「カンパーーーイ!!」
「カンパイーーー!」
「カンパイ!!」
騎士たちの大歓声の中。
「カンパーーーイィ!!」
「やったねーー! ホント! 凄いよ! オニクボとマルガリータ!!」
マルガリータがリンゴジュースのグラスとビールの大ジョッキをあの大女と交わしている。ここはラピス城の大食堂。騎士たちと盗賊団の男たちと豪勢過ぎる食材の料理が並んだ。かなり細長いテーブルに座っていた。
喧騒の中で大女とマルガリータが早速、料理に手を付けた。
俺はリンゴジュース片手のマルガリータの食事を見ているだけで……お腹一杯になっていた。細長いテーブルから、仕方なく窓際にいるソーニャのところへ行くと、二人で今後のことを話すことになった。
だけど、その前に……名前わかんないんだよな。
「ソーニャ。あ、あのさ。あの赤毛の大きな女の人って、何て名前なんだ?」
「え? 言っていなかったっけ? ガーネットよ。あなたと同じナイツオブラストブリッジの一人」
「ふーん……って?! ナイツオブラストブリッジは、まさかこの三人だけなのか?」
ソーニャはふわりと金髪を掻き上げて、微笑んだ。
「もう一人。目の前にいるでしょ」
「???」
白のパーティドレス姿のソーニャはブドウとキウイが混ざったジュースを口に傾けた後にウインクをした。そして、俺はもう一人が誰だかを聞くことができなかった。食事中のマルガリータに呼ばれたからだ。
「うん?」
俺の前にのっそりと黒の骸団の一人が来て、頭を下げた。そして、古い地図を渡して来た。
「お頭。この地図は西のガルナルナ国へ向かう地図でやす。ガルナルナ国は今もここラピス城へと進行しているんで、早いとこ守りを固め直さないといけないんで……」
俺はその羊皮紙の古い地図を開くと、辺りの肉の香りから煤ぼけた匂いも俺の鼻に入って来た。
ひええええー、こりゃ、大変だ!
その地図には、ここラピス城が中心にあって、周辺の諸国の情勢が細かく書かれていた。かなり悪い情勢の国には大きな赤い線が囲っていて、この地図を見ると、細かいところまでそれぞれの国の危険度や強さまでがわかった。全ての国が強国だけれど、段階的にその強さがわかるんだ。
「その羊皮紙の地図は、あのハイルンゲルトのだね……」
ガーネットがいつの間にかビールの入ったジョッキ片手に俺の隣にいた。
細長いテーブルには今もマルガリータが料理を平らげている。
「うん? そうなのか?」
ガーネットはすりつぶした木の実の香りがする香水をしているようだった。凛とした顔の筋肉隆々で燃え上がるような赤い髪の毛がかっこよかった。俺よりも背が20センチくらい高い大女だ。
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