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連載中 長編 現代世界 / 恋愛
公開日時:2022年12月24日(土) 16:20更新日時:2022年12月27日(火) 21:58
話数:4文字数:8,456
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あらすじ

 ほんの数年前の話だ。僕は南長崎のボロアパートで、千代子さんのヒモのような暮らしをしていた。一生懸命に小説を書いてはいたけれども、賞にはまったく引っかからない。自棄になった僕は、落選のたびに彼女からお金を借り、フルレバで相場を張った。勿論、そんなトレードが上手く行くはずもなく直ぐに原資を飛ばしてしまう。

 だが、千代子さんは、それでもちっとも怒らなかった。それどころか、「これでまた、小説を書かなければなりませんね」とニコニコ笑って、僕の身の回りの世話をし続けてくれたのである。そして僕は、彼女と共に暮らした二年半数か月の間に、彼女が実家から手切れ金として渡されたお金のほとんど全てを、相場で吹き飛ばしてしまった。

 

 僕は必ずそのお金を返すつもりでいた。けれども彼女は、僕が相場で大金を掴んだ後もその返済を求めることなく、僕の目の前から姿を消したのである。

 

 その理由を、僕は多分知っている。

 

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