魔力0の俺は王家から追放された挙句なぜか体にドラゴンが棲みついた~伝説のドラゴンの魔力を手に入れた俺はちょっと王家を懲らしめようと思います~

キョロ
キョロ

19 ビッグ・G

公開日時: 2022年4月4日(月) 09:43
文字数:2,065

「――あ~。こりゃ完全にノびてるわね……」


倒れた三体のゴブリンを見てローラはご愁傷様ですと手を合わせていた。


ローラはゴブリン達に何故急にトワイライトの町を荒らすようになったのか聞き出したかったのだが、この状態では到底無理であろう。

ローラはゴブリン達の意識が戻るまで拘束して待とうとレイに言い、魔法でロープを出し近くの大木にゴブリン達を

縛り付けた。


「なんか可哀想だなぁ・…。攻撃しといてあれだけど」


「しょうがないわ……別に取って食べるわけじゃないし、聞きたい事聞いてもう二度としないって約束したら開放するわよ。私が虐めてるみたいな目で見ないでくれる?」


「別にそんな風に思ってないって。悪いのはコイツらだからな!起きたらもう畑荒らさないように厳重注意だ」


<何を悠長な事を言っているのだ。コイツらが悪さしている挙句に起きるのを待つなど時間の無駄だ。我が起こしてやる>


ドーランはそう言うと魔法を繰り出した。

淡く光る煙みたいなモヤがゴブリン達を包み込み徐々に消えていく。

すると気絶していたゴブリン達がゆっくりと瞼を空け目を覚ました。


「……ん??ここは……?」

「―あ!お、お前らッ⁉⁉」

「動けんッ……⁉何だこれは⁉離しやがれ!」


目が覚めるや否や事態を把握したゴブリン達が一斉に怒り出す。

反省するどころか今にも飛び掛かってきそうなゴブリン達を見てレイとローラは「これはダメだ……」と和解は諦めた。

永遠に野次を飛ばしていそうなのでローラは早速本題に入り、ゴブリン達に何故町を荒らすのか理由を聞いた。


「―あぁ?なんで畑を荒らすかって?美味いもんがいっぱいあるからだよ!」

「この町は畑いっぱいあるし強いハンターいないからな!」

「さっさとこのロープ解けよッ!」


「……偽り無き真っ直ぐな答えだ」


なんとも自己中な欲求だけのストレートな回答にレイは最早清々しささえ覚えた。


「バカ言ってんじゃないわよ!農作物は町の人達が一生懸命育てた大切な物なの!アンタ達の腹満たす為じゃないんだからもうやめなさい!他に仲間はいるの?アンタ達だけ?」


「質問ばっかでうるせーなこの人間!」

「俺達をゴブリンだからって見くびるなよ!」

「そうだそうだ!俺らゴブリンは“ビッグ・G”と共に勢力を広げているんだ!」


「「……ビッグ……ジー??」


ゴブリン達の口から出たビッグ・Gという言葉。何か物を差すのか誰かの名前なのか……。

レイとローラは互いに目を合わせるがそれが何か分からず首を傾げている。


「ビッグ・Gは俺らの“ボス”だ!下級クラスと舐めてやがる人間や他の種族達にゴブリンの強さを見せつけてやるんだ!」

「仲間もどんどん集まり縄張りも広げているのさ!」

「この町は美味いもんが多いからビッグ・Gの指示でここを乗っ取るんだよ!」


良くも悪くも勢いで全て教えてくれるゴブリン達を心の底からは憎めない二人。この真っ直ぐ差さがもっと違う方向に向いてくれればなと強く思うのであった。


とはいえ、このままではこの三体のゴブリンは勿論他のゴブリン達からも被害が出る。

レイとローラはゴブリン達のボスであるというビッグ・Gの所に行く事を決めた。

ローラは一度拘束を解くとまた一瞬でゴブリン達を縛った。大木から外し個々にロープで縛ると、ゴブリン達に案内をするよう言った。


「ビッグ・Gとかいうアンタ達のボスの所まで案内しなさい。もし逃げようとしたり逆らったらロープから電気流れて感電するわ。」


納得しないゴブリン達は案内などするかと声を荒げている。一体のゴブリンがローラの忠告を無視し、縛られたままレイに向かって飛び蹴りを繰り出す―。


「コイツから何も魔力を感じねー!食らえッ!」


――バチバチバチバチバチバチッ……!!!

レイに飛び掛かった瞬間、ローラの忠告通りロープが電流が流れゴブリンはその場に倒れた。


「だから言ったのに。分かったら大人しく案内しなさい」


悔しそうな表情を浮かべるゴブリン達。

すると一体のゴブリンが何かを思いつき電流でやられ倒れているゴブリンの元へと行った。もう一体も来いと言われ何やら三体でコソコソ喋っている。


「……この状況は不利だ。このままコイツらを連れて行って返り討ちに合わせてやろう」

「そうだそうだ!そうしよう!アジトに戻れば仲間が大量だ」

「ヒッヒッヒッ!次はアイツらが縛られる番だ……」


一通り打ち合わせが終わったのか、ゴブリン達は急に態度を変えレイ達に案内してやると言い出した。

ニヤニヤしているゴブリン達はその真っ直ぐさがここでも発揮され、何か企んでいる事が一目瞭然であった。

ゴブリンは嘘を付くのが下手なのかと思わせる程分かりやすい態度にローラが躊躇なく切り込む。


「――どうせ案内して他の仲間達と返り討ちにしてやろうとか考えてるんでしょ」


「「「―――⁉⁉⁉」」」


本当にバレていないと思っていたゴブリン達はローラの一言にこの日一番驚愕していた―。



<……このまま放っておいても大丈夫じゃないか?コイツらならば>


「遅かれ早かれだな」


こうしてレイ達はビッグ・Gがいるゴブリンのアジトへと向かって行った―。

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