「お頭……食糧庫が空になりやした……後は酒樽しかないでやすよお……」
「えええええっ!! マルガリータ! お前、食い過ぎだぞ!」
「あ……ごめん……いつもの調子で食べちゃってた」
飯が終わると、壁にある髑髏の燭台の明かりで照らされた。俺たちがいる部屋へと、男たちがぞろぞろと集まってきた。
不思議な事に凶悪な盗賊団の男たちが俺に懇願してきた。
「ああ、お頭に息子がいたなんて……俺たちのお頭はとうに死んでしまった。だから、お頭の息子であるあなた様にどこまでも着いていきやす!」
「お頭がラピス城を守るってんなら任せて下さい!」
「お頭……先代のオニクボ頭領の息子なんでやすよね! なら、俺たちはどこまでも着いていきやすよ!」
はて?
これで、辻褄は合ったように思うが……。
まあ。怖いし。むさ苦しいが結果的に良かった……のか?
俺の親父って盗賊団の頭領だったけか……? 普通のサラリーマンだったはずだ。それも会社に蟻のように働かせられていて、いつも泣いていたっけ。確かに、いつかでっかくなってやるっていってたけど……。親父もこの世界へ来て盗賊団の頭領にでもなったんだろうか?
「へ? はあ? 頭がすごく混乱するぞ???」
「それでは、お願いしますね。鬼邦くんは、正真正銘の黒の骸盗賊団の頭領の息子なんです。これからすぐにラピス城へ向かってください。私と鬼邦くんは空を飛んでいきますから」
「へ? へ? え?」
勝手に話をずんずんと進めるマルガリータの横で、俺は混乱したままだ。
髑髏の燭台の炎で盗賊団の男たちの顔が見えるが、どれも体が震えてしまうほどの凶悪そのものだった。
俺はなんでこんなところにいる?
なんで、盗賊団の頭領の息子なんてやっている?
今まで普通の高校生だったんだぞ!
それよりソーニャは……。
「あの。お頭……その前に一ついいですかい? だいぶ前に元聖騎士だという老人を牢屋へぶち込んだんでやすが……ひょっとして、お仲間だったでやすか?」
「え?! 本当に? きっと、その人は聖騎士最強といわれた元四大聖騎士の一人。ハイルンゲルトだわ」
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