「……だ・か・らッ!!何回も言ってるけど、私はただ“あの場所にいただけ”!
あそこに生えてる魔草を調べていただけなのよ! “連中”とは関係ないってば!」
「はいはい。犯罪者は皆決まってそう言うから。自分はやってないだの関係だのね……。」
「いや、そうじゃなくて私はホントにッ―!「今調べてるからそこに大人しく座ってて。本当に関係ないなら直ぐに帰れるから。」
面倒くさそうに対応するのはアルカトラズで働く警察。
聞く耳持たない受付の対応にイライラした様子の彼女は諦めたのか近くの椅子に座った。
どうやら彼女は犯罪者達の違法な取引現場に運悪く居合わせたらしい。
急遽取引の情報を掴んだ警察が周囲を取り囲み、現場にいた犯罪者達を一斉検挙したところ彼女も巻き込まれたのだった。
現場にいた警察によると、彼女も辺り一面に実験道具の様な物を広げかなり怪しい事をしていたと言う…。
「もう~……なんでこうなるかなぁ。ただ魔草の“調合”をしてただけなのに……。」
まだ納得がいっていない彼女はブツブツと呟いている。
少し経って、先程の警察の人が彼女の元へ近づいて行った。
「“ローラ・ウィッチ・ショット”……。
報告書によると君は草を調べてたと言うが……何をしていたんだね?あんな所で。」
「だからずっと言ってますけど、魔草を採取して調合していただけです!」
「あんな山奥でその行動もちょっと怪しいけど…まぁ兎に角今回は問題ないと結果が出たから帰っていいよ。次から気をつけるように!調合で山火事にでもなったら大変だからね……以上!」
そう言って彼はスタスタと向こうへ行ってしまった。
最後まで勝手な警察の対応に終始怒っていたローラと呼ばれた彼女は、もう疲れて何も言い返さず出口へと向かって行った―。
――――ズガァァァァンッッッ!!!!!!!!!!
「――きゃッー⁉⁉」
ローラが帰ろうと出口へ向かった瞬間、激しい揺れと物凄い轟音が響いた。
地面が突き上げるように揺れ、瓦礫と共に開いた穴へと落ちていった。建物内には何故か直に太陽の光が差し込み、
何事かと上を見上げたローラの視線の先には、どういう訳かアルカトラズの天井に大きな穴が開いている。
隕石でも落ちてきたのかと思う程、天井を突き抜けその先の床、更にその下の階にまで貫通していた。
「おいおい⁉︎地震⁉︎」
「爆弾でも落ちてきたんじゃないか⁉︎」
「何だこの穴は⁉︎下までいってるじゃねぇか!」
アルカトラズ内にいた者達も突然の出来事にパニック状態。
「なになに─⁉︎何が起こったの⁉︎」
ローラもまたこの状況に頭が追いつかない。辺りを見渡すと大勢の人が騒いでいた。
状況を確認しようと動く者。
驚いて動けない者。
混乱に乗じて逃走する者と様々だ。
周りに釣られてローラも穴が開いた床を覗いた─。
遥か下まで続く穴。下の階でも同じ様にパニックになっている様子。
「わぁ~……凄い事になってる……。」
どこもかしこも慌しい。そんな事をしていると、外から警備員達の無線が大きな音で聞こえてきた。
どうやらアルカトラズを攻撃したと思われる敵の姿を捉えたらしい。
皆その声で穴から空を見た─。
ローラの目の前に広がる崩れた天井とそこから見える快晴の空。
逆光で“それ”の正体が分からないが、何か黒い影が落下してきている。
眩しくてしっかりと確認出来なかったが人影の様な、大きな鳥の様な形をしたそれは凄い速さでローラの目の前を通り抜け穴の下まで落ちていった―。
見えなくなる直前……。
ローラはその物体をしっかり確認した。
いや、正確には一瞬だけだが“目が合った”―。
大きな翼を生やしたローラと同じ歳ぐらいの男の子と―。
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