッ⁉」
レイと使用人はエリザベスが消えた場所を茫然と見ていた。
「グッハッハッ……!!俺に逆らうからこうなるのだッ!……何だ?何か言いたいことでもあるのか?」
驚き固まっている使用人達に睨みながら言うキャバル。
誰も言い返せない……そう思った瞬間、レイがキャバルに殴りかかった―。
しかし、子供のお粗末なパンチは当たるどころかキャバルに魔法で遮られてしまった。
魔法で重力を掛けられ床に押さえつけられるレイ。魔法が使えないレイはただただキャバルを睨みつける事しか出来なかった…。
「……母さんを何処へやった!」
「知らねぇな。あれはロックロス家に伝わる古魔法。消された奴は一生戻ってこれないらしいからな!死んだも同然だ!……ったく。親子揃って俺に盾突くとは……。一体どこまで俺を失望させれば気が済むんだ。ああ?」
キャバルは床にうつ伏せに倒れているレイの顔を踏みつけ更にこう言った。
「やっぱり“養子”を手に入れて正解だったな。お前みたいなゴミはもう俺の息子ではない。勝手に生きろ」
そう言い放ったキャバルは部屋を去っていった。
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