魔力0の俺は王家から追放された挙句なぜか体にドラゴンが棲みついた~伝説のドラゴンの魔力を手に入れた俺はちょっと王家を懲らしめようと思います~

キョロ
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23 一石二鳥

公開日時: 2022年6月2日(木) 09:15
文字数:2,539

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~トワイライト~


トワイライトへと戻ったレイとローラは町長さんの所へ来ていた。

二人は町長さんに今回起きた事の全ての事を報告する。


縄張りを作っていたゴブリン達を一掃したのでもう大丈夫ですと元気に伝えたレイとローラに、町長さんは本当にありがとうと何度も何度もお礼を言っていた。レイの初クエストは無事成功。


クエスト達成の処理をする為、ローラはは再度冒険者ギルドへ行こうと言った。


「――本当に助かったよ。ありがとう。気を付けて帰ってね!」


「はい!」


「また出たら呼んで下さい!」


「こら!縁起でもない事言わないでよ!」


「ハッハッハッ!そうだね。もしまた出たら君達に依頼しようかな」


レイとローラは町長さんにお別れを言いトワイライトを後にした―。


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~王都フレイム・冒険者ギルド~


レイとローラはギルドの受付で今回のクエストの処理を終えると、成功報酬として“5000ギル”を貰った。


Gギル」はこの異世界の通貨である。


二人が受けたEランククエストでは、成功報酬の額がおよそ100G~5000Gが相場である。

クエストの内容によってその額も様々であるが基本的に討伐系は成功報酬が高い。


今回の件で言えばEランククエストの中でもかなり高額のクエストであった。

ハンターはこの成功報酬と実績を重ねることによりランクが上がる様になっている。


「――はい。今回は二人だから報酬は半分ずつね!」


「おお!サンキュー!」


初めてクエストを成し遂げ報酬を受け取ったレイはとても無邪気に喜んでいた。


「あれだけの奴倒したんだから本当ならもっと貰っていいんだけどね……」


「まぁしょうがないだろ今回は。町長さん達も喜んでたからいいじゃねぇか!」


「そうね。無事帰れたしむしろラッキーだったわね」


「―で?次は何する?」


レイの気持ちは既に次のクエストに向いていた。

ワクワクした表情に満面の笑みでローラに訪ねるレイの姿に、ローラとドーランは呆れて溜息が出た。


「今終わったばっかでもう次?元気ね~アンタ」


「だって面白そうなクエストいっぱいあるじゃん!」


<今さっき危険な目に遭って反省していないとは……。クエストよりも早く魔力の感覚を掴め>


「そうよ!ちゃんと魔力使える様になってから次にいった方がいいわ。今回みたくならない様に」


そう言うローラとドーランに、レイは人差し指を横に振りながら「チッチッチッ!」と言った。

何にも分かっていないなとでも言いたそうなレイの表情。

まだコイツは浮かれているのかとローラとドーランは再度溜息をつきつつ、レイの言葉に耳を傾けた。


「――“今”だから次のクエストに行くんだよ!

確かに危険な目に遭ったし魔力をちゃんと扱える様にならないとダメだって思ってる。

だからこそ、さっき使った魔力の感覚を覚えているうちにクエストに行きたいんだ!

ドーランだって言ってただろ?感覚で覚えろって」


<ま、まぁ……確かに……>


自分の発言がまさかこんなところでブーメランとして帰ってくるとは思っていなかったドーランは言葉に詰まった。


「確かにそれも一理あるけど……だったら別にクエスト受けなくてもそこら辺で魔法の練習すればいいじゃない。」


「どうせ魔法使うならクエスト受けた方が報酬も貰えて一石二鳥だろ?」


「まぁそう言われればそうだけど……」


「じゃー決まりだな!このまま次のクエスト受けようぜ!あ~楽しみだなぁ~」


レイの勢いを止めることが出来す結局そのまま次のクエストを受けることにしたローラ。

魔法の練習半分。浮かれ半分。割合にするとレイは恐らくそんな感じだが、レイの言う通り魔法の練習もしなくてはならないし、どうせならクエストを受けて報酬を貰えた方がいい。


さっきがさっきの為少し心配なローラだったが、Eランククエストなら滅多にあんな事は起こらないだろうと気持ちを切り替えクエストを選ぶことにした。


ここでふとローラは一つの案が浮かぶ。


今回のクエストの様に“イレギュラー”が起きない最善の選択―。


「ダンジョンを受けよう」とローラはレイに提案すると、その“ダンジョン”という響きだけでワクワクしているのかレイは目を輝かせて賛成した。


「―マジで行けるのか⁉ ダンジョン!」


「どうせ魔法の練習で行くならモンスターだらけのダンジョンの方が効率いいでしょ!」


「よっしゃー!早くも初ダンジョン!……って良いのかホントに?お前戦うの嫌なんじゃないのか?」


「そりゃ好き好んで戦わないけど、クエストならやるわよハンターとして。ただ今回みたいなバケモノは勘弁!

だからそのイレギュラーが“起きない様に”ダンジョンにするのよ!」


レイは難しい顔をして「どういう事?」とローラに訪ねた。

いまいちピンと来ていないレイにローラは説明をした。


今回の様なクエストは基本的に“フィールド”に制限がない。言ってしまえばこのソウルエンド全てがフィールドとなる。

その為、依頼のクエストをこなしている時に確率はごくごく僅かではあるが今回の様にイレギュラーが起きてしまう。


しかしダンジョンは少し話が変わってくる。


全ダンジョン(リバースダンジョンと未攻略ダンジョンは除いて)は各国の専門ハンター達と冒険者ギルドによってダンジョンが管理されており、そのハンター達によってダンジョンには魔法で結界が施されている。


これによって最低限のイレギュラーが減り、例えばEランクのダンジョンには下級クラスのモンスターしか出入りが出来ないようになっている。


勿論ダンジョンなので上の階層に行けば行くほど強いモンスターが出てくるが、今回の様にEランクのダンジョンにいきなりBランクに匹敵するような中級クラス以上のモンスターは入ってこられない。


普通のクエストよりモンスターとの戦闘は多くなるが、イレギュラーな危険は生まれないのである。


「……なるほど~。ダンジョンってそうなってるのか。じゃあ攻略済みのEランクダンジョン選べばいいって事だな!」


「そういう事。ダンジョンなら今回みたいな危険はないから安心していけるわ!」


「そうと決まれば早速ダンジョンを選ぼう!」


こうしてレイとローラはダンジョンに挑むのであった―。

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